第1323話 二日目の午後もつつがなく
集会室での昼食の良い所は、食休みしたらすぐ勉強会が出来る所だな。
コリンヌカルテットもやってきて、集会室でごろごろしてやがるけどな。
みんな勉強に飽きたらライ一郎を撫でたり、ヤギ次郎を撫でたり、ヘビ三郎を磨いたりしている。
《わたしも行きたい》
(狭いからヒューイは駄目よ)
《ぐぬぬ》
新しい集会室だと、従魔たちものびのびできるだろうか。
だが、三階だからなあ、上がってくるのが大変かもしれない。
というわけで今日も勉強勉強である。
カリカリカリカリ。
なんか王家主従も混ざって勉強していやがるが、お前達は王城に戻れよう。
「まあ、いいじゃないか、ジェラルドと二人だけで勉強してると煮詰まるんだよ」
「良いでは無いかキンボール」
おめーらはよう。
まあ、いいか。
カリカリカリカリ。
勉強は単調だけど、学生だからなあ。
悪漢を退治するのは学生の本分ではないのだ。
カロルと並んで復習をする。
真面目にベンキョしている彼女は凜々しくて好きだな。
うふふ。
「なによ」
「なんでもなーい」
こういうやりとりをすると、ユリユリ先輩の目がピキーンと光るのが怖いね。
カロルとの間にマメちゃんがやってきて転がった。
ふたりして、マメちゃんをこしょこしょする。
ああ、幸せだなあ。
「明日は、歴史、音楽、武術ね。中日だから一休みかしらね」
「歴史はメイン教科だよ」
あとの二つはサブの試験だけどね。
期末試験の歴史の範囲は、古代から古王国ぐらいまでだな。
先史魔導文明とかあるけど、あんまり正体は解って無いらしい。
一度世界が滅んでから、古代となり、魔国と戦いながらだんだんと大陸の国々が発展したり、滅んだりして古王国時代となる。
一度高度な魔導文明が滅んだ関係で、戦争なんかは古代の方が大規模だったりする。
飛空艇が結構残ってたり、陸上移動要塞とかもあったんだよね。
まあ、魔国と戦ったり、人間の国同士で戦ったりして先史魔導文明の遺産は壊れて行ったのだが。
音楽の試験は中間と同じで実技無しの知識試験だけであるよ。
楽譜とかの読み方とか、音楽知識やダンスの問題が出るね。
武術の試験は武器の問題とか、技の知識とかが中間では出たな。
期末でも似たような物かな。
あんまり知識系無いからなあ。
試合のルールとかかもしれないな。
まあ、今日は歴史をみっちりやればよろしい。
カリカリカリカリ。
三時までお勉強をしたら、ダルシーとアンヌさん、シャーリーさんやカリーナさんがお茶を出してくれた。
お茶うけはひよこ堂クッキーだね。
ポリポリ。
美味い美味い。
コリンヌさんがカルテットと一緒にまったりしていた。
ライ一郎がクッキーを食べておるぞ。
わりと甘い物が好きらしくて、喜びの気持ちが私まで伝わってきた。
虫歯になるなよー。
お茶を飲み終わったら、もうひと頑張り。
四時まで復習を続ける。
「さてと」
私が立ち上がると、皆も立ち上がった。
「お風呂に行きましょうか」
「カロルは錬金はいいの?」
「試験中は錬金薬は売れないわよ」
あ、それもそうか。
試験期間中にダンジョンに行く奴はいないからな。
「そいじゃ、お風呂行ってくるよ」
「おう、いってこい」
「いってらっしゃい……」
コリンヌさんがライ一郎に乗って厩舎方面に行った。
ヤギ次郎は併走、ヘビ三郎は首に掛けているな。
今日は王家主従もいるから、男衆がちょっと多いな。
まあ、聖女派閥なので女子が多いけどねえ。
女子達でぞろぞろと地下道に入り、女子寮の地下大浴場を目指す。
いや、今日は晴れているから玄関に回っても良いんだけど、地下道使った方が距離が短いんだよね。
夕方から入浴する生徒はあまりいないので、この時間は聖女派閥の独占みたいな感じだよね。
お風呂が混み合うのは、晩餐の後なんだな。
脱衣所で服を脱ぎ、浴室へと入る。
かけ湯をして大きなお風呂に入る。
ふう、やっぱりお風呂はいいね。
聖女派閥の女子みんなで入っても湯船は大きいのでらくらくであるよ。
マメちゃんもバシャバシャ泳いでヒルダさんに掴まって可愛がられていた。
「早く試験終わらないかな」
「試験が終わったら夏休みは目の前みょんな」
「皆で旅行をするなぞ初めてでわくわくしている。行軍の練習にもなるな」
「バカンスみょん、ならないみょんよ」
あいかわらずカトレアさんは脳みそピッカリンだなあ。
洗い場に行き、マメちゃんと一緒にダルシーに洗われた。
また湯船にもどって暖まってから、脱衣所に出た。
新しい下着と制服に着替えてさっぱりして大浴場を出る。
晩餐までちょっとあるのでロビーで応接セットに座っておしゃべりをする。
晩餐の良い匂いが漂ってきて、皆で食堂に入る。
「クララ、今日のお献立は?」
「うずらのソテー、オニオンスープ、グリーンサラダ、黒パンだよ」
「おお、うずら」
あまり前世では食べなかった鳥だけど、こっちでは結構食べる。
独特の風味があって美味しい鳥であるよ。
お料理をトレイに取って行き、ケトルからカップにお茶を注いでテーブルに持っていく。
ああ、良い匂いだね。
うずらたまごのフライも付け合わせに付いてるね。
美味しそうである。
皆がそろった。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
晩餐が始まった。
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