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第116話 王宮で偽欧州の政治事情を聞くんだぜ

 王宮の馬車溜まりに着いたでござる。

 屋根が道まで張り出していて、馬車の乗り降りに雨が掛からないようにできている。

 さすがは王宮。


 王宮は二回目だなあ。

 一度目は王様にお目通りして、ポッティンジャー公爵と初めて会ったんだよなあ。

 最初からドナルドは嫌な奴だったぜ。


「お帰りなさいませ、ロイドさま、いらっしゃいませマコトさま」


 にこやかに侍従長っぽいロマンスグレーのおじさまが迎え入れてくれた。


「お父様、お兄さまに事情の説明をする」

「はい、執務室でお二人ともお待ちでございます、ささっ」


 侍従長っぽい人の先導で王宮内を歩く。

 前に入ったメインの通路と違って、こっちの通路は普段の業務に使われるせいか装飾がおとなしいね。


 重厚な黒いドアを開けると、執務室に、王様と、ケビン王子と、ジェラルドがいた。

 ジェラルドが、なんでお前がという目で私を見るので睨み返してやった。


「おお、ロイド、無事だったか、報告を聞いて血の気が下がったぞ、無茶はしてはいかん」

「ご心配をおかけしてもうしわけありません、父上」


 王様は立ち上がって、ロイドちゃんを抱きしめた。

 こういうところ、人情に厚そうで良い王様っぽいんだよね。

 ケビン王子も頬を緩ませて、弟を見ている。

 家族仲は悪くないようだ。


「ポッティンジャー公爵家第二公邸の暗闘屋グレイブを捕獲し、奴らが隠し持っていた大量の麻薬を発見したそうだな、大戦果である。良くやったロイドよ」

「お褒めにあずかり嬉しゅうございます、でも、どれも聖女候補のマコト嬢が協力してくれたおかげなのです」


 王様が満面の笑みで歩み寄ってくる。


「おお、マコト嬢、大きくなって。ロイドと一緒に悪を暴いてくれたのだね、ありがとう。王国として礼を言おうぞ」


 そういうと、王様はがばりと私を抱きしめた。

 そうかそうか、ロイドちゃんのセクハラはお父さんゆずりかよ。

 さすがに、王様にアイアンクローはできないので、抱かれるままでにこやかに微笑んでいた。


「さて、ロイド様、キンボールくん、事件の概要を教えてもらおうか」


 ジェラルドが何かの書類を持って応接セットへ私たちをいざなった。

 王様も、ケビン王子も席に付く。


 ロイド王子が、グレイブが私を森の奥に誘い出した所から、説明していく。

 さすが王族、すらすらと報告できるね。

 私は高級な紅茶をすすりつつ、補足する部分に口を出していく。


 最後のリック無双の部分を聞いて、王様は立ち上がった。


「おお、リックよ、幼い二人を守って、単独で五十騎を押し返すとは、お前こそ、王国無双だっ」


 ロイドちゃんの後ろに立つリックさんに王様は近寄り、がっしりと手を握った。


「いえいえ、聖女候補さまにもずいぶん助けられまして」


 リックさんは照れたように笑った。


「鎧に傷があるようだが、体の方は大丈夫か? 治療師を呼ぶか?」

「傷も、聖女候補さまが全部治して下さいましたよ」

「おお、なんと、マコト嬢はなんという得がたい存在なのだ、勇士を支える、まことに聖女の働き、私はおばあさまを思い出したぞ」


 ああ、そうか、王様は聖女マリアさまの孫なんだよな。

 それで聖女候補に対して、目が優しいのか。


「お父様、王都でのこのようなポッティンジャー公爵家の無法、黙って見過ごすおつもりですか?」


 ロイドちゃんが問いかけると、王様はにんまり笑った。


「もちろん只で済ませるわけもない、厳重な抗議をポッティンジャー公爵家には送る。が」

「まだ、本格的に動くには、早うございます、ロイド様」


 王様の言葉を、ジェラルドが継いだ。


「麻薬の備蓄、第二王子の暗殺未遂、聖女候補の誘拐未遂、これだけあれば、もう戦端を開くに足るのではないかと、思うのだが、ジェラルド卿」

「今、戦端を開くと、王国と、公爵領の完全な内戦となります。戦力はこちらの方が大きいですが、向こうには十傑衆を筆頭に、綺羅星のように豪傑がおりまする。負けはしないでしょうが、こちらの国力もまた大きく削られましょう」

「ああ、そうすると皇国が」

「はい、北部の帰属を巡って、皇国が動き出しましょう。そして一番恐ろしいのは、ポッティンジャー公爵家が皇国に寝返る事ですね」


 あー、旗色が悪くなったら、ポッティンジャー公爵家が皇国に寝返る可能性があるんだな。

 元々、ポッティンジャー公爵家は別の国の重鎮貴族で、アップルトンに寝返って来た実績もあるしね。

 まったく、中世の偽欧州は権謀術策がバリバリで油断ができねえぜ。

 外交とか色々と絡んでくるから、気楽に公爵家お取り潰し、って訳にはいかないのね。

 めんどくせえ事だなあ。


 皇国というのは、アップルトンのお隣のジーン皇国の事ね。

 偽欧州のドイツの位置にある帝政軍事国家で、しょっちゅう戦争をやっておる。


 たしかヒカソラ2だと、ジーン皇国との戦争が背景になるとか発表があったな。

 RPGパートじゃなくて、戦場シミュレーションに変わるとか。

 自由にイケメンとか仲良し女生徒をユニットにして、女性指揮官として戦えるそうだ。

 ヒカソラ無印のキャラも参戦させる事が出来ると聞いた。

 カーチス兄ちゃんとかエルマーとかのパラメーターが出てたな。


 いいなあ、やってみたかったなあ。

 前世では、もう出たのかな?


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― 新着の感想 ―
[一言] 2の舞台で戦争やっててそれの人員配置含めの指揮官やるってほぼ国のトップになってるじゃん…w こりゃ王族の影響力かなり下がってそうだな、軍も指揮官クラスの動きがかなり悪くなってるっぽい?
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! あっ、確かに敵国に寝返りは中々ヤバいですね。そう成る可能性は元から低くないの気がしますけど。 乙女ゲームの続編が有りますかぁ。
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