第1282話 お風呂から上がって晩餐へ
今日のマメちゃんはシャーリーさんに預けてきた。
ワンコは毎日入浴しなくても大丈夫だしね。
と思ったのだが、影に潜って浴室に入ってきて、浴槽にドボンと飛びこみおった。
「わんわんっ」
わんぱくだなあ。
影系の動物は捕まえておく事ができないんだよね、影に潜れるから。
その分邪魔にならなくて良いんだけどね。
まあ、マメちゃんもあったまれ。
「うひひ、マメちゃんこっちにこい」
コリンナちゃんがマメちゃんを抱きかかえてなでなでした。
濡れたマメちゃんは体積が減るからなあ。
「マメちゃんはお利口ですねっ」
「うん、やんちゃだけど良い子だよ」
コリンヌさんが言うと、それに比べてうちの三匹はという空気を感じるな。
でも、コリンヌカルテットの従魔たちも大人しいけどな。
わりとおっとりした感じがする。
「そういえば、ヘビサブローって溶解液だせるの?」
「出せますよ、なんでも溶かせますよ」
「「……」」
あれだな、ミリヤムさんが大量生産してなければ【溶解液】でお金儲け出来てたな。
惜しいのだが、仕方が無い。
青魔法でバカスカ作れるミリヤムさんには敵わないであろう。
「今度、買うわ」
「え、あれ売れるんですかっ」
「錬金薬の溶剤として優秀なのよ、今は値段が下がってしまったけど、結構なお金になるわよ」
「うわー、たすかります、あいつら大食いなんで、食費にこまってたんですようっ」
「定期的に買い上げるわ」
カロルはコリンヌさんを見て笑って言った。
まあ、ミリヤムさんのお陰で半値近くに落ちてるけど、それでもヘビ三郎から出る溶解液がお金になるなら家計の足しになるだろう。
なにしろコリンヌさんの実家は准男爵家だしなあ。
ライオンとヤギとヘビの魔物の食費はきつそうだ。
「ライ一郎とかヤギ次郎は何かできないでしょうかねえ」
「ライオンとヤギかあ、難しいね」
「護衛とかには良さそうだけど、まああまり使い道は考えられないね」
「がめつい『ナ』でも駄目かあっ」
「がめついとはなんだっ」
コリンナちゃんはご立腹だ。
「ライオン撫で放題ぐらいしか需要がないなあ、ヤギは普通のヤギがあちこちに居るしなあ」
「雷魔法出せるのに!」
よく考えたら、なぜキメラのヤギの頭って魔法が撃てるのだろうか。
割と謎だよなキメラ。
まあ、オルブライト商会へ【溶解液】を定期的に卸せば三匹の食費とコリンヌさんの学費ぐらいは出るでしょ。
「毒液が出せるなら、マーラー家で買いましたが、【溶解液】は使い道がありませんね」
「ライイチローくんはどこかのお店の宣伝に貸し出したらどうでしょうか」
「ライイチローを?」
「お店にはシンボルが必要なんですよ、ですのでライイチローくんをお店にどーんと置くのです」
「アンドレアワインのお店でそういう宣伝をなさったら?」
「あ、そうですわね、すこし領館に行って聞いてみますわ」
「おー、従魔をバイトさせるのかー、考えもしなかったなあ」
ライオンが出迎えてくれる酒屋とか、良いね、夢があるよ。
ヤギはまあ、ヤギだから出番無さそうだ。
洗い場に出て、ダルシーに体と髪を洗って貰い、また浴槽に戻って暖まって出た。
脱衣所でマメちゃんと私をダルシーがバスタオルで拭いてくれた。
ふう、さっぱりしたなあ。
新しい下着と新しい制服を着込んで大浴場を出た。
マメちゃんは影に潜った。
晩餐にはちょっと早いけど、何かするには中途半端な感じの時間だね。
ロビーの応接セットに座って、いろいろとおしゃべりをして時間をつぶす。
やっぱりヤギ次郎のバイト先が見つからないなあ。
魔法が使えるから牧場の護衛とかやっても良いんだろうけど、牧場は遠いからなあ。
守護竜牧場でも飛空艇使わないと半日の旅程だぞ。
コリンヌカルテットは元々は一つの個体だったからあまり離れるのに抵抗があるらしい。
わりと面倒な奴らだなあ。
おしゃべりをしていたら良い時間になったので、皆で食堂へと入る。
「いらっしゃいマコト」
「今日のお献立はなに、クララ」
「今日の下級貴族食は、マグロカツレツ、タマネギサラダ、コンソメスープ、黒パン。だね」
「おお、マグロカツ!」
シーチキンのカツレツかあ、美味しそうだ。
マグロは沿岸部でよく食べられるが、内陸部でも冷凍で運んでくる。
焼いたのやら、カツレツにしたのやらはアップルトンでも結構良く出る料理なのだ。
とりあえずトレイにお料理のお皿を取って、最後にお茶をケトルから注いでテーブルに持っていく。
ああ、なんだかフライ物の良い匂いだなあ。
皆がテーブルに着いたのを確認してお食事のご挨拶。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
うはははは、あたたかくてサクサクだあ。
ソースはタルタル系だな。
あー、美味しい美味しい。
パリパリしてるなあ。
とても美味い。
「ソースが欲しくなるわね」
カロルの言葉で思いだして収納袋からツバメ食堂謹製の中濃ソースを出した。
すこしだけど残っているな。
私はマグロカツレツにちょろっと中濃ソースを掛けてカロルに回した。
「ありがとう、嬉しい」
ソースはみんなが掛けたがり、一周したら空になった。
パクリ。
うんうん、ソースでも美味しいね。
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