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第1238話 ホルボス山を領地に貰って良かったとしみじみ思う

「あー、温泉は良いなあ」

「そうだねアダちゃん」


 なんだかアダベルがオヤジくさいが、温泉好きは私もなので突っ込むまい。


 お風呂から上がって脱衣所で服を着る。

 ダルシーが新しい制服と下着を出してくれたのでさっぱりした。

 ホルボス村の温泉は強めなので指の先がつるつるになるね。

 あたたまるし。

 ダルシーがマメちゃんをバスタオルで拭いていた。


 ダイニングに出て、ジェシーさんにジュースを出して貰って一息つく。

 いやあ、ダルシーの絵が飾ってあって良い感じ。

 あ、そういや、飛空艇駐機場へ絵ができたら見せに行くって約束していたな、あとマルモッタン巨匠にも見せる約束をしていたっけ。

 色々忙しいのですぐ忘れてしまうね。

 週末にでも見せに回ろうかな。


「ぷはあ、風呂上がりのオレンジジュースは格別!」

「格別格別」


 子供はジュース好きだよね。

 私も好きだけどさ。

 ティルダ王女と孤児たちがマメちゃんとクロと遊んでいた。


「やっぱりホルボス村に邸宅があるとのんびりできるね」

「また泊まりに来たいですわ」

「ホルボス村も良い所ですし、地獄谷にも行ってみたいですわ」


 地獄谷は温泉の成分が激強だからなあ。

 行くのに気合いを入れないと入れないんだよなあ。

 そろそろ道の整備も終わって住居が建てられるかな。

 秋ぐらいには地獄谷の硫黄運びの人たちもこぎれいな家であったかく過ごせるでしょう。


「さて、そろそろ帰りましょう」

「そうね」


 私たちはだるーんとダイニングでくつろいでいたが気合いを入れて立ち上がった。

 ああ、マッサージチェアとか欲しいなあ。

 アイデアを出したら魔法塔で開発してくれないだろうか。


 そんな事を考えながら邸宅を出て、障壁回廊を歩く。


「この通路、残しておけないですか?」


 そんな事をティルダ王女が聞いてきた。


「もうすぐ梅雨は終わりますけど」

「でも、みんな雨具を着けて来てくれてるのでかわいそうなんです」


 ああ、村の子の心配か、ティルダ王女は優しいね。

 早く作ってあげたら良かったな。


「じゃあ、しばらく残しておきますよ」

「ありがとうございます聖女さまっ」


 まあ、しばらく残して置いても良いね。

 広場までのアーケードだな。


 マメちゃんは寒いのか私の上着の中に入り、顔だけちょこんと出していた。

 胸が暖かいね。


 村の広場に行くと男衆は宿屋の一階でお茶を飲んでいた。

 風呂上がりらしく顔が上気しているね。


「おまたせおまたせ」

「そば茶を飲んでたから大丈夫だ」


 カーチス兄ちゃんが笑って言った。


「ご領主さま、もうお帰りですか」


 ブリス先輩と話していた村長が挨拶をしてきた。


「ええ、ブリス先輩の用事は終わりましたか?」

「終わりましたよ、領袖」


 ブリス先輩は仕事熱心で良いね。

 村の中心部の家などが撤去中で、アシル親方が雨の中作業員に指示をしていた。

 家々を移転させて、村の真ん中に大きめの教会と宿泊施設を作るんだよね。

 温泉があるからヘルスセンターっぽい感じで計画を進めている。

 きっと巡礼の人がいっぱいくるぞ。

 あと、村役場と小等学校を建てるのだ。

 ホルボス村を発展させよう。

 内政じゃ。


 最初は領地なんか面倒くさいと思っていたけど、村の人と知り合うと、この領地を良い場所に変えたいという欲望が発生するね。

 地獄谷の方は、コリンナちゃんとジェラルドに任せてあるしな。


「夏には夏祭りがございますので、是非皆様で泊まりがけでいらっしゃってくださいませ」

「夏祭りもあるんだ」


 普通の村だと、春の祭りと秋の収穫祭の二回なんだけど、さすが王都に近い村は裕福なんだなあ。


 村長に日取りを聞いた。

 うん、夏休み前半だね。

 海水浴バカンスの先にしようかな、後にしようかな。


「お祭り、楽しそうだ」

「色々なダンスとかあるよアダベル親分」

「今年は聖女さまがご領主になってくれた記念で盛大にやるって」

「みんなも来てよ」

「「「「いくいく~~」」」」


 うんうん、これは出ないとね。

 夏祭りに出てから諸島バカンスに出かけますか。


 村長や、村の子、トール王子とティルダ王女に別れの挨拶をして我々は飛空艇に乗り込んだ。


「やっぱり、この村は良いな、良い場所を領地に貰ったな、マコト」


 カーチス兄ちゃんが笑顔で言った。


「うん、良い場所だよね」

「私も好きよ、この村」


 カロルも好きですか、私も好きなんだよ。

 気が合うね。


 よっこいせと艇長席によじ登った。

 袖机にマメちゃんが仁王立ちになる。

 アダベルが笑って、クロをマメちゃんの上にのっけた。

 二匹はおとなしく二段重ねになっていた。


「マメ~~、お前はお利口だなあ」

「わんわんっ」


 マメちゃんはお利口なのだ。


「離陸する……」


 エルマーの操縦で蒼穹の覇者号はふわりと浮き上がった。

 村の広場に、村長や子供たちが手を振っているのが見えた。


 さあ、学園に帰ろう。


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― 新着の感想 ―
[一言] マメちゃんはお利口さん、クロは大人しい(節電モードなの?)
[一言] ダルシーの絵は結局積んだのかな?
[良い点] 二段重ね!
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