第1283話 月曜日はランニングから始まる
「ひいひい」
月曜日はグラウンドでヘロヘロコリンナちゃんを追い越してカロルと競争しながら始まるのである。
あいかわらずコリンナちゃんはヘタレだが、継続とは凄い物で、意外に走る距離が伸びているね。
偉いぞ。
「走れる距離伸びてきたね」
「そ、そうかなあ、はあはあ」
コリンナちゃんは水飲み場で水をがぶがぶ飲みながらそう言った。
「うんうん、もうちょっとでグラウンド一周できるんじゃない?」
カロルもニコニコしている。
やっぱりお友達の成長は嬉しいわけさ。
コリンナちゃんを押すようにして地下道へと入り、蒼穹の覇者号へと押していった。
シャワーブースでショワッと浴びて汗を流す。
さっぱりさっぱり。
制服に着替えて三人でラウンジでお茶を飲む。
「今週の予定は?」
「期末前だから勉強だね、あとテスト前に武術大会」
「聖女派閥からは誰が出るのかしら」
「カーチス、エルマー、カトレアさん、コイシちゃん、エルザさん、二年ではオスカーも出るって」
「ヒルダさんは出ないのね」
「糸術は武術じゃないらしい」
不意を突くタイプの武術だから、あまり人前では見せないらしいね。
「楽しみだけど、試験勉強もあって剣術組は大変だな」
「マコトも武術大会に出ればいいのに」
「あまり剣術は真面目にやって無いからね」
勝っても負けても相手に申し訳が無いのだな。
お茶を飲み終わって蒼穹の覇者号を下りて、三人で女子寮に向けて地下通路を行く。
地下道にあるコリンナちゃん用の弓道の的を見ると秋に来るナージャを思いだしてしまうね。
「秋にナージャが来たらどうすんの?」
「積極的に逃げる。ガチのアーチャーと戦えない。私はなんちゃってアーチャーなのだから」
「体力さえ付けば、コリンナちゃんは頭も良いし、戦えると思うんだけどね」
「激しく、めんどうくさい」
やれやれ、コリンナちゃんは勉強以外の事にまったく興味がないんだなあ。
「でもまあ、二年になる前にちょっとは戦える武器が出来て良かったわね」
「そうね、武器が決まらないまま、短剣でガドラガに行っていたら、いろいろな事故が起こっていたであろう」
「弓もなあ、二発だしなあ」
「魔力をアゲロ」
「ぐぬぬ」
一応マジックポーションを使えば、追加で一発ぐらいは足せるけど、理想を言えば何十発か撃てると弾幕もできるし、安心だよなあ。
二発では必殺技だ。
女子寮に入り、エレベーターを使って食堂前に行く。
ドアが開くと、派閥のみんなは来ていて、口々に朝の挨拶を交わす。
ぞろぞろと皆で食堂に入る。
さて、今日はナッツポリッジの気分だな。
クララに注文して、カウンターでナッツポリッジの椀を受け取った。
ミニサラダもトレイに乗せて、お茶をケトルから注ぐ。
テーブルに持っていき、皆が揃うまで待つ。
女子寮食堂は結構混み合っている。
やっぱり美味しいは正義だよね。
みなとおしゃべりをしながらポリッジを食べる。
食べおわったら食器を片付けて登校だ。
寮の外に出ると、今日も良い天気だな。
ちょっと暑くなるかもしれないな。
夏はエルマーに氷魔法を掛けて貰うか、アダベルにアイスブレスしてもらうしかないだろうか。
クーラーの魔導具とか無いんだよね。
校舎の玄関を入ると、新しい壁新聞が張ってあった。
『遠足にイエローワイバーン襲撃! 聖女がらみのトラブルか』
という見出しであった。
そうだよ、私のトラブルだぜ。
ざっと壁新聞を読み終わって、そこを離れた。
マリリンの王都食べ歩き記事も載っていてほっこりした。
A組に入る。
今日は王家主従は寄ってこないな、うんうん。
「テスト期間は静かであって欲しいわね」
「そうだねえ」
どうでも良いが国際的な事件が起こりすぎであるよ。
ジーン皇国、アライド王国、ビタリ共和国と火種が多すぎるよなあ。
やれやれだぜ。
アンソニー先生が来て、ホームルームが始まる。
期末試験期間に突入したので、部活動は停止、放課後は勉強をしましょう、との事。
期末試験も良い点を取って楽しい夏休みを満喫したいものだね。
うんうん。
さて今日の午前の授業は、国語、数学、魔術理論だね。
わりと得意科目が並ぶのでさくさくとやっていく。
で、四時限目は武術の時間である。
「さて、期末試験と武術大会がカチあってしまったが、まあ、毎年恒例だ。武術を頑張りすぎると試験がおろそかになるし、試験をがんばると武術大会での成績が思わしくなくなる。バランス良く行かねばならないわけなのだ」
王立魔法学園は魔法使いを養成する学校だから、武術大会をこの時期に設定するのはわざとなんだろうなあ。
コイシちゃんとペアになってカンカンやってるとバッテン先生が寄って来た。
「なかなか腕が上がってるな。小太刀だけにしたのが良かった感じだ」
「そうですね」
お義兄様に買って貰ったユニコーン剣は死蔵であるな。
聖剣が手に入ってしまうとどうしてもね。
「バッテン先生もエキシビションマッチでリンダ師と試合するんですよね、どうですか?」
「ああ、体重も減ったし、筋肉も付いた、全盛期とは言わないが、良い感じで戦えそうだ」
「リンダ師との戦い楽しみだみょん」
「みっともない試合はできないからね」
そう言って、バッテン先生はにっこり笑った。
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