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第1204話 ガドラガとんぼ帰り

 蒼穹の覇者号は役人十人と王家主従を積み込み垂直に離陸した。

 雨のなかガドラガ方面に回頭してから速度をあげ、高度をあげていく。


 雨雲を突き抜けると一気に青空が広がった。

 やっぱ太陽が見えるとテンションが上がるね。


 船内ディスプレイに、ヒューイがラウンジにのっしのっしと入っていって隅に座り込んだ姿が映っていた。

 ケビン王子が近づいてうっとりと鱗を撫でていた。

 まあ、高空は寒いからね。


 蒼穹の覇者号はまっすぐにガドラガ大玄洞を目指して飛行を続ける。


「しかし、ガドラガと王都を何回往復した事か」

「飛空艇があると便利に使ってしまうわよね」


 陸路を行けば最短一週間だからな。

 片道二時間で行けるとなると便利に使うよなあ。


 ダルシーがお茶を入れて持って来てくれた。

 ラウンジではアンヌさんがお茶を配っているのがモニターに映っている。

 お茶を飲む、うん、美味しいね。

 クッキーをマメちゃんと一緒に食べる。

 マルコアス修道院クッキーはバターが贅沢に使ってあるので美味しいね。


「エルマーはコリンヌさんに良く話しかけているわね」

「うん……、性格がプリシラに似ているから……」


 ああ、プリシラ嬢もうるさい系だったっけ。

 それであしらいが慣れているのね。

 来年はうるさくなりそうだなあ。

 アダベルは入学できるのかね?

 そんなに急いで高等生にならなくても良いと思うんだが。


 蒼穹の覇者号は高空を順調に進み、ガドラガ大玄洞近くの空域まで来た。

 ガドラガ管制塔に着陸の意思を伝えると、前の場所に着陸するように言われた。


「エルマー、あそこの障壁回廊の右側に着けて」

「了解……」


 カメラ映像で着陸位置を指定した。

 お、障壁の所に人が居るな、リンダさんかな。


 エルマーは器用にふわりと蒼穹の覇者号を着陸させた。


「お知らせします、こちらは艇長のマコト・キンボールです。当船は無事にガドラガ駐機場に着陸しました、お客様は押し合わずお降り下さい」


 ラウンジから王家主従と役人さんが下りてくる映像が映った。

 ウイーンとハッチが開く音がする。


 私がタラップの所に行くと下でリンダさんが笑顔で手を振っていた。


「待っててくれたんですね」

「ええ、そろそろだと思いましてね」


 リンダさん、ハナさん、ローランさんと何人かの聖騎士さんたちが居た。


「ハナさんも帰るんですね」

「はい、ホルボスの邸宅に戻りますよ」

「ありがとうございました」

「いえいえ」


 ハナさんが尽力してくれなければ、ガドラガ教会は書類の山に飲まれていただろう。

 文官さんは大事だ。


 王家主従と役人さんが十人、タラップを下りてきた。


「教会側はもう帰りの人員が揃っているのだね、役所の交代要員を呼んでくるから少しまっていてくれ」

「早くな、ジェラルド」

「わかった、みな、ガドラガの町役場に急ぐぞ」


 王家主従と役人さんたちは障壁回廊を小走りで行った。


「帰りの役人が揃うまで、みんなはラウンジでお茶でも飲んでいてよ」

「解りました、みな搭乗するぞ」


 どやどやと教会組がタラップを上がり蒼穹の覇者号に乗り込んで行った。


 やあ、飛空艇が一隻しか無い駐機場は寂しいものだなあ。

 私も機内で待ってるかな。

 ガドラガは山の上だから風が寒い。


 と、思ったら障壁回廊を人がやってきた。


「おーい、聖女さん~~」

「なんだ、五本指にジャンか、こんちは」

「あはは、ご挨拶だなあ」


 五本指とジャンであった、蒼穹の覇者号の着陸を見つけて挨拶に来たっぽい。


「あんたたちはしばらくガドラガに居るの?」

「ああ、なんだか気に入ったしな」

「迷宮はええからのう」

「あと一個ラーニングしないといけないのよ」

「儲かるし、しばらくいるぜ」

「キルギスによろしく言っといてくれよ」


 クヌートの影からペスとジョンとポチ、それからポーポーちゃんが出て来たので、なでくりまわして可愛がった。


「来年、聖女さんが来るまでには街を正常化させとくからさ」

「ジャンもがんばりなさいよね」

「ああ、もちろんだ」

「峡谷に橋を架けて馬車が通れるようにするから、そうすれば大分物価は下がると思うよ」

「ありがてえ、教会がやってくれるのか」

「ええ、街に迷惑を掛けたからお詫びの印ね」


 教皇様に話を通しておかないとね。

 アシル親方の組はしばらくホルボス教会につきっきりだろうから、別の組が空いて無いかな。

 かなり大きな橋で大工事になるだろうけれども、なんとか聖女予算とかで架けて欲しい物だ。


「それじゃ、またね、何かあったら王都に知らせて」

「解った、聖女さんもお元気で」


 ジャンと別れの挨拶をしていると、縄で縛られて兵隊さんに引っ張られている役人らしいおじさんたちと王家主従が戻ってきた。


「お待たせしたね、この者達を入れる場所はあるかな?」

「まあ、三等船室二つに分かれて乗って貰いましょう」


 いくら何でも貨物室は可哀想だしね。


「では、頼むよ、キンボール」

「わかった、ラウンジでくつろいでいなさいよ」


 さて、とっとと王都に戻ろうではないか。


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― 新着の感想 ―
[一言] なんならダメ役人共は吊るして道中引き回しでもいいと思うが。マコトさんは優しいね。 とりまハイキングが楽しみですね。さすがにここに襲撃かけてくるようないかれポンチはいないだろうからね。今度こそ…
[良い点] エルマーくんの隠れたスキル!! 対プリシラ嬢のあしらいがコリンヌさんにも!! ∑(゜Д゜) エルマーくん、基本高速思考で頭いいから。 [一言] マコトちゃん、教皇さまに頼まれてた教会の交…
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