第1284話 午後は絵を描いて放課後は勉強会
ああ久々のお寿司で美味しかった。
ちょっとお高いのだけれども、たまには行きたくなるんだよね。
みんなでぶらぶら歩いて学園へと戻った。
「寿司とマヨコーンがあんなに合うとは、また行かねば……」
「ほどほどにしておきなさいよ」
「うむ……、週に三日か」
行き過ぎだ。
「というかエルマーは男子寮食堂で食べているの?」
「部屋付きのコックの執事がいて……、毎食マヨコーンを作ってくれる……、ひよこ堂レシピだ……」
エルマーは、どんだけマヨコーンが好きなのか。
属性の教室に向かうみんなを見送って、私は集会室に入る。
絵のカバーを外して、子供達の絵をちょっと進める。
ダルシーに上っ張りを出して貰って着込む。
パレットで色を調合してペタペタと塗っていく。
だんだんディテールが上がっていって楽しいね。
ペタペタ。
色と筆遣いでディテールを上げていく。
うんうん、良い感じ良い感じ。
アダベルのアホっぽさが良く出ている。
背景となる池のディテールも詰めていく。
池の端はちょっと上がっているのよね。
背景のヤナギは水面につく感じで。
ペタペタペタペタ。
午後、みっちり描いたら絵の制作が進んだね。
ちょっと離れて絵を見てみる。
うんうん、良い感じだねえ。
うひひひ。
夢中になって描いていたら、六時間目の終業の鐘がなった。
おっと、ホームルームに帰らねば。
私は手早く油絵の道具を片付けて上っ張りを脱ぎ集会室を出て施錠した。
図書館前の階段を使って渡り廊下の二階へと上がり、校舎へと渡った。
アンソニー先生が来る前にA組に入れてセーフ。
「あら、マコト。絵を描いたわね。テレピン油の匂いがするわ」
「そうかな」
カロルが私の襟元に顔を近づけてクンクンと嗅いだ。
油絵の匂いは描いていた本人だと解らないね。
アンソニー先生が教壇に立って、ホームルームは始まった。
とりあえず期末試験が終われば楽しい夏休みなのだから、ここはぐっと我慢をして勉強をしましょう。
だ、そうだ。
今週は頑張ろうというのは同感だね。
試験が終われば、騎獣レースがあって、海へのバカンスがある。
楽しみだなあ。
ホームルームが終わって、起立礼着席で、放課後である。
さて、集会室で勉強するかな。
カロルと一緒にA組を出て、集会室を目指して歩く。
良い天気でもったい無いけど、まあ、しかたがない。
《主よ、遊びに行こう》
(今週は我慢して)
《つまらない》
(夕方にちょっと乗ろうか)
《約束だぞ》
従魔さんたちもお散歩必要なので色々困るね。
マメちゃんは勝手に歩いてくれるんだけどなあ。
集会室の鍵を開けて中に入る。
「わあ、進んでいるわね」
カロルが子供達の絵の前に立ってしげしげと見ていた。
未完成の絵を見られると、ちょっと恥ずかしいね。
聖女派閥のみんなが続々とやってくるね。
ロイドちゃんやジュリエットさんも来たね。
私は収納袋から、教科書とノートを出して、復習であるよ。
カリカリカリカリ。
私は国語が得意なので、メリッサさんとマリリンの相談にのったりしたよ。
「メリッサさんもマリリンも良い文章になってきたわね」
「壁新聞に採用されるかも、と思うと力が入りますの」
「上手く書けた時はとても充実感があるんですわ」
良きかな良きかな。
国語は全ての学習のベースだからね。
書いたり読んだりする実力が高まるのは良いのです。
まあ、その代わりに数学とかは悲しい事になっているけどね。
そっちはコリンナちゃんが教えるのだ。
「難しいですわ」
「シオシオですわ」
「まあ、ちゃんと知識を付ければ、あとは単純作業だから、なれるだけだよ」
やっぱりコリンナちゃんは理数系で頼りになるなあ。
勉強会は地味だけど楽しいよね。
三時になったので、すこしお茶休み。
メイドさんにお茶を入れてもらい、お茶うけのクッキーをかじる。
美味い美味い。
お茶が終わったら、勉強会再開だ。
カリカリカリカリ。
集会室のドアがトントンとノックされたので、アンヌさんが出てみるとヒューイが居た。
《来た、行こう》
「もう、しょうが無いわね。私ちょっとヒューイに乗って散歩してくるわ」
「行ってらっしゃい」
「ヒューイくん鞍も付けてお利口ね」
私は集会室を出てヒューイに跨がった。
「どこか行きたい所はある?」
《山に行こう山》
ああプートリー山か。
一っ飛びしますか。
徒歩だと馬車とか乗り継いで山登り半日とかかかるけど、ヒューイならすぐだねすぐ。
私は校門を越した所でヒューイを羽ばたかせ、宙に駆け上がる。
やっぱり飛行は爽快だなあ。
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