第1319話 アダベルを見送って晩餐である
蒼穹の覇者号はカロルの操縦で無事にビアンカ基地に着陸した。
「お疲れさま~、上手くなってるねえ、カロル」
「そんな事は無いわよ」
「上手くなっている……」
パイロットトリオの活動も良いなあ。
もう大分操縦に慣れて楽々動かしているね。
聖女派閥員とアダベルで連れ立って蒼穹の覇者号を下りた。
ヒューイが後部貨物室から出て来て、ゲートの方に走り去った。
《またな、主よ、姉上よ》
「またね、ヒューイ」
「またなあっ」
ヒューイに手を振って見送った。
勝手に厩舎に帰ってくれるから便利だよねえ。
地下通路を行き、武術場口に出る男子達も見送った。
コリンヌカルテットもここで上がって厩舎に向かう。
アダベルは女子寮の玄関から出る感じだ。
「明日から期末試験ですわあ」
「気が重くなりますわね」
「まあ、学生の宿命だよ」
学生は楽しい事が多いけど、そればっかりじゃないよね。
階段を上がって女子寮の地下階へと出た。
何回かに分けてエレベーターで一階に上がる。
「そいじゃ、またなあ、みんな」
「またねアダベル」
「お疲れさま」
アダベルは女子寮の玄関から去っていった。
さて、良い時間だから食堂に入って晩餐にしますか。
「クララ、今日のお献立は?」
「オムライス、コーンスープ、グリーンサラダ、コロッケだよ」
「おー、オムライスかあ」
これは美味しそうだね。
私はお料理のお皿をトレイに取っていき、最後にカップに冷めたお茶を注いでテーブルにもって行った。
うーむ、ケチャップは普通にかけられているだけでハートは書かれてないな。
あと、クララも美味しくなる呪文とかもしてくれなかった。
皆が席についたので、お食事のご挨拶だ。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
ぱくり。
おおお、固めの卵に味わい深いチキンライスが包まれていて良い味だなあ。
美味い美味い。
ケチャップも良い感じだね。
コーンスープにも合って美味いね。
パクパク。
チキンライスのお米は前世の日本みたいな短米種なんだよね。
乙女ゲームだからだろうなあ。
不思議な感じだね。
パクパクモグモグ。
ライスものはテンションあがるなあ。
カレーライスとか出ないかな。
おかわりも有りで。
コロッケは普通のジャガイモコロッケであるな。
ほのかに暖かくてサクサクだ。
「マコトって、パンよりもライスの方が好きよね」
「うん、ご飯好きだなあ」
「ライスって意外に高いんだよなあ」
「そうなんだ」
というか、パンはツンフトで値段が規制されてるからね。
あまり値上がりすると貧民たちが飢え死にしてしまうかららしい。
ライスは外国から来た物だから、パンに比べると高いんだろうな。
晩餐を食べおわった。
はあ、美味しかったなあ。
返却口に食器を片付けて、テーブルに戻ると、ダルシーがお茶を入れてくれていた。
「期末試験が終われば、夏休みも目の前ですわね」
「そうですわね、騎獣レースがあって、終業式ですわ」
もうすぐ一学期も終わりか。
なんだか事件が多過ぎで、何年も学園で暮らしている気がするね。
飛空艇を掘り出したり、竜馬をテイムしたりで交通状況が一変したね。
やっぱり飛空艇を手に入れたのはデカイね、RPGでは後半に手に入れるような交通手段だよ。
ホルボス山に行ったり、旅行したり、マーラー領で服を買い込んだり、色々出来て助かるよねえ。
エイダさんも良い人だし。
「バカンス楽しみですわねえ」
「水着は買いましたし、あとは何か必要かしら?」
「夏向きの服とか必要ですわね」
「バカンス前にマーラー領に行きませんと」
お洒落組はマーラー領で夏物を揃える気だな。
麻の涼しいドレスとか私も買おうかな。
あと、麦わら帽とか。
「まあ、楽しい夢想は試験が終わった後だ」
「はあ、そうですわね、コリンナさま」
「早く終わって欲しいですわあ」
泣いても笑っても明日から期末試験だしね。
頑張ろうでは無いか。
お茶を飲み終わったので食堂を出る。
「それでは、お休みなさい、マコト」
「おやすみ、カロル」
エレベーターホールでお休みの挨拶をして、子爵位より下の令嬢さまたちは階段を上がって二階に上がる。
みんなとお休みの挨拶をして、コリンナちゃんと一緒に205号室へと入った。
さっそくコリンナちゃんは机に向かって勉強を始めた。
うはあ、ガッツあるなあ。
「マコトも気を抜くと順位が落ちるぞ」
「私は、まあ、A組に居られればいいよ」
というか、カロルと一緒のクラスならば問題無いのだ。
なので、トストスとハシゴを登って自分のベッドに潜り込んだ。
マメちゃんが影から出て来てじゃれついてくる。
うりうり、可愛い奴め。
「寝るならパジャマに着替えておけよ」
「まだ寝ないよ~」
マメちゃんを構ったり、本を読んだりして夜をすごすのだ。
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