第1321話 午後は勉強会をしてお風呂に入り晩餐で初日が終わる
自然公園でのんびり昼食を取った後に学園に戻った。
コリンヌカルテットが全員出撃すると、帰るのが大変だな。
ヒューイがヘビ三郎を首に巻いて飛び立った。
ライ一郎とヤギ次郎も走り去った。
「大丈夫なのかね?」
「最近はみんな慣れてびっくりしなくなりましたよっ」
コリンヌさん、それ慣れたんじゃなくて、諦めたんだと思うよ。
言わないけど。
みなで学園まで歩いて戻り、そのまま集会室で勉強会であるな。
明日のテスト教科の復習をしよう。
明日の一年A組の試験は、社会、美術、倫理だね。
期末試験は何しろ期末なので、中間テストの範囲も含んで一学期に勉強した単元全てが範囲だからなあ。
結構広いのだ。
まあ、美術は簡単だから良いとして、倫理は丸暗記しないと、前世日本の常識と反する理屈で動いてやがるからなあ。
というか、アップルトン貴族の倫理観が出て面白い。
四民平等とかはまだなんだよなあ。
何しろ封建制だからな。
とはいえ、前世フランスみたいな革命が起こって市民に権力が渡ると人死にが偉い事になるので和やかに移行して欲しい物だよ。
日本の明治維新がどうかしてるのであって、革命はいろいろとやばいのである。
ギロチンで政敵をぬっころしまくる訳で。
なんとか、和やか革命になって欲しいよなあ。
まあ、すごい人死に、ナポレオン戦争があったからこそ、市民に権力が渡った、とも言えるのだがなあ。
などと考えながらノートを見て復習である。
ちょっと考えてしまう、教科の並びだね。
カリカリカリカリ。
カリカリカリカリ。
勉強は続くよどこまでも~。
学生の本分は勉強だしなあ。
「ポッティンジャー派閥が、試験後に大規模な集会を開くそうですわ」
唐突にヒルダさんがそんな情報を上げてきた。
「あら、どこでやりますの?」
「国際ホテルだそうですよ」
ポッティンジャー派閥も頑張ってるな。
「よし、殴り込みにいこう」
「いくみょんよ」
「やめなさい。剣弓毒は条約で禁止よ」
「もったいない」
「吠え面かかせてやりたいみょんよ」
剣術組は血の気が多くていけないね。
「集会は派手にやられるのでしょうね」
「そうみたいですね、国際ホテルの大ホールを借り切って黄道亭にお料理を注文したそうですわ」
「お金が掛かりそうだなあ」
まあ新興のポッティンジャー派閥としては、一学期の締めくくりに大きい花火を上げて存在感をアピールしたい所だろうね。
「何か妨害工作とかしなくていいのか?」
「しないよ、カーチス」
君は聖女派閥を何だと思っているのだ。
ドアがノックされて、ダルシーが対応に出ると、ポッティンジャー派閥のメイドさんのアンジェリカさんであった。
「あら」
「こんにちは、今日はビビアン様から派閥大会へのご招待状をお持ちしました」
そう言ってアンジェリカさんは封筒を私に差し出した。
「これはありがとう、お返事は?」
「派閥の集会室まで届けてくださいませ」
封筒を開いて見た。
マコト・キンボール様へ、となっているな。
「一人分?」
「そうですよ」
ビビアンさまはカロルが大嫌いだからなあ。
「乗り込むのか、マコト!」
「まさか、向こうも私が参加するとは思って無いでしょうよ」
「聖女候補さんとは不幸な行き違いがあったので、この機会に誤解を解きたい、ともうしておりました」
「まあ、今回は見送らせていただくわ」
「左様でございますか、ビビアンさまにお伝えしておきますね」
アンジェリカさんは優美に挨拶をして去っていった。
「乗り込んで滅茶苦茶にしてやればいいのによ」
「私はテロリストかっ」
「ポッティンジャー派閥でなければ一応顔だけでも出しておくという手もありますが、あいつらは何をするか解らないので参加しないのが正解ですわね」
お、ヒルダさんに正解と認定されたぞ。
嬉しいな。
まあ、勉強しよう。
カリカリカリカリ。
四時まで勉強して、みんなで大浴場へ。
試験期間でも月曜と水曜は聖女の湯であるよ。
この前作った新作を湯船に垂らして、のんびりと入浴する。
「試験中に聖女の湯は捗りそうですわ」
「明日も元気を出して頑張りましょうね」
今日もダルシーにマメちゃんごと洗われてさっぱりした。
さっぱりしたら、一階に上がって晩餐である。
今日のお献立は何かな。
「今日は、カレイのソテー、マヨコーンサラダ、コンソメスープ、黒パンだよ」
「おお、カレイ」
「カレイ」
カレーではないな。
平べったい魚の方だ。
お料理をトレイに取って行き、最後にカップに冷めたお茶を注いでテーブルに持っていく。
わあ、バターソテーだね、美味しそうな匂い。
全員が席に付いたので、お食事のご挨拶。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
おお、脂の乗った白身魚で美味しいね。
淡泊なお魚は好きだよ。
カレイも輸送するのが大変だろうになあ。
氷魔法使いが頑張ったかな。
おいしいおいしい。
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