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第1148話 土曜日は中日の休日

 バタバタ。

 私は枕に顔を埋めて足をバタバタさせている。

 朝である。


 くっそー、今日もまた寝落ちてしまったーっ!

 バカバカ、柔らかベッドの馬鹿!


 ペペロンとグレーテがやってきおったので、シャワーを説明したり、スイートに通したりしてから、自室に戻り、こう、ちょっと時間が経って静かになったらカロルのベッドに忍び込んであれやこれやしよう、と思っていたのだが、寝た。

 寝てしまった。

 という理由でバタバタしている。


「なんでバタバタしてるの?」

「なんでもない」


 カロルに不埒な事が出来なくて不満でバタバタとは言いにくい。

 しかたが無い、諦めて服を着替えよう。


 ダルシーが出してくれた戦闘聖女服に着替える。

 というか、布甲冑だけど、私は一週間着たきりスズメなのか。

 制服と違って代えが無いからなあ。

 まあ、良いか、下着は毎日替えているし。


 カロルと一緒に廊下に出ると、ペペロンとグレーテ王女も起きだしてきた。


「おはよー、ここのベッド寝心地良いね」

「素晴らしい寝心地ですわ」

「ベッドも一級品だからね」


 ビアンカさまは凝り過ぎであるよ。

 四人で連れ立ってラウンジへ上がり朝ご飯を食べる。


 丸パントーストに、ベーコンエッグ、トマトサラダ、たっぷりのホットミルクである。


「ああ、ミルク濃くて美味い美味い、もう一杯下さい」


 アンヌさんが笑顔でおかわりを注いであげていた。


「ベーコンも美味しいわ。このミルクは素晴らしいわね」

「チーズと同じ牧場だな、精霊の味がするよ」

「おなじ、守護竜牧場よ」

「おお、守護竜といえば私にも権利があるねっ」

「無いわよ、アップルトン王都の守護竜アダベルの名前を冠した牧場だから」

「そっか、ずるいなあ、グレーテ、私も牧場に冠したい」

「そうね、今度食べ歩きましょうか」

「良いね、ジーン帝都の守護竜牧場を決めるぞっ」


 ペペロンは明るくて楽しいなあ。

 影竜なのに陰気じゃ無いのね。

 まあ、それを言ったらアダベルも聖氷竜なのに、クールじゃ無いけどね。


「マコト、今日はどうするの?」

「午前中はパスカル部長の騎獣のテイムの付き添いだね。カロルも来る?」

「私はオルブライト商会ガドラガ支店の開業に立ち会わないと」

「あ、今日開店だっけ」

「そうよ、記念セールとかしないと」


 社長さん頑張っているね。


「あんたたちはパスカル部長を見に来るのよね」

「いくいく、ナージャのお相手見る」

「人柄を確かめませんとね」


 っても、パスカル部長はいつもツナギで厩舎員みたいだけどなあ。

 騎獣以外興味無い奴なのに、なんでナージャと気があったかね、やっぱり魔術か、ビリケムさまの奇跡か。


 ラウンジの窓から空を見上げる。

 今日は少し小降りだな。

 霧雨が大きなデスワームみたいにグネグネと街を這い回っている。


 後で歩いて行くわ、というカロルと別れて蒼穹の覇者号を下りる。

 今日はお休みだから生徒達がわらわらと歩いているな。


(ヒューイ)

《今行く》

「エイダさん、後部ハッチを開けて」

【了解です、マスターマコト】


 ヒューイがとっとこ歩いて来た。


「おーヒューイ、ちわちわ」

《ペペロン、いらっしゃい》


 ヒューイとペペロンは同格な感じだな。

 アダベルはあんななのに姉ちゃん格なのか。


「マコトちゃーん」


 黄金の暁号からラクロス三勇士先輩たちがどたどたと下りてきた。


「おはようおはよう、マメちゃんマメちゃん」

「わんわんっ」


 先輩達はマメちゃん好きだな。

 私の胸元から顔をだしたマメちゃんを三人でなでなでしている。


「おっはよー」

「あら、あなたは……」

「ジーン皇国のグレーテ王女よ」

「おひさしぶりですわね」

「そういや、前に会ったわね」


 ミリアナ先輩、他国の王族と挨拶中にマメちゃんをなで回すのはやめてください。


「先輩達は今日はどうするんですか?」

「食べ歩き」

「あと、お風呂、ガドラガ鉱泉」

「買い物したり、お散歩したり、マコトさまのお陰で濡れずに歩けて助かるわ」

「じゃあ、またねーっ」

「ミリアナ、待ちなさいよっ」

「では、グレーテ王女さま、ガドラガをお楽しみくださいね」


 そう言ってラクロス三勇士先輩たちは嵐のように街に向けて去って行った。


「元気だな」

「ペペロンはメイドと間違えられたのかしら」

「あーそうかも」


 ペペロンの人化の後の格好は黒いエプロンドレスなので、メイドに見えなくもない。


「メイドメイド」


 ペペロンはまんざらでも無いようだ。

 ダルシーが現れてポケットからヘッドドレスを出してペペロンに付けてあげた。


「よかったらさしあげます」

「まあ、ペペロンメイドさんみたいよ」

「わあ、見たい見たい」


 私は収納袋から手鏡を出してペペロンに渡した。


「ぎゃー、可愛い、いいの、ダルシーちゃん」

「かまいませんよ」

「ありがとう、うれしーっ」


 ペペロンはダルシーに抱きついた。

 ヘッドドレスを着けると本当にメイドっぽいな。


「さて、行こうか」


 私はヒューイに跨がり、グレーテを引っ張り上げた、ペペロンもよっこいしょとグレーテの後ろで跨がった。

 三人乗りはきつめだけれども、まあ女の子三人だから、なんとかなるね。


 さて、ちょっくら冒険者ギルドまで行くか。

 私はヒューイをとっとこ歩かせた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 装備のメンテ・・・クリーン?浄化?の魔法を開発できたら良いのにね。 マリアさまはどうしてたのかな? ナージャさんとパスカル部長はビリケムさまのアイテムが出現する前からラブコメフラグたってた…
[一言] チャンスにエチチできないのはもはや天丼芸の粋に達している模様。肝心の時にヘタれるのは前世でも喪女だったせいかな? あとトラブルを引き寄せる体質も込みで。 ペペロンちゃんをメイドだと思って侮っ…
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