第1294話 武術大会一日目始まる
武術場に今回の武術の選手が登っていった。
女子の部には聖女派閥の人が多いな。
男子の部だと、カーチス兄ちゃん、エルマー、オスカーの三人だね。
ライアンは出なかったのか。
選手達は四面の観客に頭を下げて、台を下りて、最前列、砂かぶりの列に座った。
女子の台では審判にバッテン先生、男子の台は知らない男の先生であった。
台上に選手が上がった。
お、初回、カトレアさんだな。
男子は知らない二年生同士だ。
カトレアさんは木製の模擬エストックを構えている。
相手側は二年生の片手剣と盾の冒険者スタイルの選手だな。
なかなか良い感じの構えだな。
「それでは、始め!」
バッテン先生が開始の合図を旗を上げた。
カトレアさんがダッシュで駈け寄った。
二年生は盾を構えて慎重に動いている。
カトレアさんは寄ってエストックで突きを放った。
鋭い突きを二年生が丸盾で受けたが、思ったより力が入っていたのか、丸盾が跳ね上がった。
「え?」
さらにカトレアさんはすり足で踏み込み、突きを放った。
木製エストックの穂先は二年生の首の前で止まっていた。
「カトレア、一本!」
ドワアッ、と、会場が沸いた。
一本勝ちだね。
カトレアさんは笑顔で二年生と握手を交わし、エストックを掲げて台を下りた。
「幸先が良いわね」
「本当に、エストック慣れもして、良いわね」
エッケザックスを使う為にエストックを一生懸命練習したんだろうなあ。
すごく上手くなっている。
二年生男子も両手剣の生徒が勝ち上がった。
マイクーと二年生が台上にあがった。
女子二人は、知らない二年生と一年生であった。
さすがは前回優勝者のマイクーは危なげなく勝ち上がった。
女子は、ハンマーの子が勝ち上がった。
ハンマーで勝てるのは凄いな。
武術の試合を見るのも、なかなか楽しいな。
三試合目は男子にエルマー、女子の方にコイシちゃんが出た。
エルマーの三節棍は魔法の杖でもあるけど、今大会は魔法禁止なので、打撃武器として使う。
相手はオーソドックスな片手剣に盾の一年生であった。
ビュンビュン振り回して動きで翻弄して、エルマーの勝利だった。
エルマーはにっこり笑って台上を下りた。
女子は、コイシちゃんと、二年生両手剣の生徒であった。
コイシちゃんの蓬莱木刀も両手剣ではあるので、両手剣対決だね。
水銀が流れるような滑らかな動きで、コイシちゃんの勝利である。
「おー、聖女派閥は全員一回戦は突破できるかな」
「出来そうだね、明日の二回戦目から難敵に当たりそうだよ」
コリンナちゃんがプログラムを見ながらそう言った。
第四試合、ちょうど折り返しだね。
シルビアさんが台上に登った。
いやあ、さすがは優勝候補、声援が凄いね。
彼女は両手木剣を持っていた。
なかなかの風格だ。
相手側は二年生、ちょと気圧されてるかな。
男子側はオスカーが台上へと立った。
試合開始の合図と共に、シルビアさんはすたすたと敵に近づき、気負い無く剣を振った。
「一本、それまで」
おー、これは剣術素人の私でも解る。
シルビアさん、強いわ。
男子側は、オスカーと二年生とが白熱の打ち合いをして、オスカーが競り勝った。
オスカーもなかなかやるな。
というか、試合後にカロルに熱い視線を向けんな、こら。
それさえなければ良い奴なのだがなあ。
シルビアさんは明日、コイシちゃんと対戦、その次はカトレアさん、勝ち上がってくれば決勝でエルザさんと戦う感じだね。
いやあ、楽しみだなあ。
シルビアさんが強いか、エルザさんか、とても楽しみだね。
第五試合だ。
男性側にカーチス兄ちゃんが出る。
女子側は知らない一年生と二年生の対決。
カーチス兄ちゃんの戦いはガドラガから見て無かったけど、結構仕上がっている感じだな。
相手を両手剣で圧倒して勝ち上がりだ。
女子の部は槍の一年生が手堅く勝った。
実直な戦い方で、槍さん、良いね。
第六試合に入る。
男子も女子も、派閥の生徒は出て無いね。
エルザさんは第八試合だし。
女子の試合はしょっぱかったけど、男子の試合は勢いがあって見応えがあった。
やっぱり元気でたたき合いをしてなんぼだね。
武術大会なんだから。
第七試合だ。
女子側に目立つ生徒がいた。
「ポッティンジャー派の剣客二年生、マリエット・オーバン子爵令嬢ですわ」
「おお、ポッティンジャー派、腕の方はどう?」
「突剣使いですわ。エルザさまとの試合が楽しみですわね」
やっぱり敵派閥から強敵が出て、なんぼだよねえ。
マリエットさんか、金髪で人形みたいな綺麗な人だな。
木製の突剣をもって台上に上がった。
相手側はモーニングスターであった。
うむ。
カロルが使ってるトゲ付き鉄球だな。
こっちはメイス状だが。
「く、組み合わせとしては悪くありませんわ、刺殺武器と打撃武器の相性は打撃優位ですし」
マリエットさんは突剣をくねらせてモーニングスターを軽くいなして下した。
さすがは剣客二年生だ。
さて、最後の第八仕合だ。
エルザさんが鉄扇をもって優雅にあおぎながら台上に上がった。
あんまり武術大会では鉄扇を使う生徒はいない。
まあ、基本的に短い棍棒だからね。
相手は槍の二年生、意外に練度が高そう。
エルザさんはスタスタと歩き、鉄扇を開いて槍を受け、懐に入って鉄扇を相手の首に当てた。
「ま、まいった!」
エルザさんは、きゅっと笑って鉄扇を閉じて台から下りていく。
よし、聖女派閥、全員が一回戦突破だ!
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