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第1277話 ジュリエットさんに苦言を放つ

「というわけなので、ジュリちゃん今日から期末試験準備ね、ロイドちゃんはほっときなさい」

「ううう、でも私が付いていないと浮気が……」

「彼氏の浮気よりも期末試験です」

「いやあジュリエットが勉強会に行くと寂しいなあ、遊ぼうよ」

「愛を取るべきか、派閥をとるべきか」

「派閥です」


 ロイドちゃんの愛とかあてにならんからなあ。

 勉学はジュリエットさんを裏切らない。


「ロイドも勉強をするんだ」


 ケビン王子がお兄さんらしい事を言いおる。


「警護騎士団を掌握するのに、学問が有る方が良いですな」

「いやあ、勉強とか嫌いなんだよねえ」


 このぼんくら第二王子は……。

 意外に馬鹿じゃないんだけど、無用な政治紛争が無いようにぼんくらを装っていたのだが、長年の積み重ねですっかりぼんくらになったようだ。

 王家主従も苦い顔である。


 もうランチの西岸料理は食べ終わって、みんなで食後のお茶を飲んでいる所である。


 ジュリエットさんは下を向いて考え込んでいた。

 彼女は顔を上げて、ロイドちゃんの目をじっと見た。


「愛するロイド様に真面目なお話があります」

「な、なんだい、ジュリエット」


 ロイドちゃんが気圧されたような声を出して返事をした。


「私は愛するロイド様が国民に軽く見られるのは我慢できません。また、結婚したとき、ロイド公爵の馬鹿嫁と言われたくもありません」

「そ、そうか、僕もジュリエットが馬鹿嫁と言われたら辛いな、うん」

「なので、二年生になったらA組に入りたいです。ロイドさまも一緒にA組で一緒に学びたいです。私は明日から派閥の勉強会に出ます」


 おお、偉いぞジュリエットさん。

 愛するロイドちゃんにちゃんと宣言できたね。

 ロイドちゃんは頭をかいて苦笑した。


「ジュリエットはA組に入りたいのか」

「はい」

「そして、僕と一緒にA組で学びたいのか」

「はい、ロイドさまがいないと嫌なんです」

「……、そうか、愛するジュリエットにそこまで言われたら、この僕も頑張らないわけにはいかないな」

「はい、一緒にがんばりましょう、ロイド様」


 ジュリエットさんはそう言うと、いい顔で笑った。


 よし、一件落着である。

 まあ、別にロイドちゃんがA組に来ようと来れなくても私は知らんがね。

 派閥員じゃないしね。


「うん、二年になったら、みんなでA組で勉強しよう」

「うへい」


 カーチス兄ちゃんが変な声を上げた。


「殿のお勉強は私が見ますぞ」

「わっちも見るみょんよ」

「うへえ、お前らの教え方は理不尽だからヤダ」


 カーチスのくせに贅沢だな。


 食事も終わったので、皆で歩いて学園に戻る。


「新しい集会室はいつ頃使えるかな」

「引っ越しに時間がかかるからね、二学期からだね」

「期末の勉強は115号室ですのね」

「一学期中は115号室で」


 学園に着いた。

 派閥員は115号室で勉強会だ。

 私はカロルと、コリンナちゃんと一緒に学園の事務に行って集会室を申し込んでこよう。

 みんなと別れて校舎の一階、職員室の奥にある校務事務所に行った。


「あら聖女さま、なにか御用ですか」

「集会棟の三階の空いた集会室を申し込もうと思いまして」

「あ、はいはい、助かりますよ、すぐお使いになられますか?」

「二学期からにします、期末が終わってから引っ越しですね」

「了解しました、ではこちらに署名をおねがいします」


 事務員さんが各種手続き書類を出してきてくれた。

 カロルと、コリンナちゃんと相談しながら必要事項を書き込んでいく。


「はい、ありがとうございます。使用は二学期からということで、使用料は九月から発生となりますね」


 意外に簡単だったな。

 使用料は発生していないが、夏休み中に引っ越しなどをしてもいいそうだ。

 助かるね。


「集会室が広くなると、また居心地がよくなりそうだな」

「マコトの午後は集会室で絵を描いている事が多いからはかどりそうよね」

「あ、たしかに、いろいろ楽だな。寝椅子を置いて昼寝とかするかな」

「怠惰な癖がつくと大変よ」

「たしかにそうかも」


 三人でわやわや会話しながら集会棟へと向かう。

 115室に入ると、ジャンヌお義姉様ねえさまがいて、お洒落組に勉強を教えていた。

 ああ、お昼に連れて行ってあげるんだったなあ。 

 失敗した。


 さっそくテーブルに付いて、収納袋から教科書とノートを出して、ガドラガへ行っていた時の補習をする。

 先生はエルマーだな。

 奴のノートは整っていて解りやすい。

 カロルと一緒にざっと一週間分の進行を振り返った。


「二学期もガドラガ行くのか、マコト?」

「いかねえよ、用事無いし」

「そりゃまあ、そうか」


 そういやカーチス兄ちゃんもガドラガに行ってたから一週間分遅れているのだな。

 カトレアさんと、コイシちゃんと、エルザさんがせっせと教えていた。


「ガドラガの抜け道通路、あれ、光魔法で封鎖されているんだろ、ビアンカ様関連かな」


 確かに封鎖された迷宮抜け道の先は気になるな。

 なんか財宝とか眠っているかもしれない。

 ポンコツ戦艦戦の前に確かめにいかないと駄目かもなあ。

 夏休み中に見に行ってみるかなあ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ジュリちゃんとロイドちゃんの将来を見据えた愛の劇場。 ケビン王子ナイスアシスト(๑˃̵ᴗ˂̵)b ビ嬢は将来お馬鹿王妃と呼ばれてええんやろか?ポテンシャルは高そうだけど。 内政的にC組の…
[一言] もう前世から「夏休み」も「クリスマス」も休みにならない筋金入りの絵描きさんなのであるなあ。(詠嘆
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