第124話 お風呂の後に晩餐である
ショワショワー。
ダルシーの指使いが気持ちよくて眠りそうになるね。
こんにちわマコトです。
現在、地下大浴場でダルシーに、髪を洗われ中でございますな。
丁寧に洗ったあと、リンスをしてくれる。
湯船につかってのんびりしたあと、お風呂を出る。
ダルシーがバスタオルで隅々まで拭いてくれる。
コレに慣れてしまうと、色々不味い気がするのだが、まあ、快適には勝てないよ。
綺麗なドロワースをはいて、制服を着る。
ああ、さっぱりした。
髪もピカピカで綺麗綺麗。
大浴場を出るとダルシーは消えている。
諜報メイドは便利だなあ。
205号室に戻ると、コリンナちゃんが勉強していた。
「また風呂か、マコトは風呂好きだな」
「気持ちいいからねえ。コリンナちゃんは夕食後?」
「そうだな、夕食後に行くよ。しかし、毎日お風呂とは贅沢な事だよ」
「コリンナちゃんの家では毎日は入らなかったの?」
「毎日お風呂を入れると、魔石代が大変だよ。あと、水をくむのも重労働だしね」
貧乏貴族は大変なんだなあ。
とはいえ、ひよこ堂でも、キンボール家でも毎日は入らなかったか。
二日に一回とか三日に一回ぐらいだったな。
毎日どしゃどしゃお湯をわかして、二十四時間入り放題の学園の寮がおかしいのだ。
まったくスーパー銭湯かよっ。
ベットに潜り込んで本を読む。
手持ちの歴史の本であるよ。
大神殿の図書室に行って、ビアンカさまの伝承を追ってみるかなあ。
あの聖女さまも何かやっかいな感じだけどね。
二百年前だと、大陸と偽イギリスの島国が戦争をしていた頃かな。
中世も意外に長いからなあ。
本を読んでいたら、コリンナちゃんがはしごを登って顔を出した。
「晩餐にいこう」
「お、もうそんな時間?」
コリンナちゃんが壁の魔導時計を指さすと、もう食堂が開いている時間であった。
本にしおりを挟んでから、ベットを降りる。
二人で階段を降りて、女子寮食堂に向かう。
うお、良い時間だから、混み合っておる。
クララが入場制限をしているな。
「あ、ごめーんマコト、今混み合っててさあ」
「知ってる、大丈夫、待つから」
「もうちょっとまってねえ」
本でも持ってくればよかったな。
コリンナちゃんもやれやれと肩をすくめた。
女子寮食堂は大人気だなあ。
イルダさんが帰って来てから、抜群に美味しいからね。
「そういや、昨日はどこに行ってたの?」
「王宮で王様とご飯たべてたよ」
「うお、呼ばれたんかい」
「まあねえ、いろいろとありまして」
「詳しく」
私は、グレイブに森に誘い出された事から、王宮でロイヤル晩餐を食べた所まで語った。
ちょうど、列が終わって、私たちは食堂に入れた。
今日のメニューはと。
ええと、鳥のクリームシチューとキャロットサラダ、コンソメスープに黒パンか。
私はメリサさんのよそってくれたシチューをトレイにのせて、サラダ、スープと乗せていく。
「あら、マコトさん」
「メリサさん、大繁盛ね」
「イルダさんが帰ってきたし、食材も良いからね」
「なによりですね」
テーブルについて食べ始める。
もぎゅもぎゅ。
あ、すごい美味しい。
シチューの完成度が段違いだねえ。
黒パンも美味いっ。
シチューの味を引き立てるような味わいが良いね。
「すごい美味しいね」
「昨日の豚のソテーも凄かったよ」
「美味しい物を食べるとテンション上がるねえ」
サラダをバリバリとかみ砕く。
「しかし、昨日は酷い目にあったね」
「うむ、ロイド王子もうるさいし。グレイブは倒したけどねえ」
「ふむ、それは良い面だけど、さらに相手の攻撃が馬鹿になってんだね?」
「今日はリンダさんの前に、マイクーが来たぞ」
「うわ、マイケル卿、死んだ?」
「さすがに逃がしたよ。怪我とかしたら、治すのが面倒だし」
コリンナちゃんは黒パンを口に放り込んで、やれやれと肩をすくめた。
「デボラさまを止めないと駄目だな。直接注意するか、王子に注意してもらえよ」
「それしか無いかー。あまりに馬鹿すぎて事故が起こるしなあ」
「人死が出ると面倒くさいし」
だよなあ、いままで奇跡的に人死は出てないけど、誰かが死んだらうっとうしい。
さて、食べ終わって、食器をカウンターに下げた。
「おいしかったよー、イルダさんによろしくね」
「あいよう、また明日ね」
クララと挨拶をして、食堂を出る。
「そいじゃ、私はお風呂に行ってくる」
「あいあい、またね」
コリンナちゃんに手を振って、階段を上がる。
廊下の外の空は、もう真っ暗であるな。
夜は灯りが少ないから、やれることが少ない。
さっさと寝てしまうかなあ。