第1307話 女子決勝戦、決着!!
エルザさんは名を呼ばれ、台上に上がる。
シルビアさんも台上に上がる。
なんだろうか、エルザさんの風格が凄いな。
「剣を使うのか、嬉しいぜ」
「勝たないといけませんからね」
「へへへ、大口を叩くじゃあねえか」
台上で二人は睨み合いをする。
ギリギリと台上の雰囲気が引き絞られていく。
「それでは、お互い礼」
二人は頭を少し下げた。
「それでは決勝始め!」
バッテン先生が片手を上げて試合開始を宣言した。
二人は共に大木剣だ。
エルザさんの木剣はカーチス兄ちゃんの物なので少し大きめか。
シルビアさんの木剣は体格に合っている。
ゆるりと、二人とも、鏡に映ったように大上段に構えた。
そのままピタリと動きを止めた。
会場が水を打ったように静かになった。
まったく動いていない。
ように見えるが、じりじりと虫が動くぐらいの速度で間合いを詰めていた。
すり足だ。
二人とも大上段、そしてじりじりと足の指だけを使って間合いを詰めている。
息が詰まるようなじりじりした雰囲気だ。
会場の全員が息を詰めて台上の二人を見つめている。
「間合いが、詰まるわね……」
カロルがつぶやいた。
エルザさんの木剣はカーチス兄ちゃんの物だから、あと少しで距離が詰まり、シルビアさんに届く。
間合いが、詰まった。
エルザさんが振り下ろせば届く間合いになった。
シルビアさんが一歩踏み込んで間合いを詰め、木剣を振り下ろした。
エルザさんも同時に振り下ろす。
木剣と木剣が途中で打ち合わされた。
ガン!
ガン、ガガガガン、ガガッガガッ!
二人は足を止め、凄い勢いで打ち合い始める。
意外な事に、エルザさんの振りは、シルビアさんに比べると少し遅い。
シルビアさんの方が振りが早いな。
だが、エルザさんの方が押している。
エルザさんは振りのキレが半端無いのだ。
動きの切れというか、なんか速度じゃ無くてキレだ。
シルビアさんより遅いけど、的確で、キレがある。
シルビアさんの斬撃と当たると、大抵、跳ね返す感じで押し退ける。
すげえっ。
足を止めてエルザさんとシルビアさんは打ち合いをしている。
シルビアさんがヒョンと一歩下がる。
エルザさんが踏み込んで長い斬撃を打ち込んだ。
ガガガン、とシルビアさんが振りを重ね、斬撃を弾いた。
流星のように、エルザさんが肩からの斬撃を二本打ち込む。
シルビアさんは足を使い受け流し、振り上げてまっすぐに斬撃を打ち込む。
ふわあ、二人とも上手いなあ。
エルザさんの風格のある剣よ。
カンカンと木剣を打ち合わせながら、二人は台上を素早く移動して戦いあっている。
シルビアさんが腰をひねるようにして、二連撃をエルザさんに打ち込む。
巻き込むように打ち下ろし、そのまま引き上げてバックソードで急襲する。
シルビアさんはのけぞるように避けながら手首だけで打ち込む。
エルザさんは笑って歩法で避けた。
間合いが離れた。
シルビアさんは大きく肩で息をしていた。
エルザさんは特に息を荒げてはいない。
ふっと、息を切るようにシルビアさんが荒い息を止める。
エルザさんが浮かすような斬撃を上げた。
シルビアさんは背中を丸めてくぐるようにエルザさんを狙う。
エルザさんの斬撃は複雑に動いて懐に潜り込んだシルビアさんを狙う。
後ろにトンボを切ってシルビアさんは間合いを外した。
パンパンと二歩踏み込んでエルザさんは追う。
シルビアさんは斬撃を見ないで打ち上げて当てて受け、そして刀身に手を当て斬り下ろす。
くるりとエルザさんが回る。
シルビアさんは刀身を両手で持って、柄の方でエルザさんに殴りかかった。
そんな技もあるんだ。
というか、有るのは知ってたけど、使うなんて。
エルザさんが下から切り上げてシルビアさんの剣をはね上げた。
シルビアさんの木剣は空中でキリキリと回った。
勝った!
と、私は思った。
会場の全ての人はそう思っただろう。
シルビアさんは二歩下がって手を大上段の構えにした。
そこに、魔法のように木剣が落ちてきた。
稲妻のようにシルビアさんはエルザさん目がけて振り下ろした。
ガキン。
エルザさんは微笑んで木剣でその斬撃を受け止めた。
そして水銀のように受け流し、シルビアさんに体当たりをするような距離で木剣を小さく振った。
ドカン!
胸に一撃を受けてシルビアさんが転がった。
「一本! 勝者、エルザ・グリニー」
シルビアさんは頭を振ってヤレヤレという顔をした。
そして、差し出されたエルザさんの手を取って満面の笑みを浮かべて立ち上がった。
「エルザ、おまえ、つええなあっ!」
「シルビアさまも凄かったですわ」
おー、女子の部はエルザさんが優勝だ。
やったねっ!
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