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第1220話 土曜の朝は曇り空

 メイドさんたちが部屋を出て行く音で目を覚ました。


 ふわあ、今日は午後から教会の職員を連れてガドラガ行きか。

 なんかガドラガにばっか行ってるよなあ。


 ハシゴを下りてぱたぱたと用足しをしたり顔を洗ったり着替えたりした。

 応接セットに座って一休みすると、ダルシーがケトルを持って来てお茶を入れてくれる。

 いつもすまないね。


「今日は曇りだね、雨が上がった、梅雨も明けるかな」

「そうだな、うっとうしい季節も終わりか」


 立ち上がって校庭の方を見る。

 ちっ、まだ水たまりが残っていてランニングは出来そうもない。


「何舌打ちしてんだよっ」

「早くランニングを再開させたい」

「マコトは人を追い回すのが好きだな」

「生きがい」


 コリンナちゃんが渋い顔でお茶を飲んだ。

 ダルシーがマメちゃんに煮こごりをやって食べさせていた。


 マメちゃんが食べおわると同時ぐらいにお茶を飲み干したので、立ち上がり鞄を持って部屋を出た。

 マメちゃんは私の影の中に飛びこんだ。


 階段を下りてエレベーターホールへ。


「おはよー」

「おはようマコト、コリンナ」

「ぎゃあ、おはようございます、雨止みそうですねっ」

「おはようございますわ領袖」


 口々に朝の挨拶を交わす。


 食堂に入り、ポリッジを注文する。

 今日は甘々な気分ね。


 おしゃべりをしながら完食して、みんなで食堂を出る。

 寮をでると、空は曇っていて雨は降ってないね。


「このまま梅雨は明けるかな」

「どうかしらね、でも降っても、あと一雨二雨でしょうね」


 梅雨はうっとうしいので早く明けて欲しいね。


 障壁回廊を通って登校する。

 校舎の玄関に着いたが、今日は壁新聞の更新は無いようだね。


 皆と別れながらA組まで歩く。

 教室に入り、席に着いた。


「マメちゃんマメちゃん」


 カロルが私の影をつついてマメちゃんを呼び出してとろけるような笑顔でなでなでしていた。

 カロルはマメちゃん好きだねえ。


 アンソニー先生がやってきて朝のホームルームである。

 強盗事件は木工街で何かあって進展があったようだ、だそうだ。

 うん、ジャックポッドは三ヶ月は大丈夫だよ、先生。

 しかし、学園の生徒がエイダさんブローチを持っているって情報を流した奴が居るはずだよなあ。

 聖女候補だってのは伝わって無かったようだし、なんでだろうか。


 起立礼着席して朝のホームルームは終わった。

 予鈴が鳴って、午前の授業だ。

 数学、地理、国語、魔術理論の四コマ。

 すいすいと履修する。


 マメちゃんは途中で影潜行で外に出てお散歩をしていた。

 裏の森とか行って走り回っているな。


 終業の鐘が鳴り、帰りのホームルームである。

 来週は遠足なので、ちゃんと運動靴を買ったり、オヤツの準備などをしましょうとの事、ガドラガ迷宮実習の準備でもあるのかな。


 起立礼着席して放課後である。

 やあ、一週間が終わったぞ。

 というか、水曜日までガドラガだったので、今週は早い感じであった。


「おーう、今日は外に繰り出せるな」

「そうだね、どこか行こうか」


 久々の外食ランチが出来るね。


「うーん、どこか庶民的な所がいいねえ」

「そうですな、ケビン王子」


 王家主従も着いてくる気まんまんだな。


 とはいえ、大体の派閥員のお国自慢店舗は網羅したかな。

 カーチス兄ちゃんの所の肉の店と、メリッサさんの所のビーフシチューのお店が美味しかったな。


 まあ、みんなが集まってから考えようか。


 私たちは廊下を歩き、階段を下りて上級生と合流しながら玄関を目指した。


「それでは、蓬莱料理のお店にいきましょうか」

「蓬莱料理かあ」


 和食は食べたいが、ゆりゆり先輩の行くお店はお高いからなあ。


「や、薬膳料理はどうかしら」

「「「「……」」」」


 カロルの提案は沈黙にて却下である。

 ツバメ食堂は混んでるだろうしなあ。


「そうだ、ポーラちゃんに教えてもらった下町食堂はどうかな」

「ああ、あそこ美味しかったわね、家庭的で」

「ポーラちゃんと昨日会って、カロルに会いたがっていたわよ」

「わあ、会いたいわね、ご飯が済んだら行ってみましょうか」


 そういう事になったので、皆で歩き始める。

 ああ、水たまりはあるけど雨が降ってないのはいいね。

 気がせいせいするよ。


 ひよこ堂前をクリフ兄ちゃんに手を振って通り過ぎ、大神殿の向こうの道を左に折れて下町に入る。

 雨が降ってないので結構人が出てるな。


「ツバメ食堂は混んでいるのか」

「そうですな、結構な評判のようです」


 王家主従はツバメ食堂に行きたかったらしい。

 私もうな丼食べたいけどね。


 ツバメ食堂のある通りの裏の通りをずんずん進む。


「おお、ここか、なかなかの風格の宿屋だな」


 カーチス兄ちゃんがギンギツネ亭を見てそう言った。


「なかなか庶民的だね、気に入ったよ」

「掃除も行き届いておりますし、良い店のようですな」


 私たちがぞろぞろと入ると、おばちゃんが出迎えてくれた。


「あら、聖女さま、いらっしゃい」

「友達と一緒に押し掛けてきたよ、席は空いているかしら」

「ええ、どうぞどうぞ」


 わりと空いていたので、席に問題は無かったね。




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― 新着の感想 ―
[一言] 障壁で屋根を作りそして廊下も作れば立派なアーケードの完成である。これなら雨の日でも雨上がりでもすぐにランニングが出来るな!
[良い点] コリンナちゃん「マコトは人を追い回すのが好きだな」 マコトちゃん「生きがい」 仲良し(=´∀`)人(´∀`=) [一言] 久々のお外でランチですね。
[気になる点] エレベーターホール前での会話のところですが、 「ぎゃあ、おはようございます、雨止みそうですねっ」 の発言者は誰なんでしょうか? コリン"ヌ"かなとは思っているのですが、頭の(ぎゃあ)が…
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