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第1212話 久々のホルボス山

 大神殿を離陸してツイッとホルボス山へむけて飛ぶ。


「やっぱり飛空艇はラクチン」

「雨具を付けて飛ぼうとしたけど、駄目だった、寒い」


 なんという無謀な事を。

 アダベルの籠は気密性無いからびしょ濡れになって風邪を引くぞ。


「無茶しちゃだめよ」

「みんなで泣いてアダちゃんに下ろして貰った」

「あの時は焦った」


 ひい、おっかないことするなあ。

 それだけホルボス山に行きたかったんだろうなあ。

 雨でも濡れない籠を作って貰うべきかな。

 でも、この世界プラスティックが無いからなあ。

 鉄の籠というのも仰々しいし。


 などと考えていたら、ホルボス村上空である。

 雨降りだから峡谷からホルボス山基地に入ろうかな。

 操舵輪を回して峡谷へのルートを取る。


「邸宅に行くのか」

「そう、雨降りだからね」


 高度を落とし、ホルボス山基地へ微速で移動する。

 ゲートが開いて着陸位置に船を下ろした。


 うん、さすがに学者さんはいなくなったな。

 ハッチを開けると子供達がギャーと言って走っていった。


 さて、私も下りて、トール王子とティルダ王女に挨拶してくるかな。


 タラップを下りると早くも誰も居ない。

 子供は素早いなあ。


 後部貨物室のドアが開いてヒューイが姿を現した。


《ちょっと飛んでくる》

「いってらっしゃい」


 ヒューイはダカダカっと走って着陸棚を蹴って空に飛びだした。

 雨降ってるのになあ、気持ちが良いのか。


 マメちゃんが出て来たので制服の胸に入れて歩く。

 あったかいねえ。


 洞窟を抜けて地下礼拝堂に入る。

 子供達はどこにいったかな。

 もうエントランスか?


 私は階段を上がってエントランスホールまで上がった。


「うわああ、アダちゃ~~ん!!」

「来れなくてごめんよう~~!!」

「来てくれてうれし~~、みんなも~~!!」


 子供達が抱き合ってお団子になってわあわあ泣いていた。

 感極まったんだなあ。


 子供達団子を避けてダイニングに入る。


「あら、マコトさま、お帰りなさいませ」


 ジェシーさんがにこやかに迎えてくれた。


「絵の額縁は無いかしら」

「ございますわ、ちょっとお待ち下さいね」


 あるのか。

 ジェシーさんが色々な大きさの額縁を持って来てくれた。

 おお、良い物ばっかりだな。

 さすがはビアンカさま。


 ダルシーの絵は規格サイズのキャンバスなので丁度良い物があった。

 絵をはめ込んで、ダイニングの壁に飾る。


「まあ、素敵な絵ですわね、良かったわねダルシー」

「とても嬉しいです」


 ダルシーがいつの間にか現れて、絵を見て目をうるうるさせていた。


「うおおおお、ダルシーの絵!! かっこいいっ!!」

「ぎゃああ、素敵~~!!」

「格好いいねえ」

「なんて素敵な絵なんだ」

「次は、アダベルと、トール王子とティルダ王女が村の三人と釣りをしている絵を描くわ、でっかいの」

「本当か!!」

「私とお兄ちゃんとアダちゃんと、村の三人の絵!」

「釣り!! フナかな!! 嬉しいっ!!」

「えー、私たちはマコねえちゃんっ!」

「アダちゃんだけずるーいっ」

「孤児院のみんなはまた別に描くわよ」

「「「「わーいわーい」」」」


 ああ、絵を描くと喜ばれるなあ。

 卒業までにここの邸宅の壁を私の絵で一杯にしよう、そうしよう。


 子供達はダイニングで遊び始めた。

 従魔を一緒に可愛がったり、お絵かきをしたり、絵本を読んだりしていた。


「んじゃ、また夕方に迎えにくるから」

「そうか、マコト、今日はありがとう」

「ありがとう、聖女さまっ」

「凄くうれしいですっ」

「一週間も待たせてしまってごめんね」

「いいえっ」

「雨が悪いので、聖女さまは悪く無いですっ」


 トール王子もティルダ王女も良い子だなあ。


 飛空艇に戻ろうとエントランスに出ると、リーディア団長がいた。


「御領主さま、お帰りなさいませ」

「リーディアさん、一週間も留守にしてごめんね」

「ガドラガ大玄洞はどうでしたか? なにかトラブルがあったとも聞きましたが」

「総本山がらみで、売僧が居たので退治してたよ、あとは大体楽しかったかな」

「教会組織も色々あるのですね。ホルボス山は静かな物でした。アダベルさまと孤児院の子供が来ないので、トール王子とティルダ王女が寂しそうにしてましたが、村の子供達が毎日……」


 ドアがガチャリと空いて、ミノを着た村の三馬鹿が顔を出した。


「おおっ、聖女さま、お帰りなさい、ということは、アダベル親分来た?」

「ええ、アダベルも、孤児院の子達も来たわよ」

「それは嬉しいなあ、久しぶりだよ」

「トール王子もティルダ王女も寂しがっていたからなあ」

「はやく、ダイニングに入って遊びなさいよ」

「そうするそうする」

「ありがとう、聖女さん」


 村の三馬鹿はダイニングに入って行って大歓声を上げられた。

 私とリーディア団長は微笑んで肩をすくめた。


「じゃあ、一度学園に戻るわ、また夕方に迎えにきますから」

「はい、いってらっしゃいませ、御領主さま」


 私はエントランスから下り階段を使って地下礼拝堂に入った。

 本当は硫黄谷も見に行きたいけど、まあまたにしよう。

 一度学園に戻ろう。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 1043話で絵が完成したら飛空艇基地に見せに行く約束してたと思うけど色々あり過ぎて忘れちゃったのかな
[良い点] 雨でも濡れないかあ……いっそのこと全体を何か雨が避ける魔法道具的なの開発できないかなあ。アダベルの属性相性も水でいいし
[一言] 箱でも雨に濡れながら飛んだらたぶん箱自体が冷たくなりそう、中は真っ暗だし。やるならマコトの障壁で籠を囲む感じかな?
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