第1324話 期末試験三日目が始まる
試験も三日目だが、朝からやる事はコリンナちゃんの追い回しだ。
「ぜいはあぜいはあ」
うん、それでもグラウンド一周はへばらないで出来るようになったね。
継続は凄い物だ。
まあ、コリンナちゃんはほっとくとあっという間に退化してしまうのだけど。
いつものように地下に潜って蒼穹の覇者号でシャワーを三人で浴びる。
洗濯したての下着と制服に着替えてラウンジでお茶である。
「今日は歴史とサブ教科だなあ」
「サブ教科の点数は順位に関係はないんだけど、まあ良い点とっておくにこしたことは無いわね」
主要教科が同じ点数だと、総合点数順に名前が並ぶからな。
お茶を飲み終わって、地下道を通って女子寮へ、エレベーターに乗って一階で派閥員と合流して食堂へと入る。
今日はナッツポリッジの口だなあ。
カロルはいつも通り塩ポリッジ、コリンナちゃんは甘々ポリッジである。
美味しいポリッジをハフハフと完食、毎朝美味しい朝食は良いね。
テストの時期なので、鞄にはノートと筆記用具だけで、みんな軽そうだね。
私とカロルは収納袋だから手ぶらなんだけどね。
上級生、B組の子と、どんどん派閥員と別れて行ってA組に入り込む。
席に付いて筆記用具を出して、ノートを読み返す。
今日も試験前のちょっとだけピリピリした雰囲気が教室に漂っているね。
アンソニー先生が入って来てホームルーム。
期末試験も中日なので後半戦に向けて体調に気を付けてがんばりましょう、との事。
さて、歴史の試験である。
古王国時代は小さい国が群雄割拠していて覚えるのが面倒なんだよなあ。
アップルトンも、南部も西も東も別の国なのである。
というか、アップルトンって名前じゃないしね。
沢山の戦争で血が流れ、幾多の魔王を倒し、魔国に占領されたり、撃退したり、いろいろあって、だんだん国が今の形になっていくのだな。
やっぱり歴史を動かすのは人物で、国家とか組織じゃないのだよなあ。
英雄が出て、英雄と戦い、ドラマを作って栄光に包まれ、また滅びていく。
人の意思が歴史を動かして行くんだなあ。
ああ、歴史大好き。
二時限目は音楽の試験だ。
まあ、音楽様式を答えなさいとか、この音符の組み合わせを何と言いますかとか、そういう問題が続く。
新入生歓迎パーティで習った曲の問題とかでたよ。
うんうん、この曲好きなんだよね。
カロルと踊ったなあ。
うひひ。
三時限目は武術のペーパーテストだ。
中間と同じく、武器の名称、構えの名称、試合のルールの知識などの問題が出た。
そんなには難しく無いね。
トレーニングの方法とかの問題が出てるね。
前世における超回復みたいな概念があるっぽいね。
一日やって、一日休むとかあるぞ。
経験則で導き出したかな。
人間は凄いよなあ。
なんだかんだ回答欄に書き込んで、見直しして提出。
ふう、期末試験三日目終了であるな。
アンソニー先生がやってきて終わりのホームルームだ。
木金と試験で、土曜日はお休みなので頑張りましょうとの事。
起立礼をして、放課後である。
んー、中日終了~~。
「今日のお昼はどうしましょうね。またひよこ堂?」
「毎日パンばっかりだねえ」
「そうね、中日だからお店に行ってランチにする?」
そうだなあ、中日だからなあ。
「よ、マコト、昼飯はどうするよ」
「どうしよう、街に出る? 中日が過ぎたし」
「そうだな、中日だ中日」
人間はかように言い訳を入れて気合いを下げてしまう物なのであるよ。
とはいえ、外に食べに行くといってもなあ。
わりと大体の派閥員の郷土料理店には行ったなあ。
あとは、料理という概念がないピッカリン縁のお店……。
無いな、無い無い。
「カトレアしゃんは行きつけのお店とか無いんかみょん?」
「無い」
そりゃまあ、ピッカリンだからな。
「テスト中だし、ブロウライト牛でも喰いにいくか?」
「うへえ、あんまり試験中にがっつりはなあ」
「上級生にも、聞こう……」
まあそうだなという事になって階段を下りて玄関先までに上級生と合流する。
なぜか王家主従も付いてきているな。
「そうか、じゃあ、あたしんちの領の海鮮料理を食おう」
「なんだか、シルビアしゃんが混ざっていたみょん」
「派閥員ではないですわ」
「わっはっは、小せえ事を言うな、バカンスにはあたしんちの領に行くんだから予行演習だぜ」
「ちなみにシルビアさま、期末試験の勉強は」
「してねえっ」
まことに漢らしい脳筋ぐあいだなあ。
女性だけど。
「でも、リシュエール諸島の料理は気になるね」
「たしかに先に味を確かめるのは良いですな、王子」
「王子さん達も分かってんじゃんよ」
そう言ってシルビアさんはカカカと笑った。
豪傑だなあ。
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