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第1256話 イエローワイバーンを撃退する

 カトレアさんが独特の構えでエッケザックスを持ち、ビームを発射した。


「死ね!」

「殺すなっ!」

「なぜだ、マコト!!」

「野生動物だから、叩き落として、隷属の首輪を外す、羽を狙って」

「にゃろー、あっ、そうかテイムか、私も一匹欲しい」


 竜騎士カトレアさんの爆誕か。

 デカブツを飼うとコストが凄いぞ。


 雨あられと私に向けて、サンダーブレスが降ってくる。 

 ジグザグに動き、障壁を張り、私は逃げまくる。

 少しでも生徒が多い山頂から離さなくては。


 カトレアさんのエッケビームに羽を焼かれた一匹が姿勢を崩して森の中に墜落していった。

 よし、あいつから処理しよう。


「カーチス、指揮を頼むよ、なるべく殺さないで」

「解った、竜騎士を増やすんだな、剛毅な事を考えるぜ、マコトは」


 そんな事は考えて無いが。

 私は墜落ワイバーンを追って森の中に飛びこんだ。


 プートリー山は低山なので、木々は密集しているが、下生えはあまり生えていない。

 走りやすい。

 

 ワイバーンは木々をなぎ倒し、吠え声を上げながら墜落した。

 私を見つけて、サンダーブレスを放つ。

 障壁で弾き対消滅させた。

 私は『ライト』を唱え、八倍の魔力で崩壊させて大閃光を作った。


 GYAOOOOON!!


 ワイバーンは目を閉じ、木々をなぎ倒して暴れ始めた。

 これだけ大きいと障壁の檻は効かない。

 一瞬で破壊されるだろう。

 動きを止めろ、一瞬で良い。


 ワイバーンは動きを止めて音で私の位置を測ろうとした。


 今だ!


 私は首にある隷属の首輪の下に厚さの無い障壁を差し込み、一瞬で直径を膨らませた。

 ワイバーンの動きが止まった。

 フロッティの斬撃で広がった隷属の首輪を切断した。


 KUWAY?


 ワイバーンはきょとんとして、見えない目で辺りをキョロキョロと見た。

 よし、一匹処理終了だ。


『ハイヒール!』


 魔力を込めて、ワイバーンの目と羽、あとあちこちの傷を治した。


『ががう?』

「巻き込んでごめんね、ここで大人しくしていて、他の仲間も絶対に助けるから」

『がうがう』


 イエローワイバーンはこくこくとうなずいた。

 よし、次だ。

 私は駆け出し、森を抜けた。


 わあ、凄い事になってるなあ。


 地上にイエローワイバーンが一匹落ちて虫の息である。

 元気そうな奴はチェーン君が雁字搦めにしている。

 ダルシーがワイバーンの背に乗ってぼかぼか殴って居た。

 どんどん高度が落ちているから重拳掛けて自重を増やしているな。


 最後の一匹は、哀れにも守護竜モードのアダベルに噛みつかれて地上に一緒に落ちた。


 聖女派閥の戦闘力はおかしいんじゃないだろうか。

 ワイバーンといえば一匹でも騎士団総掛かりで戦って甚大な被害が出る魔物だぞ。

 見回しても誰も傷ついて無い。


「あー、エイダさん、念の為、警戒スクランブルで来てくれるかな」

【ただいま急行中です】


 本当だ、王都を見たら蒼穹の覇者号がこっちに来てるや。

 やれやれ、どうして我が派閥はこんなに強いのかな、やれやれ。


 まずはチェーン君に絡みつかれているワイバーンの隷属の首輪を障壁を使って外した。


『ゴワン?』

「迷惑掛けてごめんなあ、今、みんな助けるから」

『ごわごわ』


 なんか、支配から外れると、イエローワイバーンさんたちは温厚な感じだな。


 息も絶え絶えの個体に『ハイヒール』&隷属の首輪外し。

 これで、三匹解放完了。


 ダルシーが乗ってぼこぼこ殴っていた個体は重量が増えて地面にめり込んでいた。

 その上でダルシーが腕組みをして仁王立ちである。


「ダルシーありがとう」

「いえ、なんでもございません」


 隷属の首輪を破壊して、『ハイヒール』、丁度重拳が切れた感じで彼はすっくりとたった。


『ナンダカ解ラナイガ、アリガトウ』

「人語使えるのか、こっちこそ、迷惑を掛けちゃってごめんよ」

『イヤイイ、オマエハタスケテクレタ』


 最後はアダベルにかぶりつかれている個体だな。

 血がビュービュー吹き出していて可哀想であるな。


『ハイヒール』


 傷を治して、隷属の首輪を破壊した。


「アダベルありがとう、助かったよ」

『うむ、我は守護竜だからな、王都一帯は我の縄張りぞ、侵入することまかりならんっ』


 ははーという感じで四匹のワイバーンは地に伏せ頭を下げた。

 アダベルはああ見えても竜の中だと偉いんだよな。


 森からのっそりと、最初の個体がやってきて、五匹のワイバーンは無事だったかという感じで頬ずりを交わした。


「なんなんだ、貴様らの戦力はっ!! 聖女の周りは化け物揃いかっ!!」

「黙って歩きなさい」


 アライド訛りのおっちゃんが三人、アンヌさんとバッテン先生に連行されてきた。


「アライドの女王の命令ですか? 目障りな聖女と王子たちをまとめて暗殺しようとしたんですね」

「ち、ちがうっ!! アライド王家の命令では無い、ウエストン家が竜馬を強奪した聖女への報復の行動で、まったく正当な攻撃である。早く釈放しろっ!!」


 ケビン王子が笑いながらやってきた。


「いやあ、政治上だとそうは行かないのですよ、聖女候補を倒す為に、亜竜を五匹暴れこませる。そんな常識のないテロを行って、釈放できるわけありませんよね。人的被害が無かったのは幸運だっただけで、生徒が傷ついたり死んでたりしていたら、どう責任を取るつもりだったのですか」


 あ、ニコニコ笑っているけど、ケビン王子は相当怒っているな。

 これは高くつきそうですよ、ウエストン一族さん。


「黙れ、田舎者め、ウエストン家の資産ならば、どれだけでも補償金を払えるのだ。アップルトンの田舎者とは違うのだ!」

「偉そうだな、こいつ、誰?」

「ぼ、ぼっちゃん、この辺で……」

「だ、黙れっ! 僕はウエストン家の嫡男だぞっ!! 出来損ないの兄貴とは違うんだっ!!」


 あーあー、マヌエルの弟か。

 そうかそうか。


「ははは、身代金をたっぷり取れそうですな、王子」

「まったくだね、ふっかけてあげよう」


 腹黒王家主従がニマニマしながらそう言った。

 最悪、ウエストン家はつぶれるな、これは。

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― 新着の感想 ―
[一言] 普通の狩人が獲物を森の中に落とすと、非常に見つけづらいのだが首環サーチで一発なのであるな。
[一言] 聖女派閥の戦闘力はおかしいんじゃないだろうか。←何を今更www
[良い点] >聖女の周りは化け物揃い イエロー飛竜くんも加入する可能性あり→下手すりゃ自分から相手の戦力を増加させるオチになるかもしれないんだよなぁ…。
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