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第1215話 ジャックポッドは頭がおかしい

 かっこ良く片手を上げて魔導駆逐戦艦を呼んだかと思ったが、来なかった。

 ジャックポッドは不思議そうに自分の手を見た。


「そそそ、そうだ、海の底だ、修理中だ。修理の部品を買うために金を強奪していたのだ」

「お前、馬鹿だろう!!」

「ちちち、ちがうちがうぞ、誤解だ、わ、忘れていただけだ」

「エイダさんっ!! 魔導機関砲!!」

【了解です】


 中空にホバリングした蒼穹の覇者号はジャックポッドに向けて雨あられと魔導機関銃の弾を降らせた。


「ぎぎぎぎぎぎっ!!」


 なんて堅さだ、魔力弾を装甲で跳ね返してやがる。

 こうなったら!

 私は収納袋から聖剣フロッティを出し、抜いた。

 リリリリリと作動音がして、青白い光の粒が走る。


 カマ吉と共にジャックポッドに切りつける。


 ジャッ!


 よし、聖剣なら傷つける事が出来る。


「ふふふ、ふざけるなっ」


 ビーム剣は障壁を張って受け止め、踏み込み踏み込み踏み込む。

 いつの間にかダルシーが現れて奴の攻撃をさばいていた。


「ぬっ、ぬっ? 重力震? き、奇っ怪!」

「……」


 ダルシーはジャックポッドのビーム剣をするするとかわし、軽いパンチを打ち込んだ。


「き、きか……」


 ダルシーは黙って軽くて早いパンチを何発もジャックポッドに叩き込む。


「重力!?」


 しめた、目に見えてジャックポッドの動きが鈍る。


 私は回り込んでジャックポッドの後ろを取った。


「お前の負けだあっ!!」


 私はジャックポッドの額に手を置いた。

 勝った!


「お前の名前はポッドだっ!!」

「そ、そうだが?」


 あっ!!


 蹴りが来て障壁を砕かれ、私のお腹に直撃した。

 宙に吹っ飛ばされて、カマ吉が受け止めてくれた。

 ぐああ、痛えっ!

 内臓が破裂したっぽい。


『ハイヒール』


 手を当て治療魔法をかける。


 パスが繋がらない。

 ちっくしょう、ロボにはテイムが効かないのか!


「まままま、またくる、戦艦の修理が済んだら、くる、さ、三ヶ月ぐらい、姉さんまっていてくれくれ」

「ふざけんなっ!! ここで壊れろ」


 シャーンシャーン!!


 フロッティの光斬撃を二つ飛ばす。

 ジャックポッドは器用にビーム剣で跳ね返し、ジャンプして木工所の屋根に乗った。

 ダルシーの重拳のせいで膨れ上がったジャックポッドの重量で木工所の屋根がたわむ。

 ビームがダルシーの足下を焼き、ジャンプのタイミングを潰した。


「エイダさん、マジックミサイル準備」

【ジャマーを感知、照準が定まりません】


 にゃろー、さすがは魔導技術の塊、ミサイル無効か。


「マコト様、重拳の効果時間が切れます!」


 ガチャンガチャンとジャックポッドの両足の蓋が開き、ゴオオオという轟音と共に奴は宙に舞い上がる。


「ま、またまたまたあおうあおう」


 ジャックポッドは轟音と共に空に突き刺さるように飛んでいった。


 くそう、逃がしたか。


「ぢっぢっ」

「カマ吉大丈夫か」


 ビーム砲に撃たれた胸は完治したようだね。


「ダルシーも怪我は無い?」

「なんでもありません」


 路上に蒼穹の覇者号が降りてきた。


「エイダさん、何あれ?」

【……、私は過去の記憶が無いのです】


 解らないかあ。


 ドタンバタンと荒事をしていたのでびびって隠れていた街の人が出て来て大騒ぎになった。


「よし、ずらかろう、エイダさんハッチを開けて」

【了解です】


 なんだろうな、あのポンコツロボは。

 先史魔導文明時代の問題を現代に持ち込むんじゃ無いよ。

 『結社』も『連合』ももう無いから。

 しかし、なんで転生者ってばれたんだ?


 私はカマ吉と共にタラップを駆け上がりメイン操縦室に飛びこんだ。

 艇長席によじ登り、船長帽をかぶる。

 マメちゃんが出て来て袖机に乗って、丸くなって寝た。

 おねむだったのね。


「学園に戻ります」

【了解しました】


 ファンファンと音を立てて蒼穹の覇者号は垂直上昇をした。


 しかし、惜しかった、ロボにテイムが効かないとは。

 魔力が無いのか、それとも種類が違うのかな。


 私はビアンカ邸基地に蒼穹の覇者号を格納して外に出た。

 おっと、カマ吉を大神殿に戻すのを忘れていた。

 まあいいか、子供達を迎えに行った時に一緒にかえそう。


 カマ吉と一緒に螺旋階段を上ってビアンカルームへと入る。


 うわ、男くせえっ。

 エバンズが住んでるから、くせえな。


 エバンズがソファーから頭だけ起こして、何だという顔をした。


「故障か?」

「いや、馬鹿ビアンカ様に話を聞きに来た」

「そうか」


 興味を失ったエバンズは毛布にくるまった。

 お前は掃除したり、換気したりしろ。

 やっぱ地下はヤベえな。


 格納庫に通じるドアをあけっぱにしておくと匂いは薄まった。

 私は祭壇に置いてある水晶玉に手を置いた。

 魔力を吸い上げられる感触がする。


『やあ、マコト、機嫌が悪いね』

「わりいよ、当たり前だろ、あれはなんだ?」

『いっひひひ、蒼穹の覇者号を作り自立型魔導頭脳エイダを積んだ理由の一つだ』


 一つ? まだあんのか?


『魔導駆逐戦艦ジャックポッドを放っておくと三年後にあの船は復活して、この大陸の半分を焼く。アップルトンもジーンも丸焦げで、アライドとビタリが切り取り戦争を始める。壊れた魔導駆逐戦艦の残骸を廻って大戦争だ』


 げええええっ。


『というわけで、三ヶ月後に浮上する魔導駆逐戦艦ジャックポッドを強襲して破壊してくれたまえよ。なあに、本来の三年後よりは不完全な復活だから、蒼穹の覇者号なら何とかなる』


 お、後ろにエバンズが立っている。


「ビアンカ、魔導駆逐戦艦の残骸から飛空艇を作っても良いか?」

『そのままは駄目だ、大型魔石エンジンを三つと、阿呆な魔導頭脳を使っての新しい飛空艇なら作っていい』

「魔導頭脳船……」


 エバンズが何とも言えない笑顔を浮かべた。

 なんという飛空艇馬鹿なんだ、こいつは。


 その魔導頭脳は、あのイカレポンチのジャックポッドなんだろうなあ。

 あれ、直るのか?

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― 新着の感想 ―
[一言] しばらく平穏な日常が続くなーと思っていたらとんでもない厄ネタがエントリー! まだ一年生じゃないですかー!ヤダー! 魔導頭脳はさすがに直せないんじゃないかな。ここはどうにか思考誘導して、基地外…
[良い点] ジャックポッドさんミイラ男みたいな包帯巻きで目玉(カメラ)もぐるぐる目の石川賢キャラデザ版を連想しちゃうなあ 電脳機械化兵だから見た目は若作りでもいいけど、 山路和弘さんとか秋元羊介さん…
[一言] ガチロボ!ロボきた! しかもビアンカ様のお墨付きで新造飛空挺!
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