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第1219話 学園に戻って晩餐をいただく

 アダベルは飛行を終えて大神殿に着陸した。

 カロルとコリンヌさんの顔が少々青くなっていたのでヒールを掛けた。


「わ、ありがとうございます」

「ちょっと酔ったわね」

「子供は酔わないのかしら」

『あんまり酔わないな、元気であるからであろう』

「しゃべり方変わるんですね、アダベルさま」

『竜の姿では古語が喋りやすい』


 口の構造の関係なんだろうね。


 私たちが籠から下りると、アダベルはドロンと煙を出して変身して籠の下からのそのそと出て来た。

 再び変身して、籠をテントに押し込んだ。

 なんという無精か。


「行けそう、マコ姉ちゃん」

「行けそうね、嵐の時以外は行けると思うわ」

「「「「わーい、ばんざーいばんざーい」」」」

「それじゃ、帰るわ、アダベルはどうするの」

「もうこんな時間か、学園から帰るよ」

「じゃあ、一緒に行きましょう」


 私たちは子供達に別れを告げて飛空艇に乗り込んだ。

 メイン操縦室に入り、艇長席によじ登る。

 ヘビ三郎とマメちゃんが袖机で仲良く並んでいる。

 お友達になったかな。


「蒼穹の覇者号、発進する……」

【蒼穹の覇者号、離陸シーケンスに入ります】


 飛空艇はふわっと離陸して、ビアンカ邸基地にふわっと下りた。

 バックで格納庫を進んで行き、着陸マークの位置にきっちりと付けた。


【お疲れ様でした】

「たのしかった……」


 飛空艇の操縦って意外に楽しいのよね。

 大型の物を動かしてるなって感じで。


 モニターの時計を見ると、もう夕方で晩餐時間が近いね。

 私たちは船を下りる。

 後部ハッチが開いてヒューイが出て来た。


《じゃあ、厩舎に戻る》

「はい、また明日ねヒューイ」

《うん》


 ヒューイは発進路を駆けて行き、途中で羽を広げて飛んだ。


 コリンヌカルテットも固まった。


「この子達も厩舎に戻しに行きます」

「はい」


 それぞれの上に障壁の傘を付けてあげた。

 そんなに大きく無いから待合室口の階段も上がれるだろう。


「僕にも……」

「わたしもーっ」

「エルマーとアダベルもか」


 エルマーの上に、アダベルの上にも障壁傘を出現させる。


 みんなで地下通路を歩いて、待合室前まで行った。


「それじゃ、また……」

「それじゃ、晩餐で~~っ」

「んじゃまたなーっ」

「おやすみエルマー、アダベル」

「助かったわ、エルマー。お休みアダベル」

「さあ、行きましょうエルマーさまっ、アダベルさま」


 エルマーとコリンヌカルテット、そしてアダベルが待合室に入って行った。


 カロルと二人きりになって地下通路を歩く。


「コリンヌさんは明るくて楽しい人ね、ライイチローもモフモフしているし」

「名前がコリンナちゃんと紛らわしい以外は良い人ね」


 なし崩し的に聖女派閥の一員として定着しそうだけどなあ。

 まあ、ベロナ隊の一員として休日は忙しいだろうからいいけどね。


 女子寮地下に入り、エレベーターで一階に。

 晩餐まではちょっと時間があったので、ロビーでカロルとおしゃべりをして時間を潰す。


 命令さんとロデムが通りがかった。


「あら、なにしてますの」

「派閥員待ちよ、ロデムとの接続はどう?」

「ええ、良い感じですわ、首輪をしてた時よりもロデムちゃんが身近に感じられて、気持ちもやりとりできますわ。古式テイムは素敵ですわね」


 命令さんはほがらかに笑った。


「では失礼いたしますわ」


 目をすがめて魔力を見てみると意外に太いパスが命令さんとロデムにつながっていた。

 うまくやっているようね。

 うんうん。


「ちょっと、ケリーさん、当たりが柔らかくなったわね」

「愛する者が出来ると成長するんでしょう」


 良い事じゃ。


 エレベーターホールに派閥員が集まり始めた。

 さて、私たちも行こうか。

 二人で立ち上がり、みんなと合流した。

 コリンヌさんも帰って来た。


 おっと、リモートで障壁傘を解除しよう。

 えいやっと。


「お、消えました、これ、何とかして自力では消せないんですか」

「トンカチで殴ると砕けて消えるわよ」


 大体硬質ガラスぐらいの硬度だからね。


「それは大変ですねっ」


 みんなが揃ったので食堂に入った。


「クララ、今日のお献立は?」

「ソーセージの盛り合わせとコンソメスープ、ブロッコリーサラダと黒パンよ」

「おお」


 ソーセージか、色違いのが三本と付け合わせにジャガイモと人参だな。

 美味しそう。

 私はトレイに料理のお皿を載せていく。

 最後にケトルから冷めたお茶をカップに注いでテーブルに持っていった。


 というか、なんかお酒のつまみみたいな感じだなあ。

 やっぱりジーン皇国は偽ドイツだから、ソーセージとビールで一杯やるんだろうか。

 良いなあ。


 全員が席に着いたので、お食事の挨拶である。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 パクリ。

 おお、じゅわっと肉汁が出る良いソーセージだなあ。

 美味しい。

 赤いのはちょっと辛いね。

 でも美味しい。


「美味しいね、カロル」

「うん、あ、辛子も付いてる」


 おお、ソーセージに隠れてお皿の端に粒入りマスタードが付いていた。

 付けて食べると風味が変わって美味しい。


 うん、ブロッコリーサラダも美味しいな。

 ホワイトソースが掛かっている。


 コンソメも味が深くて美味しい。


 毎日美味しい物をありがとう、イルダさん。

 私はキッチンの方に向けて頭を下げた。

 幸せだなあ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヴァイスブルスト(ドイツの白いソーセージ)は、バイエルン州以外で食べられる事は、あんまり無い。また、とても傷みやすく、早朝から準備してもなお「正午の鐘を聞かない」と言われるほどに午前中に食さ…
[良い点] 『コリンヌさんは明るくて楽しい人ね』 ポジティブ(*´꒳`*) 『愛する者が出来ると成長する』 ええ話や(*´꒳`*)
[良い点] >幸せだなぁ この何気ない幸せなひとときも、下手すりゃあの頭のCPUがイカれてるジャック野郎に破壊されちゃう訳ですからね…頑張れマコト。
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