表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1170/1533

第1167話 青道五階から十階を事故を検証しながら行く

 ゴブ蔵にパスを繋ぐとベルモント捕まえ隊は地下20階あたりを移動中だ。

 六本の主道は、色々な所で交差し、繋がっている。

 構造が複雑なので、楽な道を繋いで深度を稼いだり、換金率の高い魔物の居る辺りを渡って行ったり、狩りの目的によってルート取りは変わるらしい。


 三階四階とヒルダさんがアラクネ糸無双をしたので楽に移動出来た。

 階段を降りると五階、ここからは自然洞となる。

 ゴツゴツとした岩盤に洞窟が複雑に繋がって迷いやすい。


 ベロナ隊の最初の遭難地点が五階の崖付近だ。


 地下の川で削られたのか、谷のようになった部分があって、そこを通過中、道が崩落し、十階まで滑落したのだ。


「ここで落ちたんだ」

「良く生きていましたね」

「運が良かった、全員かすり傷ぐらいで、コリンヌが足をくじいたけど、ポーションで治ったんだよ」


 滑落現場では、道がごっそり削り落ちたようになっていた。

 今では木材で仮道が作ってある。


 サーチ。


 カアアアアアン!


 うん、近くの魔物は、オーガー、オーク、ヘルハウンド、ジャイアントバット、ぐらいか。

 ちょっと遠くに魔力的にうるさい所がある。

 例の寄生魔獣だな。


 レアキメラは近くには居ないようだ。

 谷底には川があって、ここの所の雨で勢い良く流れている。


『ライト』


 渓谷に大きめの光球を発射した。


「うお、明るい、昼間みたいだな」


 五階までは魔導灯が設置してあるが、その奧の渓谷に灯りは無い。

 光球でよく見えるようになった。


「川の近くだから湿気がすごいわね」

「とりあえず、下まで降りましょう」


 ベロナ隊の遭難を検証しながらレアキメラを追おう。


 ここの場所は洞窟に入り、出て坂を下りまた洞窟に入り、出て坂を上り洞窟に入り、出てまた下る、みたいに複雑に道を歩いて行く。

 私とカロルだけならヒューイで崖を飛んで下りたらいいのだが、みんなはそうは行かないからヤニクさんの先導でグネグネと下って行く。


 途中に出てくるオークやヘルハウンドはヒルダさんが輪切りにしてくれる。

 そろそろ堅くなってきて切れない魔物とかも出るのだが、その場合はぎりぎりとアラクネ糸で縛って動けないようにしたあと、ベロナ先輩やカーチス兄ちゃんが、ずんばらりんと叩き斬る。

 ダルシーはナイフで魔石を取り出す。

 と、言う感じに進む。


 川岸のちょっと広くなった場所へと出た。

 見上げると降りてきた崖が凄く高いね。


「この前来た時より川の水位が上がっている」

「それはまあ、梅雨だからね」

「前は岩を飛んで向こう岸に渡れたんだけど、今は無理だね」

「向こう岸に移ったの?」

「そうだよ、こっち側で上がろうと思ったんだけど、迷ってしまって、向こう岸なら上がりやすそうに見えたから」

「向こう岸の道は行き止まりですぜ」

「ああ、でも、なんだか行けそうに思えたんだ」


 遭難するとなあ、なんかアイデアが出て、良いと思うと固執しちゃうんだよね。

 こっち側のあがる道は複雑に繋がって、突拍子も無い接続の仕方をしてるからなあ。


 元々、ここは五階から十階までちゃんとした迷路だったんだけど、川が浸食して、迷路を削って行ったんだよね。

 そのせいで超複雑だ。


「向こう岸に渡ろうか」

「え、どうやってだよ、この水量だぞ」


 私は光の透過率を半分にした障壁で橋を作って架けた。


「おお~~、マコトは便利だなあ、渡河架橋装置要らずだぜ」

「軍用には協力しないのだ」

「もったいねえ」


 私はヒューイを障壁橋の上を歩かせた。

 ちょっと、すべすべ過ぎるか、適当に凹凸を付けて歩きやすいようにする。


 みな、おっかなびっくりと障壁橋を渡ってきた。


「よく考えたら、坂道を障壁で作ったら降りるの楽だったわね」

「あっ、気が付かなかった」


 帰りにはその手を使おう。

 べつに真面目に順路を通らなくても良いのか。


 光球がピカーっと光り、障壁の橋を付けた十階はなんか明るい雰囲気になってしまったな。

 ここらへんは魔導灯が無いから、ランタンだよりで、ベロナ先輩が遭難した時はとても心細かっただろうなあ。


「なんだか開けた所は不安だったので、こっちの道に入ったんだ」

「奧に行く洞窟ですなあ」

「どこかでキャンプして助けを待つつもりだったんだ。リュックには野営の準備もあったし」


 ベロナ先輩は洞窟に向かって歩く。

 われわれも付いていった。


「ここでオークが出て、みんなで倒した後、キャンプをした」


 すこし奥まった洞窟のくぼみだった。

 もう、焚き火の跡も迷宮に喰われて残ってはいない。


 洞窟で五人、不安な夜を過ごした訳だね。

 前に黄金の暁号で話は聞いたけど、現場で聞くと解像度と理解度が違うね。

 怖くて不安だったろうけど、まだ犠牲者も出ていないし、物資もあったからそれほど危機とは思って居なかったんだろう。


「最初の夜だ、トイレに行ったボルヘが襲われた。俺達はレアキメラを狩ろうとしたんだけど、もの凄く強くて、かなわなくて……、ボルヘはここで、喰われて死んだ。俺達は逃げた、あっちにだ」


 洞窟の道は三つに分かれ、狭い方にベロナ先輩達は逃げたようだ。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 障壁橋の透過率の調整。 流石、マコトちゃん。 滑り止めもつけて職人産だね。 行きは万が一逸れても良いように障壁なしで案内してもらって かえってよかったのでは? 帰りは障壁でショートカット…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ