第1268話 お風呂に入ってのんびりする
ヒューイと騎乗部員たちに挨拶をして、厩舎棟を後にした。
学園にはいろんな部活があって面白いね。
空はすっかり藍色になって日没が近いね。
晩餐まで、ちょっと時間があるので、お風呂にでも行こうか。
武道場口から地下に入って通路を行く。
大浴場に行くなら、こっちの方が早いんだよね。
階段を上がって、女子寮の地下に入る。
ドアを開けた向こうが大浴場の入り口だ。
脱衣所でぱっぱと脱いで浴室に入る。
夕食前なので、そこそこの入りだね。
「あら、マコトさま」
「聖女の湯の素はおできになりましたの?」
浴槽にはメリッサさんとマリリン、あとヒルダさんが居た。
「今回も良い感じの湯の素が出来たわよ」
「それは楽しみですわ」
「ワクワクしますわねえ」
かけ湯をして浴槽に身を沈める。
くはぁ、良いお湯だなあ。
夕方のお風呂も良いねえ。
お腹が空いたな、今日の晩餐はなんだろうか。
「ここの所のんびりしてると思ってましたが、遠足でワイバーンが出ましたわね」
「なんだか、あっさり倒してしまわれたので、印象に薄いですわね」
「ワイバーンなんて一頭だけでも騎士団が総出で倒す物なのですけれどもね」
まあ、聖女派閥はイカレているぐらい過剰に戦力が集まってるな。
「武術大会が終わって、期末試験が終わると、一学期も終わりですわ、頑張ってくださいましね」
「そうですわ、もうすぐ楽しい楽しい夏休みですわね」
「孤島へのバカンスが楽しみですわ」
「メリッサさんは帰省するの?」
「そうですわね、帰省したいとは思ってますけど、領地が遠いので……」
「バカンス帰りに、蒼穹の覇者号で一廻りして送って行くわよ」
「まあ、よろしいのかしら?」
「蒼穹の覇者号は早いからね、ついでだし。ゆりゆり先輩なんかは、王都に帰る途中で下ろせるしね」
派閥員全員の領地に送って行っても半日ぐらいであろう。
「マコトさまは、夏休みの後半はどういたしますの?」
「どうしようかなあ。教会のミサ巡業でもするかな」
「まあ、よろしいですわね」
「聖心教の司祭さまですものね。信者さんたちが喜びますわ」
ホルボス山でも、何日か内政を見ないといけないが、まあ、そんなに手間でもなかろう。
ボリス先輩が村ではやってくれているし、地獄谷の方は、マダムエドワルダとダガンさんがやってくれているしね。
夏休み、アダベルはどうするのかなあ。
前半は海とか一緒に行ってあげるけど、後半はなあ。
学園長が旅行でも連れていってくれないものか。
長期休みだと、派閥員の半分以上が帰省しそうだしな。
まあ、たぶん、ホルボス村に孤児達を連れて行って遊びまくりそうだが。
洗い場に出て、ダルシーに隅々まで洗われる。
髪を洗われるのは官能的だなあ。
マメちゃんも影から顔を出したので、ダルシーが捕まえて洗っていた。
一洗いされたマメちゃんと一緒に湯船に入って暖まる。
湯船を出て、脱衣所に出てダルシーにバスタオルで拭いてもらう。
新しい下着を履いて、制服も洗い立てにして、ああ、さっぱりしたなあ。
マメちゃんもドライヤーでふわふわになっていた。
匂いを嗅ぐと幸せな匂いがしますね、君は。
「わんわんっ」
丁度晩餐に良い時間だね。
私はマメちゃんを抱いたまま階段を上がって一階に出た。
エレベーターホールでは派閥員達が集まっていた。
カロルがエレベーターから出て来て、マメちゃんの背中をなでなでとなでた。
みなが集まったので食堂にぞろぞろと入る。
「クララ、今日のお献立は?」
「下級貴族食は、塩タラのシチュー、豆サラダ、クリームコロッケ、黒パン、だよ」
「お魚シチュー!」
「うん、いろいろ入って美味しいよ」
「それは楽しみ」
私はトレイにお料理を乗せていき、最後にカップに冷めたお茶を注いだ。
トレイを持って席に着く。
ああ、なんだかタラの良い匂いだね。
北海から運ばれて来たタラかな。
全員席に着いたので、お食事の挨拶。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
おお、美味しい。
ミルク仕立てというか、ホワイト系シチューだな。
ごろごろと人参とかジャガイモが入っているな。
タラの戻し方が絶品で良いね。
丁度良い塩味だ。
「コイシ、貴様はまたそんなに塩を掛けて」
「タラはしょっぱい方が美味しいみょんよ」
相変わらずだなあ。
タラは北海で取れて、コイシちゃんの実家あたりの漁港で水揚げされて、塩漬けとなり、馬車を使ってはるばると王都まで運ばれて来るんだな。
王都の貧乏人はタラで体の半分が出来てると言っても過言ではなかろう。
「タラは良くたべたなあ」
「コリンナちゃんちもか、うちもだ」
「うちの地方だとそんなには食べないわね」
カロルの地方では塩タラは出ないのか。
まあ、海が近いらしいから海鮮が食えるなら、塩タラなぞはなあ。
バカンスで行く孤島でも別のお魚が食べられそうだね。
たのしみたのしみ。
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