第1295話 戦い済んで勉強会
やあやあと、勝ち抜いた派閥の選手たちを迎え入れる。
みんな頑張ったなあ。
全員勝ち抜きで良かったね。
やっぱりエルザさんが強いよなあ。
マリエッタ嬢が聖女派閥の席の前に来た。
「エルザ、私はお前を下し、武術大会の女子の部の優勝を貰う」
「あら、元気がよろしいですわね」
「我がポッティンジャー派閥と聖女派閥は表立っての武力衝突が条約で出来ない、だから、この機会に私がお前達に土を付ける」
なかなか元気な人だなあ。
シルビアさんがニマニマしながら寄ってきた。
「マリエッタ~、今年は私を倒せるのか~~」
「シルビア、今年は必ず、お前も倒す!!」
去年はシルビアさんに負けたのかな。
女子の部優勝は卒業した三年生だったよね。
なかなか盛りあがるなあ。
武術大会一日目が終わり、私たちは教室に戻った。
ちょうど午後の魔法実習の時間を使って武術大会をやっているんだね。
「いやあ、みんな強かったね」
「見応えがあったわね」
武術系の生徒の戦いを見るのは楽しいね。
普段あまり見ないからね。
A組に戻り、アンソニー先生を迎えてホームルームである。
勝った人も負けた人も腐らずに、期末試験に向けて勉強に励むように、との事。
毎年、武術大会で良い成績を収めて嬉しくなり、打ち上げで騒ぎすぎて期末試験が残念な事になる武術生徒が出るそうだ。
そういう事の無いように、との事。
起立、礼でホームルームは終わり、放課後であるね。
まあ聖女派閥は勉強会を継続するがね。
お、そうだそうだ。
「ちょっと、食堂寄ってくるよ、先に集会室に行ってて」
「食堂? どうするのマコト」
「剣術組にご褒美をね」
私は早足で教室を出て、階段を駆け下りた。
校舎を出て、女子寮に飛びこむ。
食堂に行くと、クララとメレーさんが休憩していた。
「ねえねえ、エクレア余ってない?」
「う?」
「無い事は無いけど、幾つ?」
「男子が三つ、女子が三つで、六個あるかな」
メレーさんが魔導冷蔵庫を開いて覗いた。
「ああ、六個なら出せるよ」
「おねがい、剣術大会で勝ち抜いた子にご褒美としてあげるのよ」
「なるほど、今、クリームを詰めるから待ってておくれ」
クララとメレーさんがエクレアにクリームを詰めて、経木箱に入れてくれた。
「ありがとう」
ダルシーが現れて、お金を払ってくれた。
「ありがとうね」
「明日もなんか作っておくかい?」
「そうね、何かケーキっぽい物を」
「請け負った」
メレーさんは頼りになるなあ。
私は経木箱をもって集会室へと歩いた。
集会室では、みんな集まって勉強を初めていた。
「ダルシー、勝ち残った選手にご褒美を出して」
「かしこまりました」
ダルシーは経木箱を受け取って、お皿にエクレアを移し、今日、武術大会で勝ち残った選手の前に置いた。
「おお、コレは?」
「武術大会の勝ち残りのご褒美よ」
「ああ、なんか、良いなあ」
「ありがとうございます、領袖」
「いいなあっ」
コリンヌさんがうらやましそうな声を出した。
「エクレアは嬉しい」
「美味しいみょん」
「ごちそうさまです」
「美味しい……」
カロルが笑顔を浮かべていた。
「そうね、頑張った人にはご褒美よね」
「そういう事」
みんなニコニコしながらエクレアを頬張っていた。
「明日も勝ち抜いた選手には、ご褒美出しますよ」
「「「「「「おおっ!」」」」」」
剣術大会の選手たちが盛りあがった。
やっぱご褒美は嬉しいもんなあ。
さて、私も収納袋から教科書とノートを出してお勉強を始める。
がんばろう、カリカリカリカリ。
やっぱり剣術組は少々勉強に身が入らない感じかな。
ちょっと、上の空だったり、明日の試合の事とか考えていそうだなあ。
まあ、無理もないか。
カリカリカリカリ。
カリカリカリカリ。
ふう、一時間ほど勉強したら、ちょっと疲れたな。
ペッポウペッポウペッポウと鳩時計が三時を知らせた。
ダルシーとアンヌさん、ミーシャさんがお茶を運んで来た。
ありがとうありがとう。
お茶菓子はひよこ堂クッキーだな。
「武術の試合の後に、すぐ勉強は変な感じだな」
「剣客型の生徒は勉強とかしなさそうね」
「気を抜くと成績落ちるみょん」
「そうだな」
カトレアさんとコイシちゃんは勉強ができて不思議だなあ。
お茶を飲みながら雑談をする。
「エルザさん、マリエッタさんに勝てそう?」
「ご褒美を用意しておいてくださいましね」
そう言って、エルザさんは笑った。
おお、凄い自信だなあ。
「派閥の面子もあるからなあ、負けられん」
「カーチスはマイクーに勝てそう?」
「うーん」
カーチス兄ちゃんにしては珍しく自信が無いな。
マイクーももの凄く強いからなあ。
無理もない。
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