第1287話 晩餐を食べて寝てしまおう
お風呂から出たらロビーでおしゃべりをしてから食堂で晩餐である。
「今日の献立は何?」
「本日の下級貴族食は、チキンソテー、温野菜サラダ、コーンポタージュスープ、黒パンだよ」
おお、チキンはレッグか。
大きめで良いねえ。
お料理をトレイに乗せていき、最後にケトルからカップにお茶を注いでテーブルへと持っていく。
やっぱり毎日美味しいお料理が食べられるのは嬉しいね。
不味い料理を我慢して食べるのは苦痛だからねえ。
みんなが席に付いたらお食事のご挨拶。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
うんうん、良い塩梅で美味しい。
やっぱりチキンソテーみたいなシンプルな料理は腕前がはっきりでるよね。
美味い美味い。
ジューシーでかぶりつくと肉汁があふれる感じの鳥足であるよ。
皮はパリパリだしね。
「武術大会は水曜日からみょんな」
「もうちょっとだな、なんで試験と被せるのだろうなあ」
「根性つけるためみょんなあ」
まあ、年度の最初の方だからだろうね。
まだ武術大会を差し込んでも挽回が出来る時期なんだろう。
「オスカーの魔剣、出来たの?」
「先週、エルマーと私の魔法陣の図面を入れた所よ、彫金してる所だと思うわね」
「お、もうすぐ出来るのかな」
「夏の武器鍛冶大会に出す予定らしいから、もうすぐよ」
うん、何よりだなあ。
できあがったら見せてもらおう。
オスカーも喜ぶだろうな。
「マコトは……、そういう所が良いわね?」
「どこよ?」
「じんわりと気を使う所よ、押しつけがましく無くそっと寄り添うのが上手いわ」
カロルが幸せそうな笑顔でそう言った。
「えへへへ」
面と向かって褒められると照れるなあ。
あんまり大した事はしてない気がするんだけど、喜ばれているなら嬉しいね。
食事が終わった。
今日も美味しかったなあ。
ダルシーの入れてくれたお茶を飲みながらのんびりとおしゃべりをする。
お茶を飲み干して食器を返却口に戻し、205号室へと戻る。
コリンナちゃんは机に付いて勉強であるな。
私もちょっとやるかな。
机に付いて、教科書とノートを取りだして要点をまとめる。
カリカリカリカリ。
ふわ、眠いけど我慢我慢。
カリカリカリカリ。
窓を開けて夜風を入れる。
ああ、夜の匂いがして良いね。
カリカリカリカリ。
「寝ないの?」
「もう一区切り」
十分ほどしたら一区切りしたのかコリンナちゃんはノートを閉じた。
私も一区切りで止めてノートを閉じる。
パジャマに着替えてハシゴを登ってベットに潜り込んだ。
「おやすみなさい」
「おやすみー」
すやあ……。
気が付くと高空にパジャマ姿で浮いていた。
眼下には王都が広がっている。
『マコトが私を守護竜として封じたので、だいぶ王都の霊的防衛は強くなったが、それでもまだまだかもしれない』
「そうか、アダベル」
堂々たる古竜姿のアダベルが重々しく言った。
無償のアダベルがまだまだなら、何を有料で補強すればいいのだろう。
王都が平穏無事であること。
私の好きな人達がこの地で笑って暮らせるように。
私の防衛計画はシンプルだ。
「ビタリから暗雲が立ちこめている。ジーンの方、北の方は少しおさまった、西側のアライドは先が読めない」
北海にはポンコツ魔導戦艦が眠っているしな。
「アダベルも手伝ってくれる?」
「私は守護竜だから、千年の平穏を目指して協力しようではないか」
いつの間にかアダベルは竜の姿から、子供の姿になっていた。
うん、アダベルはその姿が可愛くていいよね。
「マコトが学園に居る間に勝負が決まる」
ビアンカ様がいて私に声をかけてきた。
「問題を先送りにしないことだ。先に送った物は腐り社会を破壊する、そのつど対処しろ」
やれやれ、ビアンカさまは大層な仕事を残してくれたね。
「それが聖女ってもんだ、がんばりな」
はあ、別にカロルと二人で笑いあって生きていたいだけなんだけどね。
その当たり前を実現するのが大変なんだろうな。
とりあえず、楽しみながら、一つ一つ処理をしていこう。
丁寧にね。
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