表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

129/1512

第126話 ああジュリエットどうしてあなたはそんなに中二病なの

 アンソニー先生が来たので、ケビン王子との会談を終了させて自分の席につく。

 まったく派閥闘争はやっかいだぜ。


 そして、今日の授業が始まる。

 木曜日の座学は、国語、社会、魔物学、美術、であるよ。


 魔物学は、この世界に存在する魔物についての学問だ。

 いまは、王都付近に生息する魔物について教わっている。

 王都の森には、各種スライム、角ウサギ、腐れ猫が出るそうな。

 ゴブリン、コボルト、オークなどは、しばらく北に行かないと出ないそうだ。


 美術は、今は美術史を習っている。

 魔導学園には、歴史的に有名な絵も所蔵されているので、凄い絵の実物を見ることが出来て楽しい。

 世の中には頭がおかしいぐらい凄い絵があるのだぜ。


 というわけで、お昼休みである。

 そして、ロイドちゃんである。


「今日こそは黄道亭に行こうよっ、マコトっち」

「お昼に高級レストランになんか行かないって」

「芙蓉料理でも良いよっ」


 もー、しつこいなあ。


「今日はどうするの? マコト」

「どうしようかなあ、ひよこ堂は昨日行ったしね」

「毎日……マヨコーンでも……、僕はかまわない」

「エルマーはかまわないかもしれないけどねえ」


 私は毎日パンはなんだか嫌よね。

 世界には、というかー、前世でも日本がおかしいだけで、世界の人たちは同じ物をずーっと食べる物なんだよね。

 だが、私は毎日同じ物を食べるのは嫌なんじゃい。


 カーチス兄ちゃんの一行がどやどやとやってきた。


「よお、マコト、今日はどうする?」

「ひよこ堂以外かな」

「うう……、マヨコーン……」


 メイドさんに買ってきて貰って食べれやー。


 しかし、上級レストランだと、コリンナちゃんとか困るよなあ。

 この人数だと、カーチス兄ちゃんにたかるのも悪いし、どうしようかな。


「解った、僕が全員のお昼代を持とう、だから、黄道亭へいこうよ」

「ロイド王子、それ、税金でしょ?」

「ぼ、僕のお小遣いから出すよっ! つけにはしないからーっ」

「派閥員多いですよ」

「僕はもう、聖女派閥だから良いんだよっ」

「でも、外に行くと、午後の授業に遅れるから、上級レストランで」

「良いじゃん、午後の授業なんか」

「良くないですよ。みんな学生なんですから」

「そうだぞ、ロイド」

「むう、ケビン兄ちゃんまで」


 むう、またケビン王子とジェラルドが付いてくるのか?


 とりあえず、廊下に出てみた。

 しかし、人数が多いなあ。

 しれっとケビン王子と、ジェラルドが居るなあ。

 まあ、お金を出すのはロイドちゃんだから良いけどな。


「ロイドさまっ、ロイドさまぁぁっ!!」


 超甲高い声がした。

 振り返ると、なんだか黒い、もの凄い者がいた。

 黒いゴスロリであった。

 真っ黒でフリフリフリルで、黒い手袋、黒いストッキング。

 片目を眼帯で隠しておる。


 あ、いや、ゲームでも見たから、覚悟は出来ていたのだが、3Dで見るともの凄いなあ。

 中二令嬢だ。


「ジュ、ジュリエット!!」

「どうして、わたくしを置いて、また他の人とランチに行ってしまわれるのですかっ、わたくしはわたくしは悲しゅうございますっ!」

「そ、それは、誤解だっ」


 誤解じゃないだろ、ロイドちゃん。

 ジュリエット嬢は私を睨みつけて近寄ってきた。


「あなたが、次のロイドさまの浮気相手ですかーっ、なんですかー、そんな貧相な体でーっ、わたくしに勝てると思っているのですかーっ」


 貧相な体はほっといてくれ。


「浮気相手じゃあないわよ、私はロイド王子に興味はないわよ」

「ひゃーっ、酷いよマコトっち!」

「な、なんてやつ、第二王子をぶったぎったぞ」

「それで……こそ、マコトだ」


 ロイド王子に興味が無いと言うと、ジュリエット嬢はフルリと震えた。

 フリルも揺れる。


「嘘嘘嘘だわ嘘嘘。ロイド王子はこんなに格好いいし、可愛いし、良い匂いがするのに、好きにならない女の子が居るなんて信じられない、あなたは嘘つき嘘つき嘘つき」


 つうか、格好もいかれてるけど、しゃべり方もいかれてんなあ、ジュリエット嬢。

 あと、女の子に匂いかがせてんな、ロイドちゃん。


「嘘じゃ無いわよ、ロイド王子、頼りないし、趣味じゃ無いわ」

「はうううえはふっ」


 ロイド王子が胸を押さえてかがみ込んだ。

 ケビン王子が気の毒そうに、それを見ている。


「わたくしが大好きなロイド王子になんていう暴言をぬかすの、この平べったい女は」


 うるせえやいっ。


 ジュリエット嬢は私に近づいて来て肩をぺしぺしと叩いた。


――!!


 叩かれた肩に黒い影のような、瘴気のような物がついた。

 なにこれ?

 手に光魔法を集めてぶつけると、黒い瘴気は消滅した。


――呪い?!


「あ、あれ?」


 ジュリエット嬢はまたぺしぺしと叩く。

 それを私は光魔法で浄化していく。


「どどど、どうしてなのどうしてなの、どうしてあなたはわたくしの力を消滅させるの?」


 ジュリエット嬢にがばりと抱きついて、瘴気の流れをさぐる。

 腰についたポシェットの中からだな。


 彼女のポシェットに手を突っ込んで、呪いの元を引っ張り出す。

 それは、なんか、まがまがしい顔をした、キモイ人形であった。


「アリスちゃんっ!! やめてアリスちゃんに酷いことをしないで、わたくしのお友達なのっ、だめだめっ!!」


 私の手のなかのアリスちゃんは、不気味な表情を浮かべて、ぐねぐね動いている。

 これ、呪いの人形というか、魔法生物だなあ。


「浄化してやろうか」

『ヒャア、やめなさいよう、しんじゃうよう』

「喋りやがる。キモイ」

『はなせエエ』

「アリスちゃんを返して返してっ、お父様にいただいた大事なわたくしのお友達なのっ、かえしてええええっ」


 むう、ガチ泣きしてるなあ。

 さすがに呪い人形でも、人のお友達を勝手に浄化するのは気がひけるなあ。


「返すけど、他の誰かにこの瘴気が付いてたら、有無を言わさず浄化するからね」

「ああ、アリスちゃん、アリスちゃん、怖かったねえ、酷いよねえ、この乱暴者は」


 ジュリエット嬢、聞いてねえし。

 私はパンパンと体をはたいて、アリス人形の瘴気を消滅させた。

 思ってたよりも百倍ぐらい酷いなあ、ジュリエット嬢は。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! 黒いゴスロリ、それはそれで可愛いだと思いますw ちょっと話を聞かなく、他人を呪うのは怖いですけど。 浮気を許さないのに、興味無いのも許さないて、どうしろです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ