第1279話 キンボール男爵家で歓迎される
「まあ、マコトちゃん、なんだか久しぶりね」
「ちょっとガドラガとかで土曜日に来れなくてですね」
「良いのよ、寂しい気持ちもあるけれども、マコトちゃんが大きくなった証拠ですからね。まあ、ジャンヌもいらっしゃい」
キンボール家に来たらお養母様に大歓迎されたよ。
「ささ、中に入って入って、一緒にお茶を飲みましょうね」
私とジャンヌお義姉様はリビングに通されて応接セットに座った。
「やあ、マコト、来たのかい」
「ガドラガの事とかあってご無沙汰しております、お養父様」
「うんうん、便りが無いのが元気の印ともいうからね、でも顔を見せてくれて嬉しいよ」
書斎からお養父様も出て来て皆でお茶となった。
一家団らんって感じだね。
話題は主に、ブラッドお義兄様とジャンヌお義姉様との結婚式の事だ。
式は期末テストが終わった週の日曜日にやるそうだ。
近くの第三教会で挙式を行い、その後、キンボール家で結婚披露パーティをやるそうだよ。
楽しみだなあ。
「今日はダルシーちゃんは?」
「いますよ、ダルシー」
ちょっと時間を置いたがダルシーが現れた。
「お邪魔しております」
「あらー、いつもマコトちゃんをありがとうね、ダルシーちゃん」
「本当に見えなくなるのねー」
「恐れ入ります、お義姉様」
お養母様はダルシーを娘扱いして接待するので、ダルシーは居心地が悪そうだなあ。
まあ、我慢するのだ。
ダルシーとお茶を飲んだり、ガドラガの土産話をしたり、影竜をジーンに送り込んだ事とかを喋った。
「で、これが新しいペットのマメちゃんです」
「わんわんっ」
「「きゃー、かわいいーっ!!」」
マメちゃんは逆上したお養母様とお義姉様にもみくちゃにされた。
お養父様も興味深そうにマメちゃんを見ていた。
「良いわね良いわね、影に入れるワンチャン、素敵だわ~」
「影犬はアライドの勇者メルティンの使い魔として有名だね」
「影犬を連れた勇者がいたんですね」
「従魔として優秀だからね」
そうだろうなあ、影に猛獣を潜ませておけるのは便利すぎるからね。
「本当にマコトちゃんは古代の英雄みたいに活躍して、お母さんは鼻が高いわあ」
「ああ、マメちゃんは可愛いですねえ」
「ワンワン」
ジャンヌお義姉様に撫でられて、マメちゃんはご機嫌だね。
お養母様とお義姉様がキッチンに立って夕食の準備だ。
「私とダルシーのやる事はありませんか」
「マコトちゃんもダルシーちゃんも座っていて、実家に来たら上げ膳据え膳されるのが子供の義務よ」
「そうそう」
にっこり笑ってそう言われると強くは言えないなあ。
「居心地が悪いです」
「我慢です、ダルシー」
「ワンワン」
マメちゃんが元気出せという感じにダルシーの膝の上に乗った。
ダルシーは目を笑わせてマメちゃんの背を撫でた。
「マメちゃんはダルシーくんに懐いているね」
「マメちゃんの食事の世話はダルシーがやってくれているので」
「た、大した事はしておりませんよ」
ダルシーは照れ屋さんだねえ。
夕食が出来た。
お養母様とお義姉様が二人で作ったチキンシチューであった。
素朴な感じだけど、美味しいね。
「ガドラガにも光魔法で封印された場所があるのかね」
「そうです、多分ビアンカさまだと思うのですが」
「うむむ、先に何が眠っているのだろうかね、気になるな。だが、先代のマリア様の時もガドラガに行っているはずだが、なぜ開いていないのだろうか」
あ、そうか、マリアさまもレベルアップにガドラガを使っているのか。
隠し通路は気が付かなかったのかもね、かなり巧妙に隠してあったし。
「早めに確かめた方が良いね」
「ガドラガは中途半端に遠くて」
「だが、きっとまた凄い物が眠っている気がするね」
それはお養父様、気が合いますね、私も凄い物が出て来そうで正直おっくうです。
もう戦力はいらね~~。
「秋の魔導駆逐戦艦と戦う前に開けてみるのが良いね」
「そうですね」
あーシチューうめえ。
お養父様はなあ、学者だから研究材料が出ると嬉しいだろうなあ。
こっちとしては、また一隻飛空艇が出たらどうするかとか、マジックミサイルの倉庫だったらやだなあとか、色々考えますね。
まあ、開けてみないと解らないけどね。
とりあえず、楽しい夕ご飯は終わり、お風呂に入ってから自室で寝た。
ジャンヌお義姉様は客間だな。
はあ、三年間暮らした男爵家の自室もだんだんと疎遠になる感じよね。
もう女子寮が自宅の感じだよ。
すやあ……。
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