第1250話 グラウンドに集まって大型馬車に乗る
朝食を食べ終わり、出口でお弁当を受け取って私たちは女子寮を出た。
派閥員でまとまってるけど、私とカロルだけが手ぶらだね。
あとの人はみなリュックと水筒を背負っている。
空は梅雨の雲が噓のように晴れわたり、快晴である。
グラウンドにはA、B、C、と書かれた旗があって、その下に担任の先生が立っていた。
クラス順にまとまるのだな。
遠足だから、前世だとジャージか体操着なんだけど、こっちの世界では制服、C組の女生徒なんかはドレスを着ている子も多いな。
私と、カロル、カトレアさんとコイシちゃんがA組の旗の下に集まった。
「おはようございます。みなさん」
A組の生徒がだいたい集まったらアンソニー先生が口を開いた。
名簿で人員を確認しているな。
「みなさん、そろいましたね。今日は毎年恒例のプートリー山への遠足です。団体行動を乱さないように遠足を楽しんでくださいね」
「「「「はーい」」」」
さすがのA組の秀才たちも、遠足となると歳相応に元気が良いね。
王家主従も居るな。
ジェラルドもケビン王子も足回りはしっかり運動靴であるよ。
カトレアさんとコイシちゃんはブーツだな。
結構ごつい。
「良いだろう、冒険にはブーツなのだ。道がぬかるんでいるかもしれないからな」
「ダンジョンアタック用に買ったみょんよ」
「そうか、ダンジョンだとブーツが良いのかもね」
とはいえ、履くのが面倒くさいし、私は断然運動靴だなあ。
「おはよう……」
エルマーも寄ってきた。
奴もブーツだな。
「ブーツは、良い……」
「エルマーもダンジョンに良く行くからね」
「色々危ない所をブーツに救われた……」
そうかそうか。
というか、カーチス兄ちゃんのパーティだと、エルマーが斥候役をやってるんだよな。
そろそろ、常設で盗賊でも雇えですよ。
寝坊したのか、おトイレか、遅れてきたC組のドレス令嬢が旗の下に並んで生徒はそろったようだ。
「それでは、馬車溜まりに移動しますー」
「麓までは馬車なのかね」
「そうみたいだ、大型馬車がさっき入ってきたぞ」
「何人乗りかしら」
「十人乗りぐらいだったみょんよ」
A組は三十人ぐらいだから、三台に分乗かな。
これもガドラガ実習に向けての集団行動訓練なんだろうな。
「聖女派閥の馬車に乗せてくれないかな、キンボールさん」
ケビン王子とジェラルドが寄ってきた。
「王族専用馬車とか出ないの?」
「学校行事だからな、ガドラガ実習に白銀の城が使えないようなものだ」
「ああ、蒼穹の覇者号で実習行きてえ」
「飛空艇での行き来も学習の内らしいからね、駄目だと思うよ」
「まあ、いいよ」
「助かるよ、キンボールさん」
「王家派閥の者がうるさくてな」
ああ、過剰な接待を受けるのか。
それはうっとおしいね。
私の影からマメちゃんが、ぴょこんと顔を出した。
「おお、マメくん、今日もかわいいね」
「うむ、今日はよろしくであるぞ、マメどの」
王家主従は目を細めてマメちゃんを抱き上げもふもふした。
マメちゃんは人気者だな。
馬車溜まりに止まっている二番目の馬車に乗り込んだ。
王家主従とA組聖女派閥で七人だな。
後の三人は、秀才グループの三人が乗ってきた。
「今日はよろしくおねがいします」
眼鏡でおかっぱさんが丁寧に挨拶をしてきた。
「いえいえ、こちらこそよろしく」
「ワンワン!」
「「「はわわ~~」」」
私が抱いたマメちゃんを見て、秀才さんたちはメロメロになった。
さすが、マメちゃんだぜ。
六頭立ての大型馬車は中もゆったりしてるね。
さすがは王立魔法学園、お金掛かってるな。
前世のマイクロバスみたいな感じである。
私は当然、カロルの隣に座るぜ。
皆が乗り込んだのか、先頭の一号車から動き出した。
このままプートリー山の麓まで行くっぽいね。
帰りも大型馬車かな。
「いやあ、大型馬車はいいね、ジェラルド」
「そうですな、A組だけというのが素晴らしい」
そうか、組み分けじゃなかったら、ビビアンさまと一緒の馬車になる所だったのだな。
「遠足中も組ごとに行動かな?」
「そうかもしれないわね。コリンナが居なくて寂しいけど」
「カーチスが良い感じにまとめる……」
「そうね、カーチスは指導力が高いから」
「B組の聖女派閥もまとまって動いてるかな?」
「そうに違いない、殿だからな」
「休憩の時にお菓子セットを渡さないといけないみょん」
しかし、カトレアさんと、コイシちゃんは武装してんな。
カトレアさんは、エッケザックスを担いでいるし、コイシちゃんの腰には氷塊丸が吊ってある。
「あんたら、バテるよ」
「何を言うか、騎士のたしなみだ!」
「武士の決意の表れみょんよ」
やれやれである。
私は軽い聖剣フロッティを差してある。
子狐丸でも良いんだけど、あの子は特殊だからなあ。
「だいたい、マコトはすぐ事件を呼ぶから武装してるべきなのだ」
「そうだみょんそうだみょん」
「え~~、それは無いよ」
「「ある」」
というか、何かあるとやだなあ。
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