第1243話 ホルボス邸宅に絵を取りに行く
ちびっ子ギャング達にお菓子を強奪されたので、放課後はお菓子横町にいく事となった。
アダベルだけじゃなくて、孤児達もフリーダムだけど、孤児院の女官さんは結構厳しい。
私に甘えて来てるだけなんだよね。
子供は暴れん坊で図々しく騒がしいもんだよ。
小さい頃に大暴れして怒られて愛されると、大人になっても良い思い出になるってもんさ。
うんうん。
さて、ぞろぞろと学園に戻って私以外は午後の魔法の授業である。
私は暇であるな。
絵でも描こうかなと思ったけど、ダルシーの絵を飛空艇基地に見せに行こう。
私は歩いて厩舎まで行った。
「おう、聖女、ヒューイか」
「そうだよ、ちょっと飛んでくる」
相変わらずロバのロペスに乗ったマヌエルが声を掛けてきた。
「パスカルが今度、レースを見に行こうって言ってたぞ、あと、夏のレースに向けて一度打ち合わせをしたいそうだ」
「ああ、そうだね、他の騎乗部部員にも紹介してほしいね」
「無精してヒューイを呼ばないで厩舎にも来いよ」
「いやあ、便利でさあ」
念話で呼ぶと勝手に来て、帰りも勝手に帰ってくれるので最近は厩舎に行って無かったなあ。
「念話は便利だよなあ。もっと早く古式テイムを知りたかったよ」
「実家が隷属の首輪の総本山だから、難しいでしょ」
「うん、捕まって良かった点だな。パスカルもテイム騎乗で相当タイムが縮まったよ」
そうかそうか、ケルピーのジョガーと仲良くやってるようだね。
なによりだ。
私付けの馬丁さんのデュドネさんが馬房の柵を開けてヒューイを出してきてくれた。
《主よ、飛ぶか》
「飛ぶわ、最初はホルボス山、その次に飛空艇基地」
《解った》
ヒューイに鞍を着けて貰う時間を使って、私も更衣室で乗馬服に着替える。
ダルシーが現れて手伝ってくれた。
「ダルシーも一緒に乗っていこう」
「はい」
というか、普通にヒューイで飛行してる時はダルシーはどうやって移動しているのだろうか。
人知れず自分に重拳を掛けて跳んで移動してるのかね。
更衣室から出ると鞍を着けたヒューイが寄ってきた。
私が跨がると後ろにダルシーが乗り、マメちゃんが影から上半身だけだして鞍の前に陣取った。
おお、影空間に半分沈んでいると落ちなくてよさそうだね。
「わんわん」
《マメも行くか》
「わわんっ」
「じゃあ、行ってきます」
「おう、行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃいませ」
マヌエルとデュドネさんに手を振って、ヒューイを空に舞い上がらせた。
ああ、飛空艇と違う直に空を舞う感覚、久しぶりだなあ。
ゴーグルを下ろして目を保護する。
風で目が痛いからね。
まずは王都の西門の近くで降りて、門番さんに冒険者カードを提示した。
ダルシーも冒険者カード持ってるのね。
銅カードであった。
「ホルボス山かい、行ってらっしゃい聖女さん」
「ありがとう、おじさん」
門をくぐって再び空に舞い上がらせる。
ああ、天気の良い日の騎乗は気持ちがせいせいするね。
ホルボス村上空に行くと、村の広場で子供達が暴れているのが見えた。
広場にヒューイを着陸させる。
「わあ、マコねえちゃん、ヒューイ!」
「おお、マコトだ、お菓子はちゃんと配ったぞ」
「監視に来たんじゃないわよ」
「美味しかったっ、聖女さまありがとう」
「マドレーヌを食べました」
「うまかった~~」
「またたべたいです」
「ごちそうさまでした」
お菓子はちゃんとトール王子、ティルダ王女、村の子供にも配られたようだ。
さすがはナタリー、カロルのお弟子さんなだけはあるね。
「何しに来たの?」
「邸宅からダルシーの絵を持って飛空艇基地に見せにいくのよ」
「わあ、飛空艇基地!」
「黄金の暁号見たい!」
「また今度ね」
子供達は飛空艇基地は楽しいだろうが、働いている大人は嫌かもしれないしね。
基地の祭りとか有ったら連れていってあげよう。
「学園は明日遠足なのか」
「そうよ、プートリー山にハイキング」
「いいなあ」
「よし、我々も明日、ホルボス山山頂へ登山に行こうっ!!」
「いいねえ、頂上でおやつを食べよう」
「楽しそう、行こう行こう」
子供達もホルボス登山かあ、ちゃんとした登山道もあるし、ガラリアさんか誰かが付いていくだろうから危なくは無いだろうね。
広場で遊んでいる子供達と別れて、私は邸宅へと向かった。
ヒューイから下りて、邸宅の中に入るとジェシーさんがお掃除をしていたぞ。
「これはご領主さま、お帰りなさいませ」
「ちょっと絵を取りに来たわ」
「あら、良い絵ですのに、移転ですか?」
「飛空艇基地に見せに行く約束だったのを忘れていたのよ。すぐ戻すわよ」
「さようでございますか」
私はダイニングに入り、ダルシーの絵を外して収納袋に入れた。
よし、これで後は飛空艇基地に持って行けば良いな。
ホームルームまでに学園に戻れればいいんだけど。
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