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第127話 エルマーはマヨコーンを自作する

 みんなでぞろぞろと校舎の最上階まで移動する。


「ダルシー」

「はい、マコト様」

「リンダさんに連絡、お昼が済んだら異端審問を掛けるので兵を揃えて学園に来てくださいと」

「かしこまりました」


 カロルが物言いたげな顔で私を見る。


「念の為だよカロル」

「そうなの?」

「あの人形はたぶんまずい奴、ジュリエット嬢の親父さんを問い詰めないと」

「一緒に行こうか? マコト」

「大丈夫、お気持ちだけもらうよ」


 リンダさんと聖騎士隊が居れば大丈夫だろう。

 あ、魔法省として、ジョンおじさんも巻き込むかな。

 とりあえず、聖心教の者として、呪いの生き人形の事は問い詰めないと。


 そんな事を、前の方で、ロイドちゃんにひっついて階段を上るジュリエット嬢を見ながら考えた。


 さて、上級展望レストランである。

 入学以来二回目だねえ。


「おお、ここで食事ができるとはっ」

「コリンナは初めてなのね」

「そうだよー、こんな馬鹿高い所、おごりじゃ無いとこれないよっ」

「ロイド王子に感謝して、高い物を頼もう」

「ああ、なんだかドキドキする」


 コリンナちゃんは小市民よのう。


 聖女派閥と王子二人と陰険メガネ一人だから、結構人数が多い。

 四つのテーブルに分かれて座る感じになった。

 隣のテーブルのロイドちゃんが、ジュリエット嬢にひっつかれて、私に目で助けを呼んでいるが、知らぬ、自分でなんとかしなさい。


 さて、何を頼もうかなあ。

 というか、ランチプレートだな。

 コースを頼む時間は無いだろう。


 私は給仕さんにAランチを頼んだ。

 今日のAメニューは牛ヒレステーキらしい。

 カロルはポークチャップのBランチを、コリンナちゃんはAランチを頼んでいた。

 エルマーはBランチと別にコーンを頼んでおる。


「コーンですか?」

「付け合わせ……の、コーンだけは……頼めないか?」

「だ、大丈夫と思いますが、いかほどでしょうか?」

「小皿……に、いっぱい……ぐらいでいい……かな? あとマヨネーズを……」

「エルマー、マヨコーンを自作するの?」

「メニューに……、無いなら……作ってしまえば……いいんだ」

「小皿いっぱいだと、ええとね、マヨネーズは大さじに三つぐらい」

「は、はい、さようでございますか」


 後で味を見て、ひよこ堂っぽくなるように調整してあげようか。

 エルマーは注文を済ませてご満悦である。


 ランチなので、お料理はすぐきた。

 うひょー、ヒレステーキだぜい。

 パクリ、うーんおいしいいっ。

 良い肉を使ってるなあ、さすが上級レストラン。


「美味い美味い、でも、最近女子寮の食事が美味しいから、それほど凄くは感じないのが残念だなあ」

「イルダさんの料理は凄いもんねえ」

「そうなんだ、また食堂に行ってみようかな」

「カロルはいつもはどうしてるの?」

「アンヌがキッチンで作ってくれるのよ」

「一人で食べてるの?」

「うん」

「みんなで食べた方が美味しいって、また食堂に来なよ」

「そうね、今晩は行こうかな」


 よしよし、こうやってカロルの孤食を少なくして行こうではないか。

 みんなで食べた方が楽しいし、美味しいよ。


 エルマーのコーンがやってきた。

 わあ、小皿に山盛りにしてきおったな。

 そこにマヨネーズを乗せて、エルマーはかき混ぜた。

 コーンがこぼれ落ちるのう。


 エルマーは一口食べて、あ、コレじゃ無いって顔をした。


「味見せて」

「いいよ……」


 パクリ。

 ああ、これは、コーンが良すぎだわ、マヨネーズが負けておる。

 お塩を少々、胡椒をちょっぴり掛ける。

 お、大分近づいたな。


「あ、ひよこ堂っぽい……、マコト、ありがとう……」


 エルマーは満面の笑みでコーンをパンにのせて食べた。


「おいしい……」


 エルマーはマヨコーン好きだなあ。


「家でもメイドさんに作ってもらいなさいよ」

「やってもらった……、が、味が……、なかなか」

「今度、お父ちゃんにレシピ書いてもらうよ」

「本当……かい、……ありがたい」


 そう言って、エルマーはパンをパクリと平らげて幸せそうな顔をした。


 上級レストランにダルシーが入ってきた。


「マコト様、配置完了です」

「ありがとうダルシー」


 さて、午後は異端審問の開始だっ。


 ちなみに、異端審問とは、聖心教の教義にそぐわない邪悪な信仰を抱いていると思われる者に対する審問であるよ。

 本気の奴だと、拷問して白状させて火あぶりとかにする。


 今回はそこまではいかない。

 あの生き人形をなぜ娘に付けているのか、死霊術師エイブラハム・キャンベル教授から納得のいく回答を得られれば問題ないものだ。


 教会と死霊術とは相性が悪い。

 それは、聖心教の教義が魂の循環、輪廻転生を理想としているからだね。

 魂を地にとどめて、アンデッドにする死霊術とは真っ向から対立するのだ。


 とはいえ、別の国では死霊術が盛んだったりするので、戦場でアンデッドと戦う事も多いから、死霊術を絶対禁止とする、わけにはいかないのが悩みの種なんだよなあ。


 さて、生まれて初めての異端審問はどうなるかな。

 生者を犠牲にして死霊術をしてるなら滅ぼさなきゃならないけどなあ。

 そんな事はしたくないものだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! 異端審問とは、ろくでもない邪悪の印象がします。 しかしそういえば、確かにロイド王子ルートの黒幕はジュリエットさんのお父さんでしたね。 中二のゴスロリ、それは…
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