第1152話 外に出てオルブライト商会を見に行く
水晶大ホールを堪能したので、ヒューイを駆けさせて地上へ戻る。
当然途中に出て来たオークもゴブリンもスライムもヒューイパンチで一発である。
便利便利。
ゲートで係員のお姉さんにスタンプを押してもらう。
頭上に障壁傘を張ってメインストリートをとっとこ歩かせる。
「記念にお土産を買って行きたいわ」
「そうだね、ガドラガに行って来たって信用して貰えないかもだし」
「土産物屋にいこうか」
ガドラガでもお土産物屋さんは人気だ。
大きいお店が三つもあるな。
冒険者というよりも、実習に来る学生向けの感じがするね。
一番近いお土産物屋に入った。
おーおー、安ピカ物が一杯売っているな。
作りの甘い木像とか、安っぽいアクセサリーとか。
ガドラガの記念品とか、お菓子とかも売ってるね。
お菓子は当然、日持ちがするクッキーとか、ドライフルーツとかが多い。
そして、まあ、結構高いね。
お、マルコアス修道院のクッキー缶があるね。
ああ、やっぱり結構するなあ。
「これ、高いけど、美味しいわよ、近くの修道院のクッキー」
「あら、ではそれにしましょう」
「クッキークッキー」
「ペペロン駄目よ、お土産だから、配るのよ」
「残念だなあ」
「王宮でお茶の時にでるわよ」
グレーテはクッキー缶を二つに、ガドラガ大玄洞と書かれたペナントを買った。
ペペロンはなんだか変な魔物が魚を捕っている木彫りの像を買っていた。
「なにするの、それ」
「部屋に飾るんだ~」
「お部屋貰ったの?」
「貰った、鉢植えとかいろいろ貰って置いた。楽しい」
それは何よりだね。
「これでガドラガに来たって証拠になるでしょう」
「まあね」
精算をして店を出る。
向かい側でオルブライト商会のお店がオープンしてるね。
人だかりがしている。
「オルブライト商会で、全品三割引セールだとよ」
「開店セールらしいな。定価でもめっちゃ安いのになあ」
「もうコモンカンの薄々ポーションなんか使えねえよな」
カロルが法被を着て店頭で呼び込みをしていた。
こちらを見つけて手を振ってきた。
みなで一緒にメインストリートを横断して行ってみる。
「どう、繁盛している? カロル」
「大賑わいね、沢山売れてるわ」
「法被可愛い」
「ありがとうペペロン」
「素敵ですわ」
「グレーテ王女もありがとう、何か買っていく?」
「ポーションを頂くわ、オルブライト印はジーンでも人気なのですわ」
「日持ちの関係で、国境近くの街でしか買えないけどね」
オルブライト印はグローバル医薬品なのだなあ。
「錬金釜はどう、直った?」
「ええ、快調よ、こんど学園の方の錬金釜も替えて欲しいぐらいよ」
「それは良かった」
良い腕なんだな、ガワスのおっちゃん。
メインストリートをジョガーに乗ったパスカル部長が駆け抜けていった。
うわ、凄いスピードだな。
こっちに気が付いたのか片手を上げて去っていった。
「あら、パスカル部長はテイム成功したのね」
「すっかりテイム騎乗が楽しくて、あのていたらくだよ」
「ケルピーは雨が好きだからね」
そろそろお昼だな。
「カロル、お昼を食べに行かない?」
「そうね、店長、お昼に出て来ます」
「はい、お嬢様、ごゆっくり」
カロルは店長さんに法被を渡した。
さすがに四人でヒューイには乗れないのでアーケードを歩いて行く。
「テイムは早く終わったの?」
「そう、だから迷宮行って水晶大ホールを見て、それからお土産物屋さんに寄ってた」
「そうなんだ、楽しめましたか? グレーテさま、ペペロン」
「楽しかったわ」
「綺麗だったー」
「そう、なによりだわ」
カロルはにっこり笑った。
「どこに行こうか?」
「ガドラガらしい物が食べたいっ」
「はっはっは、ガドラガの周りでは食糧が取れないので、らしい物は無いな」
「裏通りなら魔物料理があるらしいけど、そんなに美味しく無いらしいわね」
「そうかー」
ラクロス三勇士先輩たちが私たちに立ち塞がった。
「ランチにお困りのようだね、では教えてあげよう、あそこのお店と、あそこのお店は不味いわ」
「値段が高いばっかりで、美味しいお店があまりないわ」
「ガドラガ鉱泉のとなりのとなりのお店がまあまあよ」
「あ、ありがとう」
「「「じゃっ」」」
颯爽とラクロス三勇士先輩は去って行った。
食べ歩きしたんだなあ。
「ガドラガ鉱泉の隣の隣のお店に行こうか」
「そうね」
私たちは裏路地に入り、ガドラガ鉱泉のとなりのとなりのお店を探した。
「温泉があるんですのね」
「あまり治安が良く無いのでお勧めしないわ」
「残念ですわ」
「宮殿のお風呂はサウナな感じなんだよ」
寒い地方だからねえ。
ラクロス三勇士先輩が言っていたお店が見つかった。
なんだかすごくボロいけど、わりとお客さんが入っているな。
「せっかくだから入ってみましょう」
「こういう所が美味しかったりするんだよね」
「期待出来そうですわ」
「ボロいお店だー」
私たちはお店に入り、ランチプレートを頼んだ。
うん、まあまあの味でした。
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