第1171話 実習終了でお風呂に入る
さて青道五階から一気に、分かれ道ホールまでノンストップで行き、ゲートをめざす。
地上に出るとアントーン先生がいてチェックをしてくれた。
「ベロナ隊帰還と、では、ギルドで魔石を売って終了です、お疲れ様」
「ありがとうございます」
「レアキメラは見つかりましたか」
「痕跡もたどれなかったですが……、現場に行って良かったと思いました」
「そうですか……。ベロナさん、スーザンさん、イルッカさん、がんばりましたね」
「いえ、あの時はありがとうございました、アントーン先生」
「いえいえ、皆さんが頑張ったからですよ」
やっぱりアントーン先生は良い先生だよなあ。
うん。
みんなでギルドに行って、集めた魔石を換金した。
酒場でお茶を飲みながら狩りのお金を分配した。
ベロナさんは、ヤニクさんへ金袋を渡した。
雇われ冒険者へは日払いなんだよね。
「ヤニク、ありがとう、また明日も頼むよ」
「へい、ありがとうございやす」
これで、自由探検の一日目は終了である。
「私たちは船に帰るけど、カーチスは?」
「俺は残って飯を食っていく、リンダ師に様子も聞きたいしな」
「そう、じゃあ、また明日ね」
船で食べても、ギルド酒場で食べても、そんなに味は変わらないらしい。
だったらエールを頼めるギルド酒場の方が良いのであろう。
そういうパーティも結構あって、何組かがお酒を飲んでいるね。
あんま飲み過ぎんなよ。
「お風呂行こうか、カロル」
「そうね、ヒルダさまもいかがですか」
「いいですわね、ガドラガ鉱泉ですね」
「行きましょう行きましょう」
ベロナ先輩たちと冒険者ギルドを出た。
「先輩達もどうですか、大きいお風呂」
「僕らは疲れたからいいや。今日はありがとう、キンボールさん」
「来て良かったわ」
「あの滝の事は一生忘れない」
喜んで貰えて何よりだな。
縦穴の滝がよく見えなかったから大型光球を撃ち出したら、すんごい良い景色になったんだよなあ。
ベロナ先輩たちと一緒にアーケードを歩いた。
ヒューイは雨の道を、マメちゃんはカロルに抱っこされている。
オガ太郎は護衛のように私たちの後に付いている。
ナンパ冒険者も寄ってこないぜ。
路地裏に続く道で、ベロナ先輩たちと別れる。
オガ太郎とヒューイを連れて裏路地を歩き、ガドラガ鉱泉に着く。
「オガ太郎はお風呂入る?」
「いえ、俺はヒューイ号を守ってます」
《護衛はいらない》
「まあ、そう言わないでください」
《しかたがないな》
馬繋ぎ柵にヒューイをつないで、二人の上に障壁の屋根を作った。
「行ってらっしゃいませ」
《待ってる》
三人で番台に料金を払って中に入る。
脱衣所で服を脱いでロッカーに入れた。
ダルシーが現れて、カロルからマメちゃんを受け取った。
「あら、キューちゃんもおねがいできるかしら」
「お任せくださいませ、ヒルダさま」
ヒルダさんは微笑んでダルシーの肩にキューちゃんを乗っけた。
「ぽぽーう」
「わんわん」
お風呂は結構混んでいた。
夕方だからひとっ風呂浴びる需要があるのだろう。
かけ湯をして湯船に浸かる。
「あ~~、暖かい」
「青道は川があるから冷えるわよね」
「お風呂が何よりのご馳走ですわ」
三人で並んで湯に浸かりまったりした時間を過ごす。
「そういえば、ヒルダさん、シャーリーさんは?」
「別行動をしてますわ。街の噂とか、ベルモント派の監視などを行っています」
「ガドラガ大玄洞のどこかに、ベルモントのアジトがあるんじゃないかな」
「その可能性は大いにありますね」
「青道の川の水は飲めるの?」
「はい、飲用に問題のない真水ですよ」
青道近辺かなあ。
でも、巨大魚に喰われたりしないのかな。
「どうかしらね、僧侶は水属性の人が多いから、川沿いでなくても良いはずよ」
「あ、そうか、自分で水を発生されられるもんな」
川の水説がすぐに否定されたぜ。
「あんなに中が広いとは思いませんでしたわ」
「中に入らないと解らない事多いよね」
洗い場が空いたので、体を洗い、もう一度湯船に浸かって温まり直した。
さて、出るかな。
脱衣所に行くと、ダルシーが半裸の女冒険者をノックアウトしていた。
「どうしたの?」
「マメちゃんをよこせなどと戯言をいいましたので、教育しました」
「そう、ありがとうね」
「いえいえ」
ダルシーは気絶した女冒険者を片手でベンチに乗せた。
新しい下着に履き替えて、戦闘聖女服を着る。
あーさっぱりした。
ヒルダさんはキューちゃんをダルシーから受け取り肩に乗せた。
「わんわんっ」
マメちゃんが駆けてきて私の腕に飛びこんできた。
うしし、めんこい奴め。
上着からマメちゃんがちょこんと出るようにしてから、ガドラガ鉱泉の外に出た。
外は真っ暗で、ひっきりなしに雨が降っているね。
ヒューイの手綱を取り、オガ太郎と共に歩き出す。
「明日はグランデの滝の付け根まで行きたいね」
「良いですね領袖」
「もう偶然に頼るしかないから行きたい所に行くべきかもね」
明日はグランデの滝を下から見上げるのだ。
きっと幻想的に綺麗だろうなあ。
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