第1309話 お勉強会を切り上げてお風呂に向かう
武術大会の熱気が残って勉強に身が入らない感じだなあ。
まあ、ぱっぱと切り替えろと言っても難しいのは解るけどね。
それでも無情に期末試験は万人に訪れるのだから勉強をしないとだめだ。
「さすがは聖女の派閥だ、真面目だなあ」
「シルビアさんは王家派閥だっけ」
「そうそう、というか、王家派閥は学生の行事とかは無いからなあ、オヤジとお袋の夜会が時々あるぐらいだな」
王家派閥は別に結束を固めなくてもいいからなあ。
ポッティンジャー派閥だと新興派閥だから学生間の行事も多いのだろう。
聖女派閥は学園に居るときだけの時限派閥だから、学校行事に合わせて活発にある感じだね。
「期末試験が終わったら、騎獣レース、そして夏休みですわねっ」
「聖女派閥では楽しい行事が目白押しですわあ」
夏休み前半はね。
後半は特に決まって無い。
というか、尼さんの巡礼に混ざってカロルのファルムガルドに押し掛けるつもりだ。
姿を変える魔導具とかは無いのかな。
一人で巡礼に混じりたいが……、ダルシーは来そうだなあ。
《私も行く》
(えー)
ヒューイが入ってくると正体がばれるなあ。
馬にも化けられないだろうし。
《ばける!》
そんな能力は君には無いだろう。
ちょっと、リンダさんに相談……。
リンダさんも付いて来そうだなあ、やだなあ。
「マコト何を考えて居るの」
「お、おおっ、べ、別になにも考えてないよ、カロル」
虚を突かれて挙動不審になってしまった。
《巡礼ですかー》
(連れていかないからね)
《そんな殺生な!》
というか、コリンヌさんは念話に割り込んできなさんな。
従魔扱いだから、思考が読まれるのが結構つらいな。
あ、真面目に勉強しよう。
そうしよう。
カリカリカリカリ。
「男子の優勝はポッティンジャー派閥に取られましたが、女子の優勝は聖女派閥がとりましたわ」
「男子の部の準優勝もカーチス様がお取りになられましたから、聖女派閥の面目躍如ですわあ」
まあ、誇らしいけど、面子とか面目とかはね。
一生懸命やって、良い結果を出しただけで良いと思うんだ。
二年生にみんなでA組、というのも結果的に落ちた子がいても良いと思うんだ。
一生懸命やって良く無い結果がでても、まあ、それはそれだしね。
大きな目的を持って挑戦するのが大事なんだろうね。
うんうん。
さて、鳩時計がペッポウと四回鳴いたので、勉強は切り上げである。
「お風呂か~」
「そうだね」
「私は錬金するから行かないわ」
「カロルは働き者だなあ」
「ポーションは切れないようにしとかないとね」
カロルは錬金釜付きのお部屋を借りてるからなあ。
というか、一流錬金薬メーカーのCEOの作るポーションというのは相当に価値が高いのだけどな。
「エルザも一緒に風呂に行こうぜ」
「私はお部屋にお風呂がありますから」
「なんだよう、裸と裸の付き合いをしようぜ」
シルビアさん、言動が令嬢っぽくないぞ。
エルザさんは苦笑いをして断った。
「エルザさん、アレルギーの方は大丈夫?」
「次の聖女の湯ではお伺いいたしますわ」
「そうか、月曜日か、よし」
「どうしてシルビアさまは私とお風呂に入りたがりますの」
「そりゃ、筋肉の付き方とか見たいしよ」
意外と実践的な答えだったが、エロい感じもするなあ。
結局、私、コリンナちゃん、コリンヌさん、カトレアさん、コイシちゃん、シルビアさん、メリッサさん、マリリン、ジュリエットさんでお風呂に行く事になった。
今日はジャンヌお義姉様も来ていたのだけれど、何か用事があるという事で帰ったね。
武術場の一階、倉庫の所から地下道へと入る。
シルビアさんは物珍しいのかキョロキョロしながら歩くね。
「お、射的のマトだ、誰がつかってんの」
「私……」
「へー、弓やるのかあ、いいなあ」
「あんまり上手くないけど」
「いや、文官はさ、上手く無くても武術をなんか持ってるべきなんだよ。何があるか解らないから、咄嗟に使える技術は大事だぜ」
「そうかもねえ」
ジュリエットさんが寄ってきた。
「私もなにか武術をするべきかなあっ」
「やるべきやるべき」
「やるみょんやるみょん」
私のかわりに、カトレアさんと、コイシちゃんが返事をしてくれた。
「これまで何かやったの?」
「鉄扇ぐらいかなあ、振るだけ~」
「鉄扇も真面目にやると強いからな」
「エルザさまに教えてもらうんだ」
「ジュリエットさんは魔法使えるからね」
「ああ、そっちで戦えれば良いか」
まあ、そうなんだよね。
投射系の魔法が使えると射手ぐらいの攻撃力はでるしね。
バフ、デバフ魔法とか、いろいろ搦め手を使えると心強い。
コリンナちゃんが弓をやってるのは、魔力も薄くて魔法戦闘が出来ないからなんだよな。
その点、ジュリエットさんは魔力量が多いから魔法師として戦えるのだ。
素養によって、戦い方、役に立ち方は色々だよねえ。
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