第1281話 日曜日は勉強をするぜ
集会室に行くと、派閥員のみんながいて絶賛勉強中であった。
ジュリエットさんとロイドちゃんもいるね。
剣術部の面々もいて、よってたかってカーチスに勉強を教えていた。
「くそう、ガドラガに行ったら勉強が遅れた」
「そうか頑張れ」
「マコトとカロリーヌも同じ条件じゃ無いのか」
「エルマーに教えて貰ってリカバリー済じゃ」
「教えた……」
「くそう、むかつく」
まあ無理に付いて来たんだから自業自得なので頑張れ。
カトレアさんとコイシちゃんが教えようとするのだが、カーチス兄ちゃん的にはエルザさんに教わっている時間の方が長い。
同じB組でもあるからね。
しばらくするとジャンヌお義姉様もやってきてお洒落組に勉強を教えたりしてくれていた。
私もノートと教科書を出して復習であるよ。
カリカリカリカリ。
カリカリカリカリ。
「エルマーこれはどういう意味?」
「ああ、そういう魔力仮説があるんだ……」
「なるほど」
まあ仮説が妙だから覆そうといっても、実証実験とかしないと結論は出せないからなあ。
テストとしては丸暗記して書くしか無いよね。
やっぱり休日の午前中に勉強していると捗るね。
飽きる事は飽きるけど。
お十時のお茶を挟んでせっせと勉強をする。
ふう、よく勉強した。
「お昼はどうしようか」
「ひよこ堂でも行くか?」
そうだねえ。
「良いわね、久しぶりだわ」
「お義姉様は学生時代、よく行かれたんですか?」
「ひよこ堂は今も昔も人気ですからね」
なるほど、学園にファンが多いんだなあ。
カロルが集会室にやってきた。
「一緒にお昼にしようよ」
「そう思って下りてきたわ」
みんなでぞろぞろ校門を出てひよこ堂へと向かう。
今日は日曜日だから、学生より市民のお客さんが多いね。
「お、マコト珍しいな」
「テスト期間に入ったからね」
「ジャンヌさまもいらっしゃませ」
「学生時代は毎日のように食べてたんですけどねえ」
「ええ、ツイストドーナツが好物でしたよね」
「あらっ」
ジャンヌお義姉様は嬉しそうに笑った。
クリフ兄ちゃんはこれでお客さんの顔を覚えているのだ。
「覚えていてくれたのですか」
「そうすると、一緒に良く来ていた男前の方がブラッドさまですね」
「そういえば会った事無かったっけ」
「相手はお貴族様だからなあ」
「結婚式にいらっしゃってくださいよ」
「平民ですので、礼服がございませんよ」
「作って上げようか、兄ちゃん」
「え、悪いよ、それよりも、父ちゃん母ちゃんのよそ行きを作ってやんな」
「ああ、それもそうだね」
キンボール家のお養父様お養母様には礼服を仕立ててあげたが、ひよこ堂の父ちゃん母ちゃんには仕立ててないね。
まあ、仕立てても着ていく場所はあまりないけど、パン屋ツンフトの大会とかに着ていけや、だね。
「平民の方向けの礼服でしたら、うちの領でお安くつくれますわよ」
「そうだね、今度作って上げよう」
「あんまり必要ないけどなあ。マコトが元気な姿を見せてくれていればうちの家族は満足だからさ」
「まあまあ、そう言うなって」
クリフ兄ちゃんもそろそろ結婚だしな。
結婚式だと礼服を借りなきゃならないし、だったら作っておくのも手だな。
ひよこ堂に入ってパンを選んで買った。
父ちゃんが亜麻布袋に入れて渡してくれた。
やっぱり実家との縁が切れないのは良いよね。
学園でも、卒業して大神殿勤務になっても、実家は近い。
まあ、外国の教会とかに行かされると困るけどね。
自然公園に行き、芝生に座ってパンを食べる。
「やっぱり美味しいよなあ、ひよこ堂」
「卒業したら……、懐かしく思い出すのか……」
「そうですよ、学生時代は毎日のように食べていて、青春の味として刷り込まれてしまうんですよねえ」
学生の立場からの意見はジャンヌお義姉様から初めて聞いたので面白いな。
学生時代の思い出の味なのか。
「クリフさん結婚式に来てくれないかしら」
「身分差がありますからね、難しいかと」
「マコトちゃんの親族なのに~」
「平民の人は、貴族の人と付き合うのがわりとおっくうな人が多いんですよ」
「わからなくは無いけどねえ」
ここは偽欧州なので、なかなか万民平等とは行かないのですな。
フランス革命も起こって無いしね。
王制が廃止とかしないとなかなかね。
というか、前世の欧州は平等になったかというと、まあ、建前だけだったらしいけどね。
行った事無いから知らないけど。
自然公園でパンを食べるのは良いなあ。
大人になったら、この時間を懐かしく思うのだろうなあ。
そう考えると、今の時間を大事にしないといけないな。
うんうん。
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