第1328話 晩餐を食べて寝てしまおう
「にがさんぞっ、マメ!」
カトレアさんが洗い場でマメちゃんを捕まえようと飛びついた。
マメちゃんは影に潜って逃げた。
カトレアさんは勢いあまってすてんと転がった。
全裸で暴れなさんな、はしたない。
やれやれ。
脱衣所に出てダルシーにバスタオルで拭いてもらい、下着を穿いてドライヤーを掛けてもらう。
ブイーン。
髪の毛が乾いてフワフワになった。
金髪だから魔法灯をキラキラと反射して綺麗ね。
新しい制服に着替えて、こざっぱりして大浴場を出た。
みんなが居るのでエレベーターにぎゅうぎゅうになって乗って一階へ行く。
ちょっと時間が早いのでロビーの応接セットでくつろいでおしゃべりする。
私たちが上がって来たのを見て、地下に向かう令嬢さんたちがいた。
聖女の湯の素が入って、聖女派閥が上がった時間を狙っているのだろうね。
玄関先のロビーで座っていると、食堂の方から良い匂いが漂ってきた。
今日は何かな。
フライの匂いのような気がするな。
ロビーの柱時計がボーンボーンボーンと六回鳴った。
さて、食堂に行こうか。
「今日のお献立は何?」
「エビフライとクラムチャウダー、ポテトサラダ、黒パンだよ」
おお、大型のエビフライが二尾だ、なんだかもりあがるね。
タルタルソース付きだ。
美味しそうだなあ。
お料理をトレイに乗せていき、カップにお茶を注いでテーブルに持っていった。
さて、みんながそろったな。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
ぱくり。
さくりさくさくむにゅん。
ああ、美味しいなあ。
味わいのあるエビフライだ。
うふふふ。
「大きいエビね、美味しいわ」
「海から遠いのに、新鮮ですごいわね」
「冷凍魔法の発達だね。海老も旬だからな」
冷凍魔法を掛けて、馬車で運んできてるんだよね。
とはいえ、前世のトラックではないので、ある程度鮮度は落ちるけどね。
ああ、シャクシャクして美味しいな。
揚げたてサクサクだね。
うまうま。
クラムチャウダーも良い味わいだなあ。
チャウダー大好き。
ポテトサラダも美味しいな。
なんだか昭和のデパートみたいな取り合わせだが、主食はライスじゃなくて黒パンだ。
モシャモシャ。
ちょいとした酸っぱさがクラムチャウダーと良く合うね。
うまいうまい。
「毎日美味しい物を食べられて楽しいわね」
「そうよねえ、イルダさんと食堂スタッフに感謝だね」
「街で食べると、もの凄い値段になる、お料理を食べられるからお得だ」
「コリンナしゃんらしい感想だみょん」
晩餐を食べ終わり、ダルシーにお茶を入れてもらって、まったりする。
食堂はガヤガヤしていて、でも、なんだか落ちつくね。
さて、晩餐も終わったのでみんなで食堂を後にする。
おやすみおやすみ。
コリンナちゃんと、メリッサさん、カトレアさん、コイシちゃんで階段を上がる。
「さて、もう一頑張りするかな」
「カトレアさんが勤勉だみょんよ」
「勉強の癖を付けておかないと成績は維持できないのだ」
なんだかピッカリンらしからぬ事を言うね。
205号室にコリンナちゃんと一緒に入る。
彼女はさっそく机に付いて勉強を始めたね。
私も少しやるかな。
机に付き、教科書とノートを広げる。
と、マメちゃんが影からでてきて、ノートの上にでーんと乗っかった。
猫かね、君は。
マメちゃんの柔らかいお腹を手でモシャモシャしながら勉強をする。
「何も事件がなくて気持ち悪いぐらいだな」
「そうそう大事件ばかり起こってたまるか、こちとら学生だぞ」
「そりゃまあ、そうだがな」
この、のんべんだらりんとした日常が普通の学生であって、一学期の事件の起こり方が異常だったんだ。
うん。
そう思いたいね。
明日は数学の試験があるので、コリンナちゃんに疑問点を聞いて復習を続ける。
同室に数学の天才がいると便利だね。
街の遠くで犬が吠えて、だんだんと夜が更け、まん丸の満月が鐘つき堂の向こうに昇った。
ダルシーが現れて、勉強をしている私たちにお茶を入れてくれた。
そのまま、煮こごりのお皿を出して、マメちゃんに食べさせた。
マメちゃんの夕食は遅いのね。
わふわふと喜んで食べている。
さて、疲れたので寝ようかな。
「お休み、コリンナちゃん。まだやるの」
「もうちょっとね、きりの良い所まで」
「そうかー」
「おやすみ、マコト」
ダルシーが出してくれたパジャマに着替えて、とすとすと音を立ててハシゴを上がる。
ベッドに横たわると、マメちゃんが夏掛けの中にもぐりこんできた。
よしよし、一緒に寝ようね。
すやあ……。
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