第1297話 木曜日はコリンナちゃんを追い回す
朝なので、体操着に着替えてコリンナちゃんとカロルとグラウンドでランニングである。
コリンナちゃんが半周する内に、私とカロルは三周しているのだけどね。
それぐらい速度が違う。
コリンナちゃんは顎を出しながらも、半周とちょっと、マメちゃんと一緒に走りぬき、水飲み場で水をガブガブと飲んだ。
「うむ、距離が少し伸びたよ、偉い偉い」
「タイムも少し上がったね、偉い偉い」
「ぐおうぐおう」
なんだかコリンナちゃんは水を飲みながら吠えていた。
三人で地下道に入り、蒼穹の覇者号のシャワールームで汗を流す。
ふう、朝シャンは気持ちが良いね。
制服に着替えて、ラウンジでダルシーの入れてくれたお茶を飲む。
「今日はまた、午後から武術大会だね」
「派閥の子がみんな勝ち抜ければ良いのだけれども」
「二回戦は厳しいかもね、何人かは脱落しそう」
「期末試験前に武術大会をしないで欲しいよなあ」
まあ、コリンナちゃんの言う通りではあるのだが。
お茶を飲み終わったので、蒼穹の覇者号から出て、地下道を女子寮に向けて歩く。
地下階に出たら、エレベーターで一階に行くと、派閥員がみんな揃っていて、食堂へと入る。
今日の私はナッツポリッジの口だったので、クララに頼んでよそって貰った。
テーブルに持っていって、皆がそろってから朝食を始めた。
ああ、ナッツポリッジ美味しい。
ポリポリ。
食事が終わったら、みんなで登校である。
今日も良く晴れて、ちょっと暑いかな。
階段を上がり、私とカロルとカトレアさんとコイシちゃんはA組を目指す。
はやく来年になって、みんながA組で集まれたら良いなあ。
A組に入り、席に着く。
マメちゃんが影から出て来て、私の足にじゃれついた。
抱き上げてカロルに渡して、可愛がって貰う。
マメちゃんはくすぐられて嬉しそうだな。
アンソニー先生がやってきて、ホームルームだ。
マメちゃんは私の影に潜って眠り始めた。
アンソニー先生の通達は、今日も武術大会だけど、期末試験も近いので、あまり夢中にならないように、との事。
やっぱりアンソニー先生的には、武術大会よりも期末試験の方が重要っぽいね。
あと、そろそろ暑くなってくるので、体調に気を付けようとの事。
無理して倒れる前に、魔導冷房を使って休むようにしよう、だそうだ。
まあ、前世の日本ほどには暑くはならないので、そこらへんはあまり心配しなくてもいい。
前世日本と違い、あまり湿度が高く無いので、木陰とかに入るとわりかし涼しく過ごす事ができる。
んまあ、暑いには暑いんだけどね。
ホームルームが終わって、午前の授業が始まる。
木曜日は、国語、社会、魔物学、美術という感じで、割と得意科目が続くね。
美術の時間は、男子が油絵、女子が刺繍であるね。
刺繍はわりとちまちましているのだけれど、それほど嫌いでは無い。
モクモクと作業してしまうね。
カトレアさんが刺繍が苦手のようで、針で指を指してギャーと言っていた。
「カロルは上手いわね」
「わりとお裁縫も好きよ」
そう言ってカロルはバラの刺繍を綺麗に仕上げていた。
「うわ、綺麗ね」
「後でマコトに上げるわ」
「じゃあ、私のと交換しようよ」
「いいわね」
カトレアさんがコイシちゃんを見た。
「私たちも交換しようぜ」
「え? カトレアしゃんの刺繍は酷い出来だからお断りだみょん」
「ぐぬぬ」
意外とコイシちゃんはドライだなあ。
まあ、カトレアさんの刺繍、血痕が付いて禍々しいからなあ。
刺繍の完成は次回ぐらいかな。
先生に刺繍を提出して、戻って来たら、カロルと交換しよう。
美術室から戻ってくると、B組の子たちがやってきた。
「今日はどこで昼飯だ?」
「どうしようか」
クララのパンワゴンは昨日行ったからなあ、というか、今日は出て無い。
ひよこ堂だと、二日続けてお昼がパンだし。
「街に行くか」
「そうだね」
しかし、聖女派閥のメンバーの領の郷土料理はだいたい試したなあ。
カロルの薬膳料理以外は。
もう一度行きたいとなるとツバメ食堂だが、激混みっぽいね。
初夏なのでウナギを食べたいのだがなあ。
「どこか良いお料理屋さんは無いかな」
「私の領の郷土料理は、まだ試して無いわ」
「「「「……」」」」
みんなカロルから視線を外した。
「か、体に良くって、とても美味しいのよっ」
「カーチスは食べた事は? お隣の領でしょ」
「うん、まあ、そうだな……」
「こ、子供の頃の薬膳料理とは違うのよっ」
派閥員と目線を合わせた。
「とりあえず、一回ぐらいは……」
「これから武術大会なんだよ」
「失礼ねっ!」
まあ、体調を崩すような料理では無いと思うが……。
清水の舞台から飛び降りる感じで、一度行って見るべきだろうか。
不味かったら二度と行かなければ良いのだから。
うむむ……。
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