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第1242話 晴れの自然公園でランチをいただく

 ああ、晴れた公園は爽やかで良いねえ。

 ちょっと芝生が濡れているけど、カロル謹製の耐水シートを引いたので安心だ。


「だいぶ久しぶり」

「わんわんっ」


 マメちゃんも喜んで芝生の上を駆け回っているね。


「あー、なんか聖女派閥はアットホームでいいですねえっ」

「コリンヌさんは、元はどこ派閥よ?」

「ベロナさまのお家のベントゥラ伯爵家が王家派なので、召使い家の家も王家派ですよ」


 王家派かあ、アップルトン国内の最大派閥だね。


「でも、大きいだけであんまり横の繋がりが無いんですよ、集会もあんまりしないですし」

「まあ、国家行事が王家派閥の集会みたいなもんだからね」

「聖女派閥はいろいろな階層の人たちが集まって楽しいですねっ」


 そう言ってコリンヌさんは、ツイストドーナツをがぶりと囓った。

 派閥は歴史が無いほど、動きが活発になるからなあ。

 先祖代々の繋がりがない分、集まって結束を深めるのだな。

 とはいえ、聖女派閥は、卒業までの時限派閥で、学生が中心なので集会が多いのは当然だな。


「あら、フロランタンは香ばしくて美味しゅうございますわ」

「キャンデーはフルーツですわ、良い味ですこと」


 おしゃれ組が遠足菓子を開いてむしゃむしゃ食べている。

 明日の朝、追加で買うのだな。

 女の子はお菓子を我慢できないからなあ。


 日が陰った、と思ったら上空を水色なドラゴンが横切った。

 アダベルであった。

 晴れたから子供達とホルボス山へ行くのかな。


 と、思ったら旋回して戻ってきた。

 私たちの近くにどーんと着地した。


『そのお菓子はなんであるか』


 古語でしょうも無い事を聞くなよ。

 籠から子供達がこちらを見て手を振った。


「明日遠足だから、それ用のお菓子だよ」

『遠足のお菓子!! それはずるいぞ』

「いや、そんな事を言われて」


 邪竜さんは芝生の上で腹ばいになると、ぼわんと煙を出して、子供の姿に変化した。


「美味そう!! くれくれっ!!」


 あー、腹ぺこドラゴンに見つかってしまったなあ。

 困ったなあ。

 まあ、仕方が無い、私は袋を開けて、ぎゃー、手を突っ込んでマドレーヌを引っ張りだしおったぞっ。


「アダちゃん、ずるーいっ」

「ちょうだいって言わないと駄目なんだよ」

「「「「ちょうだいちょうだい」」」」

「むしゃむしゃ、美味い美味い」


 いや、並ぶな孤児達よ。

 まー、良いかあ。

 私は観念して、公平に渡るように孤児達にも配った。


「アダベル、並び直すんじゃありません」

「だ、だめか」


 カロルとコリンナちゃんが笑って、自分の袋を開けて孤児とアダベルに配った。


「「「「うわーいありがとうっ、今日はお菓子祭りだあっ」」」」

「美味い美味い」


 子供ギャングたちに遠足お菓子セットは食べ尽くされてしまった。


「私たちも提供いたしますわ、でも、このまま持って行って、トール王子、ティルダ王女、村の三人にも分けてあげてくださいませ」

「お、おう」

「アダベルじゃ駄目よ、ナタリー、メリッサさんとマリリンの袋を持って行ってね」

「わかりましたー、ホルボスのみんなも喜びますよ、ありがと、メリッサさま、マリリンさま」

「いいのよ、アダベルさまに取られないようにね」

「いや、沢山食べたから、ちょっとしないと食べられない」

「うそだー、アダちゃんは底なしだし」

「ち、ちがうよ」


 まあ、お菓子は天下の回り物だから、ホルボス山に持って行ってくれたまえ。

 ひよこ堂セットも持ってけ。


「ごちそうさん、さあ、みんな行くぞっ」

「「「「はーーい」」」」


 アダベルは籠の下に潜り込んでドラゴンに変化して、籠を背負い直した。

 しゃがんで子供達が乗るまでじっとしていた。


『それでは、行ってくる』

「みんなによろしくね」

『解った』


 ドラゴンのアダベルが羽ばたくと凄い風でスカートが巻き上げられそうになって手で押さえた。


 そして邪竜さんはホルボス山の方へ飛んで行ってしまった。

 なにゆえ高空からお菓子を発見できたのか。

 凄いなドラゴンは。


「お菓子を強奪されてしまいましたわ」

「でも、子供が喜んでいたから良かったですわ」

「ナタリーに渡しておけば、ホルボス山の子供にも届くわね」


 カロルがふんわり笑ってホルボス山の方角を見て、そう言った。


「アダベルさん、迫力ありますねえっ」

「でっかいアダベルを見たの初めてだっけ」

「時々遠くからは見てましたけど、こんな近くで見たのは初めてっ、綺麗なドラゴンですねっ」


 コリンヌさんはそう言って、遠足お菓子セットから、飴を出してなめた。

 飴は子供達にとってハズレなので余ったっぽいね。

 チョコボンボンの方が人気であったよ。


「あー、また明日の朝に買わないと-」

「俺のも買っといてくれ、カトレア」

「解りましたよ」


 私はどうするかな、放課後お菓子横町に行こうかな、せっかくのお天気だし、ヒューイも喜ぶだろう。


《主と一緒は嬉しい》


 そうかそうか。



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― 新着の感想 ―
[一言] アダベルwww
[気になる点] >そして邪竜さんはホルボス山の方へ飛んで行ってしまった。 元邪竜で現聖氷竜じゃないの?
[気になる点] > まあ、お菓子は天下の回り物だから、ホルボス山に持って行ってくれたまえ。 フレーズ?表現?が面白いから無粋なツッコミですが お菓子だと消費されてしまうので回らないと思います [一言]…
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