表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1225/1514

第1221話 ギンギツネ亭でランチをいただく

 ギンギツネ亭は一般的な宿屋で、一階が酒場になっている。

 お昼時だけランチをやっているようだ。


「今日のランチは何ですか?」

「今日は、クリームシチューとサラダになりますよ」


 それにパンが付くようだ。

 旅館だから、汁物が楽で良いんだろうね。

 鍋から盛り付けるだけだ。


「では、それを人数分ください」

「はい、かしこまりました」

「俺はワインをくれ」

「グラスでよろしゅうございますか」

「ああ、構わない」


 カーチス兄ちゃんはのんべだなあ。

 マメちゃんが影から出て来て私の膝の上に乗った。

 なでなで。

 めんこいねえ。

 隣のカロルも手を伸ばしてなでなでしている。


「今日はこれからガドラガか?」

「そう、教会の人員を運ばないと」

「教会がつぶれると人員の補充が大変だみょん」


 まあ、一昨日積み忘れていたんだけどね。

 これで、ガドラガ行きは来年まで勘弁して欲しいものだ。


 優しそうな宿のおばさんがランチを運んで来た。

 おお、なかなかの盛りだな。

 鳥のクリームシチューか。

 皆にランチが行き渡った。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 パクリ。

 うんうん、美味しいけど美味しすぎない、素朴な味がいいね。


「懐かしい感じの味ですわ」

「お婆ちゃんの家の味がしますわ」


 郷愁を誘う味なんだよね。


「ふむ、悪く無いね」

「庶民の料理という感じですな、リーズナブルで美味しい、量がある」

「なんだか、ほっとするね」


 王家主従も同じような感想を浮かべるのだな。


「せっかくアダベルの籠を改造したのに、雨がやんでしまったわね」

「まあ、障壁の分、ちょっと安全になったから良いよ、突然の夕立にも安心だしね」

「それもそうね」


 サラダも美味しい。

 全体的に凝ってないけど、丁寧なお料理だね。

 パンもまあまあ。


「コイシ、お前はまた塩をそんなに入れて」

「おいしいみょんよお、実家の味だみょん」


 コイシちゃんの実家の人達、早死にしないかな。

 ちょっと心配である。


 美味しくシチューを頂いて、パンもサラダも完食した。

 食後にはお茶が出た、はあ、満足満足。


 宿のおばさんに派閥の財布から支払った。

 やっぱりみんなで外食ランチは良いよね。


「すまないね、キンボールさん」

「今度埋め合わせはしよう」

「まあ、ロイド王子もいつも居るからね」

「ははは、僕は派閥員だよ」

「そうですわそうですわっ」


 ジュリエットさんはともかく、ロイド王子は普通に聖女派閥じゃないだろ。


「王子様が普通に混ざる派閥はハイソですねえっ」


 コリンヌさんが関心したように言った。

 そういやそうね。


 みんなで宿の外に出た。


「うん、なかなか美味かった」

「食べた事が無いのに普通に懐かしい感じがする味でしたわ」


 そうかそうか、ゆりゆり先輩は公爵令嬢だから食べた事はなさそうだな。


「これからどうしますの、領袖」

「ポーラちゃんの小間物屋を覗いて、それから学園に戻るよ」


 今日は土曜日だから、時間が沢山あるんだ。


 私が歩くと、皆がぞろぞろと付いて来た。

 ポーラちゃんの小間物屋は、ギンギツネ亭からわりと近い。


「いらっしゃいませ、あ、聖女さんっ、それとオルブライト様っ」

「また来たよ」

「こんにちは、ポーラちゃん、調子はどう?」

「問題ありませんよ、扇風機もこんなに生産しました」


 ポーラちゃんが自作の扇風機を見せてくれた。


「ふむ、なかなかの回路……」


 エルマー、プロの目で観察するのはやめてさしあげろ。

 小間物屋が珍しいのか、派閥員が中に入ってわいわいとかしましい。


「可愛い小箱ですわ、買いましょう」

「あら、お安いですわ、お得ですわね」


 まあ、庶民のお店だからな、値付けもリーズナブルである。

 カロルが扇風機を観察していた。


「それは何をする物かな、卓上ドライヤー?」

「扇風機ですよ、風を送風する物です」


 カロルはケビン王子に向けて扇風機を作動させた。


「む、冷たい風だね」

「ああ、なるほど、夏の暑いとき用かね」

「そうですよ、お一ついかがですか」

「面白いね、買おうか」


 ケビン王子が扇風機を二つ持つと、ジェラルドがお財布を出した。


 ポーラちゃんはお金を受け取り、扇風機を二つ渡した。


「これは楽しみだな」

「帰ってためしてみましょう」


 やっぱりジェラルドは慣れているのか、王子とか呼びかけないね。

 下町の小間物屋に王子さまが現れたりしたら大騒ぎだもんな。


「やあ、沢山買っていただいて、嬉しいですよ、聖女さま」

「良いのよ、ポーラちゃんが頑張った結果だからね」

「ありがとうございますっ」


 派閥員は色々と買い込んで小間物屋を後にした。


 向かいは魔物園のあった場所だけど、空き地になってひっそりしているな。


「そういえば、木工街で、聖女と怪人が戦っていたという目撃情報が入って来たが、本当の事か」

「ああ、まあ、本当」


 ジェラルドがジャックポッドの事を聞いてきた。


「何者だ?」

「なんというか、うーん」


 古代の魔導駆逐戦艦とか言うと王家は食いつきそうだからな。


「ちょっと教会がらみの悪党だよ」

「そうか、総本山系か、ぶっそうな事だ」


 まあ、教会の御座船を姉と呼ぶポンコツロボだから、広義の教会がらみだ。

 ウソはついてない。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 嘘はついていない(だからと云って完全に真実を語ったわけでもない
[気になる点] 多分最後の、大義の教会がらみ、は広義の間違いではないかと?
[良い点] ちりめん問屋の坊ちゃん方の市井探索スキル向上。 魔法学園の制服着てるし。 気さくな聖女さまのグループだし。 [一言] ビアンカさま未来予知案件・・・王家には言えないやね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ