第1264話 カレーは食の王様なのであって
カレーが来た!
お水のコップも来て、スプーンが入っていた。
というか、これは昔の日本の風習だと思うのだが、一緒にやってきたか。
「これが、カレーか、ナンというパンを頼んだが」
「僕はライスだ……」
エルマーは解ってるな。
私はライス、カロルはナン、コリンナちゃんもナンだな。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
パクリ。
ああ、ああ、カレーだ。
まごう事なき前世のカレー。
泣けるぜ。
というか、ご飯もちゃんとジャポニカ米でうめえ。
「なかなか複雑な辛さで美味いな」
「甘くて辛くてしょっぱい……」
カロルがナンにカレーを付けて食べて、あら、という感じに眉を上げた。
「美味しいわね。スパイスが一杯入ってそう」
「コレは後を引く味だな」
コリンナちゃんも気に入ったようで、パクパクとナンを食べている。
いやあ、美味しいなあ美味しいなあ。
懐かしくて泣けるぜ、涙ぐむぜ。
カマラさんに感謝だなあ。
付け合わせのサラダも、トマトとキュウリとレタスのスタンダードサラダで箸休めならぬスプーン休めに良いな。
「不思議な味ーっ、後引きますっ」
「美味しいみょんな、ライスの方が合うかも」
「ライスの方が美味いかも、ナンも良い味だけどな」
「マコトさまとご一緒すると不思議なお料理に出会えて幸せですわ」
「これはエッセイに書いて生徒の皆さんに周知させなくてはなりませんわ」
「そうですわね、マリリン」
お洒落組も気に入ったようだ。
そりゃあ、まあ、カレーだからな。
さて、逆上してないで、味わって分析しなくては。
パクリ。
美味い。
カレーとしては高級志向の本格インド風じゃあなくて、ココイチとか、ゴーゴーとかのスタンドカレー系の味だね。
駅のカレースタンドほど安っぽく無いけれども、インドネパールカレーでは無い、和風カレーだなあ。
肉もひらひらの豚肉で、ジャガイモと人参がごろごろ入ってる、田舎のばーちゃんが作ってくれる系カレーだ。
よくもまあ、カレールーが無いのに再現したなあ、すごいやカマラさん。
パクパク食べて食べおわった。
うう、おかわりしたいが、苦しくなるからやめておこう。
「どうでしたか、お口に合いましたか」
「美味しかったよ、カマラさん。また食べに来ますよ」
「ありがとうございます」
「カレーは美味しいね、よく再現しましたね」
「いやあ、スパイスがちゃんと揃ったので、あとは福神漬けを再現ですね」
「わああ、頑張って~~」
「がんばりますよっ」
カマラさんは力強くうなずいてくれた。
いやあ、福神漬けが出来たら、また来よう。
「カマラさん、ホルボス山にお店出さない?」
「おお、温泉地ですか」
「そうそう、領地の教会を新しくしてるんだけど、新しく温泉施設も作って、巡礼者を呼ぼうと思ってるんだ」
「それは楽しそうですね。それほど急な話では無いのですよね」
「うんうん、建物出来るまで二三年かかりそうよ」
「解りました、ちょっとアテにしてスタッフ集めておきますよ」
「うん、ホルボス山にツバメ食堂とか、カレーの『ウツギー』とか出来たら、みんな喜ぶよ」
あとはクリフ兄ちゃんと嫁さんを口説いて、ひよこ堂、ホルボス支店を作ろう。
ホルボス山ヘルスセンターが出来たら、美味しい物食べられて楽しいね。
「ホルボス山のヘルスセンターね、計画は出来ているの?」
「まだー、ホルボス山教会の設計が始まったぐらいかな」
「そうなんだ、施設ができたら楽しそうね」
「巡礼の人がいっぱい来てくれたら嬉しいな」
「ふむ、この料理をホルボスの巡礼施設で出すのですか。もの凄い人気になりそうですね」
ブリス先輩がしみじみと言った。
「せっかくの温泉領地だから、巡礼のお客さんを呼び込んで利益を出して経営しましょう」
「地獄谷も施設が欲しいな」
コリンナちゃんがカレーを食べながら言った。
「あっちは温泉宿を作って、そこを中心に発展させよう」
「秘湯みたいな感じだね。地獄谷は、はちまき道路が出来て行きやすくなったけど、奥まっているからなあ」
やっぱり、温泉の泉質が違うからね。
良い感じに発展させたいな。
「ホルボス村までは、ちゃんと石畳の馬車道が出来たから、結構便利になったんだよな」
「蒼穹の覇者号で行くから、ちっとも実感できない」
「まあ、馬車で行くと半日つぶれるからね」
「大分楽になりましたよ、石畳の道が出来たんで、馬車の到着時間が短縮されましたよ」
ブリス先輩がしみじみと言った。
彼はたまに乗り合い馬車でホルボス村まで行ってくれているからなあ。
ちなみに、ホルボス村の乗り合い馬車は、朝と昼と夕の三往復しかしてない。
私らは蒼穹の覇者号でピュウと行ってるけどね。
さすがに馬車でホルボス村はキツい。
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