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第1210話 金曜日の朝が来た

 うーん、やっぱりベルモントは生きていたか。

 うん。

 ベッドの中で目を開く。


 …………。

 ……。


 なんか凄く大事な事を知った気がするが、起き上がった瞬間に揮発した。

 ベルモントの生存の確信以外消えたな。

 予知とか感応系の夢は、覚えていたり忘れたりするのが難だな。

 焦燥感だけが熾火のように残っているが、なんであるかが解らない。


 タイムリミットは冬までだなあ。

 春になるとヤバイと心の中の誰かが叫んでいる。


 今動けば先に迎撃できるかもしれないが、あまりに漠然としているのですり抜けもされそう。

 冬ぐらいにならないと、ベルモントの計画が形になってないので感知できないかもしれない。


 まあいいや、冬休みに総本山に行って大掃除だな。

 人工聖女も気になるし。


 シャッと音を立ててベッドのカーテンを開ける。

 外は今日も雨模様だけど、雨脚が弱めかな。

 もうすぐ梅雨も明けるかな。

 晴れたらコリンナ二等兵を追い回さないと。


「おはようマコト」

「おはようコリンナちゃん」

《おはようございますご主人様、おめざめですか~っ》

(お、おはよう、コリンヌさん)


 念話おはようは辛いぜ。

 隣の隣の部屋だから感知されやすいのかもしれぬ。


 ぱたぱたと用をたしたり着替えたりしていると、ダルシーが現れてお茶を入れてくれた。

 応接セットでコリンナちゃんと向かい合って飲む。


「今日も特に予定は無しか」

「ホルボス山にアダベルと孤児達を運搬するぐらいね」

「ああ、しばらく行けてないから、トール王子もティルダ王女も寂しがっているかもな」


 週末は教会関係者をガドラガに送っていかねば。

 来週の遠足に供えてオヤツを買い込まないと。


 マメちゃんが起きてきて私の足にじゃれついた。

 ダルシーが煮こごりを上げてマメちゃんがワシワシ食べている。

 かわええなあ。

 ほっこり。


 マメちゃんが食べおわって影にひっこんだので、部屋を出て施錠する。


「おはようございます、ご主人さま、『ナ』」

「そんな挨拶があるか、『ヌ』め」

「なによ、私の方が先輩なんですよ、『ナ』は敬いなさいっ」


 喧嘩すんなあ。


「コリンヌさん、制服ね、出て来たの?」

「実家の箪笥にしまわれてました。お墓に入れられなくて良かったです」

「お墓、あるんだ」

「生前葬だな」


 うん、コリンヌさんの制服姿は新鮮で良く似合っているな。

 三人で階段を下りて、エレベーターホールに行く。

 もう、派閥員は大体揃っていた。


「あら、コリンヌさまも一緒なんだ」

「隣の隣の部屋だったからね、カロル」

「ご主人様の近くで嬉しいですっ、おはようございます、オルブライトさまっ」


 さすがはメイドの家系、上流貴族に対しては年下でもきっちり敬語だな。

 コリンナちゃんとは一階層ぐらいしか違わないので気安いのだろう。


 みんなで食堂に入り、朝ご飯を取る。

 今日は塩ポリッジかな、副食はハムエッグ~~。


 パクパク食べて、登校である。

 女子寮の玄関を出ると、空はわりと明るく雨脚も弱めだね。


「そろそろ梅雨もあがるかしらね」

「雨が上がったら夏だ、辛い」

「夏休みも近いね、色々計画しないと」


 仲良しさんたちとおしゃべりしながら登校は楽しい。

 障壁回廊をくぐれば傘もいらないからね。


 校舎に入り、階段を上がってA組へと入る。

 よし、今日は王家主従は寄ってこないな。

 静かでなによりだ。


 授業の準備をしていると、アンソニー先生が入って来た。

 起立礼着席してホームルーム。

 最近王都下町に学園生を狙った強盗が出るので注意してくださいとのこと。

 貴族ばっかりの学園生を獲物にするとは剛毅な強盗だなあ。

 一昨日から三件の事件が起こっているらしい。

 なんだろうね。


 ホームルームが終わったので、午前中の授業だ。

 歴史、音楽、倫理、武術の四コマ。

 歴史は得意分野なので楽しい。

 そろそろ古代に入る所かな。


 武術はコイシちゃんと組んで、蓬莱小太刀の動きを教えてもらったりした。

 蓬莱武術はやっぱり洗練されていて良いよなあ。


「マコトは武術大会に出るのだろう、早い内に当たるといいな」


 カトレアさんが寄ってきて、そんな事を言う。


「出ないけど」

「「ええ~~」みょん」

「一年生女子にしては、結構強いぞ、小太刀で出ろ小太刀で」

「そうだみょん、マコトしゃんとガチで試合したいみょんなあ」

「めんどくさい、エルザさんに勝てそうもないし」

「本妻さまはなあ~~」

「格別みょんな、女子の部の優勝候補みょん」


 本妻様よばわりすんな。


「カトレアさんはエストック、コイシちゃんは蓬莱刀?」

「そうだ、私はエストックを極める!」

「わっしも刀みょんな」


 二人とも強いから良い所まで行きそうだね。


「なんだ、キンボールは出ないのか、つまらないな」

「バッテン先生は体鍛えてますね、何かするんですか」

「ふふふ、決勝前にリンダ・クレイブルとのエキシビジョンマッチを組んでもらえたんだ、腕が鳴るよ」


 バッテン先生は膝が治ってからぎっちりと練習してたからねえ。

 剣豪のリンダさんにどれくらい食い下がれるかな。

 それは楽しみだな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 箪笥にしまわれていた制服。 在りし日の思い出が現実になって帰ってきてよかったね、お父様お母さま。 なお頭は軽くなるものとする。 [一言] おお・・・ナムアミダブツ・・・肝心なことを忘れてし…
[良い点] 生前葬(-人-) メメントモリですね。 長寿というか実質不老不死に近くなってしまいましたが。 [一言] マコトちゃんの予知夢。 エルマールートでエルマーの婚約者プリシラ嬢が魔界から高位…
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