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第1235話 子供を乗せてマーラー領に飛ぶ

 レインコートの子供たちがメイン操縦室になだれ込んで来たので、ダルシー、アンヌさん、コリンヌさんが手分けをしてバスタオルで水気を拭きまくった。


「どっか行くのどっか行くの」

「マーラー領に水着の発注に行くのよ、あんた達も行く?」

「「「「いくいく~、水着水着~~!!」」」」


 子供達は雨合羽を脱ぎ散らかしてビョンビョンと跳ねて喜んだ。


「雨の日だと館にこもってばっかりでさあ」

「絵本も飽きたし~~」

「水着って事は夏に海に連れて行ってくれるの?」

「そうよ、リシュエール諸島って所にバカンスに行くのよ」

「ひゃっほう、ご機嫌だ~~」

「「「「ばんざいばんざーい」」」」


 連日の雨で腐っていたようで、海に行けると聞いた子供達のテンションは一瞬でマックスになった。


「あれ、コリンヌねえちゃん、ライオンは?」

「今日はお留守番、海に行くときは一緒だよっ」

「ライオン! 山羊! 大蛇!!」


「それでは、私はここで」

「帰りに寄りますから、早めにお仕事を済ませてください」

「解りました、ありがとうございます、領袖」


 子供達と入れ替わるようにボリス先輩は船を下りていった。

 村長さんに歓迎されているのが見える。


 今日は派閥員でベンチがいっぱいなのでラウンジに行きなさいと言っても子供達は嫌がり、フロアでゴロゴロ転がった。

 難民船みたいな感じになったなあ。

 まあ良いか、マーラー領まではそんなに遠くでもないしね。


 エルマーはエンジン出力を上げ、垂直離陸をして、船を突剣山脈方向へ回頭させた。


「山越えする……?」

「雲の上に出てから下りましょう」

「了解……」


 山越えするとマーラーの奴が来るかもしれないしね。

 外套の元が増えるのは良いが倒すのが面倒くさい。


 エルマーが操舵輪をぐいっと引くと蒼穹の覇者号は雨空に向けてどんどん高度を上げていく。

 雲の中に飛び込み、そしてスポンと抜けると空は快晴で、子供達が歓声を上げた。

 近くの雲間に突剣山脈のてっぺんが出ていた。

 あそこを過ぎたら高度を下げる感じだね。


 蒼穹の覇者号は突剣山脈の頂上を見ながら脇を通り過ぎた。


【高度を下げてください】

「了解……」


 高高度飛行するとマーラー領まで近いね。

 エルマーが操舵輪を押し込むと船は高度を下げていく。

 再び雲の中に飛び込み、出ると遠くに小雨に煙るマーラー領都が見えてきた。


 いつものようにマーラー領主館の練兵場へとエルマーは飛空艇を着陸させた。

 ふんわり下ろすね、さすがだ。


「マーラー領だ、マーラー領だ」

「またマスを食べたいな」


 げ、マーラー鱒はモスラを食べて養殖してるからやめなさい。


 タラップを下げて船から下りる。

 小雨が降っているので領主館まで障壁回廊を作った。

 家令のお爺さんが小走りでやってきた。


「これはこれは聖女さま、いらっしゃいませ、お嬢様もお帰りなさいませ。おお、派閥の皆様、お子様たちも、いらっしゃいませ」

「今日は水着の発注に来たわ、アベラール家の者を呼んでちょうだい」

「はっ、ただいま呼んで参ります」


 家令さんの命令で若い人が走って街に向かった。

 アベラール家というのは水着の家なのかな。


「さあ、どうぞどうぞ、皆様の水着ですな、大急ぎで作らせて貰いますぞ」

「王都に運ぶ物があれば輸送しますよ」

「それはありがたい、輸送番に手配しておきますぞ、いつもありがとうございます、聖女さま」


 マーラー領には色々とお世話になっているからね。

 きっと秋のダンスパーティ前にもお世話になる事であろう。


 家令のお爺ちゃんに領主館のホールへと案内された。

 お茶とお菓子が出て、子供達が大喜びである。


「セバスチャン、これを見なさい、領袖が水着のデザインをしてくれたのよ」


 ヒルダさんが水着デザインをしたノートを家令さんに渡した。


「ほほう、これはなんともモダンな……、こ、この破廉恥な男性用の水着は」

「これはこのブロウライト卿が履くのよ」

「え、マジか」

「ふむむ、これはなかなかの難易度でございますな」

「ああ、下にもう一枚サポーターというパンツを履くのよ」

「ああ、なるほど、締め付けてまろびでないようにいたすのですな、なんとも先進的な」


 家令さんは唸りながらノートをめくってデザインを確認していた。


「トランクス型も洗練されたデザインですな。女性向けもすばらしゅうございます。マコトブランドで売り出してもかまいませんか」

「ええ、かまわないわ」

「これは王都でも大旋風を巻き起こすデザインだと思うのよ」

「確かに素晴らしい、子供向けもとてもよろしゅうございますな」


 うん、セバスチャン爺ちゃんも私のデザインが気に入ってくれたようだ。


 お針子さんたちがやってきて、採寸していなかった子供達のサイズを測りはじめた。

 私たちはドレスを作った時のデーターがあるので採寸は必要無いようだ。


「人数分、作られる感じですか」

「ああ、あと二人、トランクス型を、ロイヤルブルーと紺の奴で」

「ロイヤルブルーは……、王族以外使用禁止ですが、もしや」

「ええ、ケビン王子のよ、ロイド王子もロイヤルブルーにする?」

「んー、僕はそうだなあ、グレイブルーで」


 なにげにロイドちゃんはくっついて来ていたな。

 最近は自然になって、男子派閥員みたいな顔でいつも居るのだ。


「グレイブルーもロイヤル色ですな、かしこまりました、ロイド王子」


「おっと、キルギス用の海パンも作らなきゃ、あいつは何色だろ」

「けけけ、ブーメランパンツにしてやろうぜ」

「えー、かわいそうだよアダちゃん、キルギスの好きな色は、えんじ色かな」


 キルギスのくせに渋い色が好きだな。

 ダルシーとアンヌさんも採寸してもらって、二人ともパレオビキニである。

 あ、シルビアさんの採寸忘れた。

 連れてくれば良かったな。

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― 新着の感想 ―
[一言] シルビアさんは褌とか似合いそうな気がします(ド偏見 カーチス君はブーメランパンツ決定か。おいたわしやー。女衆がノリノリ過ぎであるからなあ。 聖女様がこの世界にアカンものをもたらしてしまった・…
[良い点] さらっと混じってるロイドちゃん。 [一言] 流石、幼い頃から英才メイド教育を受けたコリンヌさん。さらっとアンヌさんやダルシーちゃんに混ざってお仕事(?)してらっしゃる。 コリンヌさんも立派…
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