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第1248話 遠足前でみんななんとなく浮き足立つ

 お風呂から上がり、新しい下着を着けて洗濯したての制服を着る。

 おし、さっぱりした。

 マメちゃんはダルシーが丁寧に拭いてドライヤーを掛けたのでふかふかになった。


「わんわんっ」


 ふかふかマメちゃんは手触りが良いねえ。

 なでなで。

 なでなでしていたら、コリンナちゃんとコリンヌさんが寄ってきて風呂上がり女子三人でマメちゃんをなでる会となった。


「ライイチローとか、ヤギジローもお風呂に入れてふかふかにしたいですっ」

《ヤダ》

《ヤダ》


「ヘビ三郎はいいの?」

「あの子はつるつるですから」

「水浴びとかさせてないのかい?」

「厩舎でやってるのですけど、水だから」

《ミズハイイ》

《オユキライ》

「こんど地獄谷で洗ってあげましょう、あそこなら従魔を入れてもだれも嫌がらないし」

《エー》

《エー》


 ライ一郎とヤギ次郎はお風呂が嫌いっぽいな。

 清潔にしないと駄目だぞ。


 私たちは階段を上がってロビーに出た。

 晩餐まで、ちょっとだからロビーでのたのたしてるかな。


「明日は遠足かあ、だるい」

「ランニングをサボるからだ、へばっても知らんぞ」

「そんなあ」

「プートリー山はそんなに険しくないわよ、『ナ』、鎖場とか無いし」

「鎖場がある山とか登りたくもねえ」

「まあ、頑張れ、ストックとかあると楽なんだけど」

「杖を突いて行くのか、お爺ちゃんじゃあるまいし」

「両手にストックを持って四つ足感覚で歩くんだよ、大分楽になるんだけど」


 こっちの世界ではストックとか使わないのかな。

 まあ、山登りにストック使い出したのは前世でもわりと最近だったけどね。

 金剛杖系の一本杖でも違うかも。

 冒険者系のお店で売って無いかな。

 まあ、もう暗くなってきたから調達は無理っぽいけど。


 柱時計がボーンボーンと鳴ってエレベーターでカロルが下りてきた。

 手を振ると笑顔でやってきた。


「カロルは杖とか、持ってない? エルマーの棒っぽい感じの」

「ん? 何に使うの」

「コリンナちゃんの杖」


 カロルは収納袋から、何本か棒を出した。

 ああ、長かったり細かったりするなあ。

 ダンジョン用の地面たたき棒だからなあ。


「お、あるじゃん、長さも良いし、軽いね」

「棒術の棒よ」

「棒術してたの?」

「初歩だけやったのよ」


 護身用に覚えたが、結局チェーン君が優秀過ぎて使わない技術だな、きっと。

 モーニングスターの方が威力あるしね。

 コリンナちゃんは棒を持ってうろうろ歩いた。


「いいな、明日貸して」

「良いわよ」


 まあ無いよりはましであろう。


 エレベーターホールに派閥員が集まってきたので、そちらに移動する。

 ジュリエットさんがやってきて、派閥員はそろった。


「遠足楽しみですねっ」

「ジュリちゃん、運動靴は?」

「買いましたよ、可愛いのっ」


 遠足でバテそうなのは、コリンナちゃん、メリッサさん、ジュリエットさん、という所か。

 剣術組は鍛えてるし、マリリンは問題なかろう。

 まあ、へばったらヒールを掛けてあげれば大丈夫かな。

 あんまり疲れるようだったらヒューイでも呼んで乗せて帰ろう。


《まかせろ》


 私たちは食堂に入った。


「やあ、クララ、明日のお菓子セットは十分にあるの?」

「いひひ、足りないかも、男子の分とか、遠足行かない上級生とかもほしがってるから」

「一年生に優先的に販売すべきですわっ」


 メリッサさんがクララに喰ってかかった。


「まあ、そうなんだけど、なかなかねえ、お弁当も作らなきゃだし、今晩は私とメレーさんで徹夜で作るけどね」

「た、大変ね」

「あんた達も食い尽くしちゃったの?」

「孤児と腹ぺこ守護竜に強奪されたのよ」

「あ~あ、それは災難だったわね、ひよこ堂でも遠足セットを売ってるらしいわよ」

「あっちも完売よ」

「「「「なんですって」」」」


 派閥員が声を揃えて絶望の声を上げた。

 そういや、みんなも強奪されてたからなあ。


「わ、ひよこ堂セット持ってる?」

「はいよ」


 クララは私が差し出した亜麻袋を開いて中を確かめた。


「クッキーとソバボウロ、マドレーヌかあ、なかなかね、クリフさん」

「女子寮食堂セットの方がお得感強いわね、お兄ちゃん、もうちょっと早く知りたかったって言ってた」

「ああ、校外だと遠足とか解らないからねえ、本気のひよこ堂と競り合わなくて助かったわ」

「明日の朝、何時から販売なの?」

「早番、六時から。欲しかったら急いでね。一応一年生は一人二個、他学年は一個の販売規制するけど、たぶん無くなるわ」


 そりゃ、めっちゃお得セットだしなあ。

 メレーさんは伯爵グレードのお店でエースを張れるぐらいの腕前だぞ。

 明日は早起きしよう。

 みんなの表情も決意にあふれている。


「私も二つ買って、ロイドさまと一緒に食べるのですっ」

「殿の分を買わねば」


 そういや、エルマーの分も買っといた方が良いかな。


「とりあえず、今日のお献立は?」

「今日は、メンチカツとイカフライ、コンソメスープ、ニンジンサラダ、黒パンよ」

「それはまた、ツバメ食堂行ってきた?」

「行ってきたみたい、ツバメソース付きよ」


 それはありがたい。

 女子寮食堂スタッフは腕が良いからツバメ食堂のフライよりも美味しかったりするからなあ。


 トレイにお料理を取っていき、最後にケトルからカップにお茶を注ぐ。

 やあ、揚げたてメンチカツが美味しそうだ。


「メンチカツとはなんですの?」

「ハンバーグのフライだよ」

「面白い物ですわね」


 ヒルダさんがクララにメンチカツの事を聞いていた。

 あまり、王都では見ない料理だからね。


 皆がテーブルに着いた。


「いただきます」

「「「「日々の糧を女神さまに感謝します」」」」

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― 新着の感想 ―
[一言] 平和が一番、ほかって・めしって。
[一言] 給湯室とこ確かあるだろうしカロルのとこみたいに火の使える部屋もあるだろうからメイドに頼めば人はボウロやクッキーなら出来そうな気もするけど、 そういや何故かメイドらは自分で作らないで買うんだよ…
[一言] カロルの杖を借りれてよかったかもしれない。 マコト=サンがいつもの調子で探していると聖剣ならぬ聖杖を見つけてしまうかもしれないからね。きっと厄介ごともセットでくる。 俺は詳しいんだ(おめめく…
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