第1288話 火曜日の目覚めは爽快
「ふわあああ」
私はベッドの上で伸びをした。
なんか変な夢を見た感じだが覚えていない。
なんとなくアダベルにお菓子を奢らないといけない気がするな。
ケーキ屋で良い物を買って持たせるか。
ホルボス山の邸宅でみんなで一緒に食べるでしょう。
うん。
ハシゴを降りてパジャマを脱ぎ体操服に着替える。
コリンナちゃんのベッドのカーテンがジャッと空いて、据わった目で私を見て、ジャッと閉まった。
「テスト準備期間中は……」
「うるせい、テスト期間と雨の日以外はランニングだ」
「ぐぬぬ」
色々用足しをしている間にコリンナちゃんも起き出して体操服を着た。
「さて、行こう行こう」
「ぐぬぬ」
コリンナちゃんを押すようにして205号室を出て階段を降りる。
玄関でカロルと合流してランニング開始である。
とりあえずカロルと二人で馬力を上げて全力でグラウンドを駆ける。
コリンナちゃんを五回ほど追い越して終了である。
いや、いい汗をかいたね。
コリンナちゃんは三分の二周ぐらいで顎がでた。
半分は走れるようになったね。
「だんだん距離がのびてるね」
「たまたま、たまたま」
コリンナちゃんの息が荒い。
なんかちょっとHな感じがあるなあ。
歩きながらクールダウンして武術場口から地下道へ、そして蒼穹の覇者号に上がりシャワーブースでシャワーを浴びる。
ダルシーの持って来てくれた下着と制服を着込んでラウンジに上がってお茶を飲む。
「今日も試験勉強だね」
「事件は無いからね、安心して勉強をしましょうよ」
「そうだね」
お茶を飲み終わったら蒼穹の覇者号を下りて、地下道から女子寮へ、エレベーターを使って一階に上がると派閥のみんなはもう来ていた。
おはようおはよう。
食堂に入り、朝ご飯をいただく。
今日の私は甘々ポリッジだなあ。
あまうま。
ぱくぱく。
さて、朝食を済ませてみんなで登校である。
いやあ、さすがに暑いね。
そろそろ衣替えの時期で、上着を着たり着なかったりする生徒が多いね。
私も暑くなったら上着を脱いでダルシーに渡そう。
「上着を脱ぐタイミングが難しいわよね」
「朝夕が寒かったりするからね」
この季節は気温の振れ幅が大きくて困るよね。
玄関に入り、階段で二階に上がる。
B組の派閥員と別れて、私とカロル、カトレアさんとコイシちゃんはA組に入った。
自分の席に着く。
テスト前だから、みなノートを広げて復習に余念が無いね。
おっと、ケビン王子にレースの事を聞いてみよう。
私は立ち上がり、王子の元へと歩いた。
「おはよう、ケビン王子」
「おはよう、キンボールさん」
「何か用か、キンボール」
「昨日、ヒューイの遠乗りにプートリー山に行ったんだよ。今年はあそこが騎乗レースの舞台みたいだね」
「ああ、そうだよ、キンボールさんもレースに出るのかい?」
「ああ、ヒューイで出るよ。でさ、騎士学校、アレで良いのか」
「うむむ」
「うむむ」
王家主従は黙り込んだ。
「おじさんはねえ。ルールには抵触していないのだけど」
「馬でやるレースで、選手全員をペガサスに乗せるとか、非常識にもほどがあるよ」
「懸念はあるのだ、だが、近衛騎士団長はなあ」
まったく、困ったハゲだなあ。
「だいたい、ペガサス六騎もどうやって工面したんだろう。フラゴナール家ってのはそんなに金が唸っているのかい?」
「そんなには儲かって無いはずだが……」
「出入りの商家に借金をしたと聞くな、だが、六騎か、相当な金額になるな」
「隷属の首輪でテイムしたペガサスなんて、一匹でも相当値段が張るだろうにね」
「わかった、父と相談してみるよ。ただ、今回のレースだけは」
「まあ、開催が近いからしょうが無いけどねえ」
「わが魔法学園の騎乗部の仕上がりはどうなのだ、勝てそうか?」
「私のヒューイは空を飛ぶけど、あとは部長がケルピーなだけで、他の選手は馬だしね。古式テイムをしても、とんでもなく速くはならないよ」
「また今年も魔法学園が最下位かなあ」
「馬限定のレースに戻しなさいよ、そうすれば山道とか、坂とか面白いし、渡河の部分とかあればケルピーも活躍できるし」
「そうだね、ちょっとおじさんに遠慮して対応が遅れたね」
「王様にはあげておくから、キンボールは頑張ってレースをしてくれ」
「たのんだよ」
私は自分の席に戻った。
「色々とあるのね」
「王族も面倒臭い事だよね」
マメちゃんが影の中から顔を出したので引っ張り上げて、机の上でカロルと一緒にこしょこしょとくすぐった。
ふわふわもふもふだぜ。
あ、アンソニー先生が来た。
起立礼着席でホームルームが始まった。
テスト準備期間なので、図書館で自習ができるようになったらしい。
図書館も良い雰囲気なんだよね。
まわり中全部本で独特の匂いがするし。
聖女派閥の集会室が無かったら使っていたな。
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