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第1201話 日常に戻るのはいささか大変

 んお。

 あ、なんだか肩が痛いぞ。

 ここの所蒼穹の覇者号のすやすや寝具で寝てたから寝違えたみたいだ。

 いたた。


 うーん、朝か。

 どうやら、今日も雨のようで雨音がびちゃびちゃ鳴っている。

 ビアンカさまが選んだ超高級寝具に慣れてはいかんなあ。


 痛い部分に軽くヒールを当ててベッドのカーテンを開ける。

 雨降ってるなあ。

 晴れていれば久しぶりにコリンナ二等兵を追い回していた所なんだが。

 残念である。


「おはようマコト」

「おはようコリンナちゃん、あいにくの雨だねえ」

「うん、助かった」

「私が居ない間、ちゃんとランニングしてたの?」

「え、ずっと雨だったから、弓の修行は、その、たまにしたよ」


 弓も一回か二回だな、これは。


「晴れたら一緒にランニングしようね」

「お、おう、もちろん……」


 嫌そうだなあ。


 うろうろ用足しをして、応接セットに座った。

 ダルシーがケトルを持って来てお茶を入れてくれた。


「マコトは今週の予定は?」

「特にないなあ、武術大会も別に興味無いしなあ」

「出ないのか」

「そんなに武術やってないからなあ、魔法禁止でしょ」

「エルマーは出るそうだよ、三節棍で」

「棒か」


 強いのかねえ?

 練習してたらしいが。


「下馬評だと、マイケル・ピッカリンが優勝候補だが、我が派閥のオスカー先輩も評判が良いな」

「魔剣ありだっけか?」

「木剣だな、魔剣だと有利不利が出過ぎる。聖剣ホウズを持つカーチスさまが有利になるしな」


 まあ、魔剣ありなら子狐丸で出て対戦相手を動けなくして勝つけどな。

 純粋な武術だと私はほどほどだし。


「全員参加じゃないんでしょ?」

「希望者だけだよ、女子の下馬評だとエルザさんかな」

「ヒルダさんは出ないのか」

「糸は武術に入ってないからなあ」


 まあ、学園一腕っ節が強い奴を決めるのは面白いね。

 ゲームでは一年に一回の武術大会で、優勝するとカーチス兄ちゃんとかの好感度が上がったものだった。

 ちなみにエルマーの好感度上げは文化祭だな。

 魔術部の出し物を一緒に作ると上がる。


 今の所好感度を上げたいのはカロルだけだから、武術大会も文化祭もなんら興味が無い。

 適当にやって楽しめれば良いね。


 お茶を飲み終わったので、席を立ち、ダルシーの片付けを待ってから205号室を施錠した。

 鞄を持って階段を下りる。

 ひさびさの登校だな。


 エレベーターホールに行くと派閥のみんなが待っていた。

 おはようおはようと挨拶を交わす。

 メイド服のコリンヌさんもいるね。


 みんなで食堂になだれ込んでポリッジを頼む。

 今日の気分はナッツポリッジ、カロルは塩ポリッジ、コリンナちゃんは蜂蜜ポリッジであった。


 あー、ポリッジの味も染み入るように美味い。

 ポリポリ。


 なんやかんや喋った後にごちそうさまで登校する。

 私が作った障壁回廊は健在で雨埃で汚れて姿を見せているね。

 雨に濡れずに登校出来るのはありがたい。


 校舎の玄関に入ると奧の壁に壁新聞が貼ってあった。

 なになに。


『ガドラガ実習終了、聖女候補ガドラガ教会を攻め落とす!』


 と、扇情的な記事が載っていた。

 読み進めていると結構ちゃんと取材してるね、情報をリークしたのはヒルダさんかな。


「やーん、私の事も書いてありますよ、ご主人様」


 と、コリンヌさんが泣き声を出した。

 ああ、悪漢にとっ捕まっていたが、全員ホモだったので貞操は守られ、聖女候補に救出されたというカバーストーリーが書いてあるね。

 ベルモントどもはホモで良いんじゃ。


「事実とちがうし~」

「では、事実はどうだったのですか」


 う、新聞記者のレイラさんに後ろを取られた、メモ帳を持っているぞ。


「え、ええ~~、それは~~」

「高度な秘密なので秘密なのです」

「ぐぬぬ、真相を知りたいです」

「いろいろ差し障りがあるので駄目です」

「しかたありませんね、ヒルダさまに色々教えて貰った恩もございますので、あまりつつくのはやめましょう」


 やっぱり情報の出所はヒルダさんか。

 大事件ではあったから、ある程度はしょうが無いんだろうなあ。


「ガドラガ教会を攻めたり、ストライト隊を救いに行ったり、レアキメラと戦ったり、お疲れ様でした」

「思ったよりレアキメラが強かったので敗退しちゃったけどね」

「リンダ師もいらっしゃったからマコトさまがその気なら倒せていたとの噂もありますが」

「今回はベロナ隊の戦いだったので、あまり私が前に出てもね」


 というか、レアキメラは魔物の格的に、リンダさんとジャンと、五本指、私とフルで掛かってやっと倒せるぐらいの強敵だったぞ。


「コリンヌさまもご無事で何よりでした」

「えへへ、ありがとうレイラさま」


 コリンヌさんは嬉しそうに笑った。


 さて、壁新聞を読み終わったので、階段を上がって教室に向かう。

 だんだんと派閥員が減って、A組に着く頃にはカロルと私だけになるね。


 教室に入って、懐かしの席に着く。

 ああ、ここだよここ、うんうん。


 ジェラルドがメガネをくいと上げてやってきた。


「ガドラガに送る人員の手配が着いた、今日の放課後にでも送ってくれるか」

「解ったよ、送って行く、何人ぐらい?」

「当面十人ほどだな、残りの人員は街道を行かせる」

「解った、帰りも何人か積んでくるかい?」

「交換で十人連れ帰ってくれ、王府で尋問して罪を確定させねばならない」

「いやあ、ガドラガの役所の不始末で大変だよ、夜まで残業だった」


 ありゃ、ケビン王子も書類仕事か。

 王府、教会、冒険者ギルドを巻き込んだ醜聞だったからなあ。


「ポッティンジャー公爵から抗議文が送られてきたけど、まあ、魔族がらみだったんで突っぱねたよ」

「ドナルドも太い神経だなあ」

「腐っても公爵家だからな、だが、これでまた一本、彼らの資金源を絶てた、感謝するぞキンボール」

「よせやい、成り行きだ、感謝とかいらねえよ」


 私は肩をすくめた。

 さすがに、今回は教会が一番悪いので褒められても嬉しくはないなあ

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― 新着の感想 ―
[一言] もしかしてドナルドもドッペルにすり替わってる可能性ないか?
[良い点] やっぱりレアキメラくんはそれ位の格の相手でしたか…まあ今後彼レベルの存在と不意に会う機会は早々ないでしょうけど。 でもこの前みたく人質取られて装備奪われる…という機会の方は十分あるので、マ…
[一言] いまどき差別的な表現として同性愛を使うのはちょっと…百合を扱う小説なのにそれはないのでは?
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