第1199話 学園に帰ってきたらさっそくお風呂
カロルと手を繋いで地下通路を行く。
やあ、帰って来たなあって感じになるね。
「さっそくだがお風呂に行こう」
「マコトはお風呂好きね、水曜日だから聖女の湯をやってるかしら」
「やってると思うよ」
階段を上がり女子寮に入る。
ああ、懐かしい女子寮の匂いがするね。
で、地下大浴場ですが、混んでました。
そうか、水曜日の夕方だしね。
「あ、お帰りなさいっ、聖女様!!」
「ただいまです~」
聖女の湯解放戦線のエイミーさんに見つかった。
「聖女さまがガドラガからお帰りになられたわ、みんなちょっとあけて」
ああ、良いのにという間も無く、カロルと一緒に脱衣所に押し込まれてしまった。
まあ、混んでるお風呂もたまには良いか。
「マメちゃんも一緒に入る?」
「わんわんっ」
入りたいようなので、服を脱いでカロルと一緒のロッカーに入れたあと、マメちゃんを抱き上げた。
浴室に入ると、まあ、人がいっぱいだね。
芋洗いであるが、なにげに秩序があり、譲り合ってお風呂に入っていた。
「あ、聖女さま、オルブライトさま、お先にどうぞ」
「ありがとう、いいの?」
「ええ、もちろんですとも」
マメちゃんと一緒にかけ湯をしてから浴槽に入った。
ふわー、暖まるなあ。
聖女の湯の素はやっぱりしみるように効くねえ。
カロルと肩を寄せ合うようにしてお湯に浸かった。
なんかドキドキするね。
「聖女の湯の日はこんなになるのね、忘れていたわ」
「みんな待ち望んでいますから、私も慢性病が治って感謝してるんですよ」
「あはは、よかったねえ」
マメちゃんもお湯に浸かって体積が半分ぐらいになって気持ち良さそうだ。
ほどほどに暖まったので、洗い場が空いたタイミングで湯船を出る。
ダルシーが現れて、私とマメちゃんを洗ってくれた。
ガドラガではダルシーはロッカーの番をしてくれていたから、洗われるのも久しぶりだね。
気持ちが良い。
再び、湯船待ちをちょっとして、空いたスペースに浸かる。
はあ、あったまるなあ。
ガドラガ鉱泉も良かったけど、あそこはなんか荒っぽい風呂場だからなあ。
女子寮大浴場はのんびりしていて良いよ。
十分暖まったので、マメちゃんを抱いて湯船を出る。
脱衣所も混んでいて、立ったままダルシーにバスタオルで拭いて貰いドライヤーを掛けてもらった。
ああ、さっぱりした。
やっぱりお風呂は良いね。
戦闘聖女服ではなくて、制服に身を包む。
ああ、日常に帰って来た感じだな。
カロルと一緒に大浴場を出た。
「なんだか、ほっとするね」
「帰って来たって感じだよ」
エレベーターで二階までカロルに送ってもらう。
ラクチン。
「じゃあ、また晩餐で」
「うん、ありがとうねカロル」
「何をいってますか」
カロルは笑って私の頭を抱いてぐりぐりしてくれた。
うへへ、カロル大好きだぜっ。
ほっこりしながら廊下を歩く。
205室のドアを開けるといつものようにコリンナちゃんが机に付いて勉強をしていた。
「お、マコトおかえり~、どうだったガドラガ」
「大変な事件が起こったが、楽しかった」
「そうか、なんかあったらしいな、ジェラルドさまが慌ててたし」
「ガドラガ教会が悪さしてたので破門して攻め落としました」
「……」
コリンナちゃんがマジかって目をして振り返った。
「そ、そりゃ大変だったな、レアキメラは倒せたかい?」
「めっちゃ強かったので、倒せなかったよ、でもベロナ先輩達は立ち直ったから、それでよしだよ」
「そっかー、まあ、無事にマコトが帰って来てなによりだ」
私はコリンナちゃんに近寄ってお土産の包みを渡した。
「なんぞ?」
「お土産、学業成就の水晶のお守り」
「それはありがたい、うれしいよ」
コリンナちゃんはにっこり笑って水晶のタリスマンを首から掛けた。
この前上げた、毒消しとポーションのペンダントも着けてくれてるな。
ダルシーがケトルを持って入って来て、お茶を入れてくれた。
コリンナちゃんと応接セットに座り、マルコアス修道院クッキーでお茶を飲んだ。
「総本山系の司祭が魔族と組んでガドラガで荒稼ぎかあ、それは酷いな」
「そんなこんなで、一週間の半分がつぶれた」
「普通何年も掛けて解決する大問題なんだが」
「とりあえず、おおざっぱにぶっ潰してきたよ」
「ベロナ隊のコリンヌ嬢が生きかえったかあ」
「うっかり従魔にしちゃったから、近くをうろうろしそうだ」
「名前が似てるのは困るなあ、というか、人間もテイムできたのか」
「できるようだね」
「これで悪者がいたらテイムして自害を命じて解決、ができるな」
「げえ、それはやりたくない」
「なんで、簡単じゃん」
人の意思を魔法とかでねじ曲げるのは抵抗があるんだよ。
どんな悪い奴でも洗脳は良く無いのだ、こちらの歯止めが利かなくなるからね。
簡単だからやって良いという物でもあるまい。
「私がコリンナちゃんをテイムして、毎朝運動するように命令するようなもんだ」
「ううっ、確かにそれは嫌だな、奴隷化できるのか?」
「わかんないねえ、気持ちが離れるとテイムが切れるって話も聞くから真に嫌な事はさせられないと思うんだけど」
「国家元首をテイムして帝国を築く勇者、聖女はいなかったのかね?」
「そういや居ないから、できないのかもね」
テイムした相手とは仲良くなってしまうから、無理矢理命令した時の事とか考えて無かったな。
なんか実験もしたくないけどね。
光テイムは奧が深そうだなあ。
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