第1293話 クララワゴンでお昼を食べて武術大会に備える
武術の授業を終えてA組に帰って来た。
さあて、昼食はどうしようかな。
B組の連中がワラワラと入って来た。
「今日はどうする」
「どうするかね」
「今日はクララのパンワゴンが出てるわよ」
「パンワゴンかあ」
ひさびさにパンワゴンでパンを買って集会室で食べるかな。
「パンワゴンに行こう」
「よし」
みなでぞろぞろと階段を下りて校舎を出る。
女子寮前のクララのパンワゴンに行く。
わ、意外と混んでるなあ。
日に日に評判が高くなっている感じだね。
「お、マコト、いらっしゃい」
「今日は……、シチューポッドと、クロワッサンと、レモネードをちょうだい」
「はい、まいどあり」
クララは手早く亜麻布袋にパンとレモネードを入れてくれた。
派閥員の皆もぱっぱとパンを買い込んでいた。
「集会室で食べるか」
「午後から武術大会だしね」
ぞろぞろと、皆で集会室に移動した。
武術大会に出る子は皮甲冑を着けて武装しているね。
なかなか良い感じだ。
クララのパンワゴンのパンをパクパクと食べる。
やっぱり、イルダさんの手が入った調理パンは良い味ですばらしいなあ。
甘い物もクララの才能がほとばしっていて美味しい。
「ああ、わくわくしますぞ、殿!」
「カトレアは落ち着け」
「落ち着くみょんよ」
「聖女派閥員でつぶし合ったらもったい無いわね」
「バッテン先生が上手くやってくれていると信じたい所だな」
エルマーも皮鎧を着ていた。
「エルマーも出るの?」
「出る……、棒……」
そう言うとエルマーは懐から三節棍を出した。
そうか、棒か。
「木剣よりも有利なの?」
「まあ、ちょっとは有利かな、でも槍の方が有利かもしれん」
「槍は扱いやすい……」
「そうなのか」
槍は長い分、楽らしい。
あと、柄を棒のように使えるしね。
「エルザさんは鉄扇なの、短剣じゃなくて」
「淑女は鉄扇ですわ」
「強いの、カトレアさん?」
「滅茶苦茶だよ」
「失敬ですわね、カトレアさま」
やっぱ強い奴は何使っても強いんだろうなあ。
「ダルシー、お茶ちょうだい、あれ?」
「ダルシー、アンヌ、シャーリーの戦闘力のあるメイドは現在武術場で席取りをしております」
ヒルダさんがそんな事を言いおった。
「席取り」
「ええ、武術大会の名物ですよ、派閥の大きさで良い席が取れるかが決まります。今回は良いメイドが揃っておりますので、良い席が取れそうです」
そう言ってヒルダさんは、クフフと笑った。
そ、そうなのか。
お茶が欲しかったのだが、カリーナさんがダルシーの代わりに入れてくれた、ありがとう。
食事を終えて、皆で並んで武術場へと行く。
出場選手は集まってバッテン先生の元に行ったね。
ダルシーとアンヌとシェリーさんが聖女派閥の席を確保していてくれた、わりと前の方で良いね。
「ありがとう、ダルシー、アンヌさん、シェリーさん」
「いえいえ」
「なんでもありません」
「もったいない」
武装メイドさんたちは謙虚だね。
私たちは武道場の観客席に座って会場を待つ。
会場は二面あって、男子と女子とで別れるようだね。
席は二面の真ん中なので、両方がよく見える。
「わあ、楽しみね、マコト」
「そうだね」
「試験前に迷惑な行事を」
コリンナちゃんが毒づいたが、まあ、そう言うなって。
しばらく待っていると、皮鎧に得物姿の選手達が入場してきた。
結構人数がいるね。
マイクーも居やがるな。
トーナメント表も張り出された。
お、意外にみんなばらけた感じ。
男子だと、カーチス兄ちゃんが勝ち上がると決勝でマイクーと戦う感じか。
その前にマイクーはオスカーとも戦うが。
エルマーは早い内にオスカーと当たるな。
なかなか面白い。
女子の部もばらけた。
エルザさんが勝ち上がると決勝でシルビアさんと戦う感じだ。
カトレアさんはシルビアさんと、コイシちゃんはエルザさんと早い段階で戦うね。
さすがはバッテン先生だ、解っているな。
男子側の武術場にケビン王子が登って来た。
「やあ、みんな、歴史有る王立魔法学園の武術大会の開催を宣言するよ。武術大会は一年に一度、武術の練度を確かめる学園が誇る大会なんだ。優勝する事が出来れば、大変な名誉と栄光が与えられるよ。今年は誰が勝ち抜いていくか、今から楽しみでならないよ」
ケビン王子はにっこり笑って片手を上げた。
学生達は歓声を上げて彼を褒め讃えた。
そして、学園長が台上に上がった。
「それでは、第三十六回王立魔法学園、武術大会を開催します」
皆が立ち上がり、歓声を上げる中、武術大会は始まったのである。
いやあ、盛り上がりがすごいなあ。
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