第1274話 お風呂に入って晩餐を食べる
「従魔は女子寮のお風呂は駄目だが、マメちゃんは良いのか」
「マメちゃんは~~~、小さいからな」
どでかいライオンとは違うのだ。
階段を上がって女子寮へと入る。
ドアを抜けるとすぐ大浴場だね。
みなで脱衣所に入り、ぱっぱと服を脱いで籠に入れた。
マメちゃんも一緒に浴室に入った。
ヒルダさんの影フクロウのキューちゃんもだね。
かけ湯をしてから、湯船に体を浸ける。
ああ、染みこむような良いお湯だねえ。
マメちゃんも湯船を犬かきして泳いでいる。
「マコトはお風呂好きだなあ」
「もう、愛してるね」
コリンナちゃんは肩をすくめた。
「期末試験が終わったら地獄谷の開発を進めよう」
「ジェラルドと一緒にやってくれるかね」
「ああ、そうだね」
街の開発内政は、コリンナちゃんにとっても、ジェラルドにとっても良い経験になるだろう。
領主の私としても、きちんとした開発はありがたい。
地獄谷の資産価値が上がるからね。
コリンヌさんが遅れて浴場に入って来て、かけ湯をして湯船に身を沈めた。
「やっぱりお風呂はいいですね、ご主人様」
「まあね」
念話で、ライ一郎とヤギ次郎、ヘビ三郎が不公平だとブーブー言っているが、まあ、許せ。
おまえらが巨大過ぎる。
ダルシーに全身くまなく洗われ、また湯船に入って暖まった。
お風呂を堪能してから脱衣所に戻る。
マメちゃんが足下で体を震わせて水気を飛ばした。
ダルシーにバスタオルで拭いて貰い、新しい下着と洗い立ての制服に着替える。
ああ、さっぱりしたなあ。
地下大浴場を出て、階段を上がってロビーでくつろぎながらおしゃべりをする。
「夏前に、新しく集会室が空きましたよ、押さえますか領袖?」
「新しい集会室かあ、なにげに一階にある集会室って使い勝手がいいんだよねえ」
「広さは二倍ほど、キッチン付きとなります」
「広い所が空いたね、どこよ?」
「アントニア・バターソンの夜会部の部室ですね。やっと内装の張り替えが終わったようです」
「ああ、夜会部かあ」
馬鹿生徒の集会室か。
麻薬禍で生徒が結構放校されて空いたかな。
「ちょっと見て、良かったら借りようか」
今の集会室は良いんだけど、ちょっとだけ手狭になって来てはいるのよね。
聖女派閥も育っていってるからさ。
「ちょっと広くなるのと、キッチンが付くから料理が出来るのか、うーむ」
コリンナちゃんが腕を組んで考え込んだ。
「家賃がちょっと上がるね。あと上の階だから、階段を上がらないといけない」
「三階です」
集会棟は五階建てで、当然、高い階の方が広くて設備も良い。
最上階は仮眠室とシャワールームも付いてるらしい。
「仮眠室とシャワーに関しては、聖女派閥は蒼穹の覇者号があるので必要が無いとも言えますが」
「実質地下道は聖女派閥の物だしなあ」
「メリッサさんと、マリリンはどう思う?」
「そうですわねえ、今のお部屋も良いけど、広いお部屋も魅力ですわね」
「キッチンが付くなら、お茶などが楽に出せますわね」
ふーむどうしよう。
カロルに聞いてみるかな。
エレベーターホールに派閥員が集まり始めたので、ロビーの応接セットから立ち上がり合流した。
みなで食堂に入る。
「クララ、今日のお献立は何?」
「ミートローフ、グリーンサラダ、コンソメスープ、黒パンだよ」
「おお、ミートローフ」
ミートローフというのは、なんだろ、四角いハンバーグみたいなそんな感じのお料理だ。
挽肉を型に入れて、オーブンで焼いて、切って出す感じ。
私はトレイにお料理を取っていき、最後にケトルからお茶をカップに注いだ。
テーブルにお料理を持っていく。
うん、なんだかミートローフの良い匂いが漂っているね。
ハンバーグに似てるけど、ちょっと香ばしい感じの匂い。
皆が席に付いたので、お食事のご挨拶。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
うーん、美味しいっ。
トマトベースのソースが掛かっていて味わいが良いね。
ハンバーグのような、そうでないような。
香辛料とかちょっと違う感じ。
「そういえばカロル、集会棟の三階に空きが出たって」
「そうなんだ、明日見に行きましょうか」
「そうね」
今の所手狭じゃないけど、もう二三人人が増えると狭くなるかもだしね。
「どこの部活が撤退したの」
「アントニア・バターソンの夜会部」
「あー」
「彼女は放校になってどうなったのかしら?」
「街で見かけたって人がいましたわ」
「一族からも追放かしら?」
「一般庶民に落ちたのかも知れませんわね」
麻薬でラリっていたけど、処刑はされてないはずだよね。
表向き、処刑されたのは、マダム・エドワルダとダガンさん、あとは腐れメイドと腐れ執事だったはずだ。
アントニア・バターソンさんは追放だけで済んだはずだけどね。
王都所払いされたかな。
とはいえ、貴族の御令嬢が家系から追放されて行く所は、修道院ぐらいなんだよなあ。
他には行く場所なんかないですね。
スラムに行くにも生活力という物が無いだろうし。
果たして、生きているのかねえ。
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