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第1130話 ガドラガ鉱泉でほっと一息

 アーケード脇に大きい看板が掛かっていた。


『命の湯 天然由来 ガドラガ鉱泉』


 おおっ、これはお風呂屋さん。

 一本奧の通りにあるようだ。


「お風呂だ」

「お風呂ね、鉱泉だから出た水を湧かしてるのかしら」

「行ってみよう、なんかシャワーだけだとね」

「そうね」


 蒼穹の覇者号はシャワーがあるんだけど、やっぱお風呂入らないとね。

 迷宮の街の温泉というのも気になるし。

 どんなだろう。


 頭上に障壁の傘を出して裏通りへと曲がる。

 おー、なんだかいきなり街の雰囲気が荒くれるね。

 娼館とかが立ち並んで綺麗なお姉さんが飾り窓の奧で微笑んでおるぞ。

 店の間口も小さくなってごちゃごちゃしている感じ。


 看板をたどって『ガドラガ鉱泉』を目指して歩く。

 雨脚が強いなあ。

 聖女服の胸元が定位置になったマメちゃんも周囲の匂いを嗅いでいる。


「ガドラガって水がでるのね」

「泉が湧いていたらしい、その近くから街が出来ていったみたいね」


 この山の上で水まで無いとちょっとヤバイからね。

 水魔石でなんとか発生させる事もできるだろうが、コストが凄くなるからな。


 ガドラガ鉱泉に着いた。

 意外に綺麗で大きめの建屋であった。

 料金は一回六百ドランク、お風呂屋としては普通ぐらいの値段かな。


 入り口でお金を払って中に入る。

 お、結構混んでるね。

 ロッカーは鍵式だが……、なんか怖いな。

 収納袋を盗られたらキツイ。


「番をしておきます」

「あ、ダルシー戻った?」

「はい、ヒューイは船に戻りました」

「ありがとう」


 食糧は教会に分け終わったようね。


 カロルと隣り合わせのロッカーをつかって服を脱ぐ。


「黄金の暁号にはお風呂あるんだっけ」

「たしかあるって聞いたわね」

「大きい船だからね」


 実習中、生徒を汚れたまんまにしておくのは不潔だからねえ。

 C組の生徒は毎日お風呂に入りたいだろうし。


 戦闘聖女服を脱いでロッカーに入れた。


「マメちゃん君は待ってなさい」

「わんわんっ」


 マメちゃんはダルシーに渡した、彼女は直立不動でマメちゃんを抱いて手だけ動かして撫でていた。


 裸のカロルと一緒に浴室にはいる。

 意外と混んでるなあ。

 冒険者が多いから傷のあるお姉さんとか多いね。


「お、聖女さん、社長」

「あら、めずらしいわ、こんにちは、カロル社長、聖女さま」


 湯船に、ミリヤムさんとローゼがいた。


「あら、もう戻ったの、ベルモント逮捕の首尾の方は?」


 私はかけ湯をして湯船に入る。

 おお、意外と良い湯だな。

 なんか、妙な肌触り。

 『オプチカルアナライズ』を掛けてみたところ、あんまり薬効成分は無いけど、かわりに魔力が微量に含まれていた。


「いやー、まかれたっぽい」

「クヌートが犬を使って追跡したのだけれど、匂いの強いキノコの森を抜けて痕跡を消したみたいね」

「なにげにあいつは迷宮慣れしているのか」

「捕まえられなかったの?」

「逃がしてしまったんで、上がってきましたよ社長」


 それは残念だなあ。


「休日は迷宮に入って冒険していたみたいですね、教会パーティとして有名だったようです」


 厄介な奴め。

 まあ、街には出てこられないからジリ貧だとは思うけど。


「良いお湯ね、生きかえるわ」

「今日は寒かったからね」

「知ってるかい、聖女さん、ガドラガの奧で温泉湧いている所があるらしいぜ」

「おお、それはいいね!」

「安全地帯みたいになっていて、魔物と混浴できるそうだ」


 迷宮の温泉かあ、行ってみたいなあ。


 どやどやと若い女の子が三人入って来た。


「おろ、マコトちゃん」

「わ、カロリーヌ社長も居る」

「奇遇だねえ」


 ラクロス三勇士先輩であった。


「なんでこっちに入りに来たの?」

「船のお風呂小さいんだわ、んで船舷で入れる日が決まってんの、今日は左船舷の日だから、右船舷のうちらは街に入りにきたんだー」

「前回、私が見つけたんだー」


 おお、先輩方チャレンジャーだなあ。


「マメちゃん、マメちゃんはどこ?」

「脱衣所のダルシーに預けてきたよ」

「あれ、ダルシーちゃん居たの?」

「居なかったよねえ」

「あの子は隠れられるからね」

「そっかー、さすがはダルシーちゃん」


 さて、あったまったので洗い場に出て体を洗う。

 自分で洗うのは久々だなあ。

 ダルシーにはロッカーの番をしていてもらわないといけないからね。


 ちゃっちゃと洗って、わしわしと髪も洗う。

 隣でカロルも体を洗っていたので、背中の流しっことかした。

 うへえ、背中すべすべやー。


 湯船に浸かりなおしてあったまる。


「んじゃ、あたしらはこれで」

「また明日、カロリーヌ社長、聖女さま」


 ローゼとミリヤムさんが上がっていった。

 わたしとカロルはのんびりと足を伸ばして暖まった。


 さて、十分暖まったので湯船を出て脱衣所に戻る。

 腰掛けに座ってダルシーにドライヤーを掛けてもらった。

 ヴイーーンとな。


 しかし、ベルモントは逃げたかあ。

 手引きしている仲間とかいるのか?

 まったく厄介な奴め。


 ラクロス三勇士先輩も上がって来て、私の抱いているマメちゃんに飛びついた。


「マメちゃーん、今日も可愛いねえ」

「おほっ、ふわふわー」

「癒やし癒やし」

「ワンワンッ」


 というか、先輩方、服を着てから撫でにきなさいよね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔国まで逃げたかな〜
[良い点] 風呂はいいね。風呂は命の洗濯をしてくれる。ヒトの生み出した文化の極みだよ。 ラクロス三勇士・・・おお!凄い!!貴族の子女だろうに。お風呂屋さん見つけてる!! [一言] ベルモント司祭・・…
[良い点] ラクロスで鍛えた裸の女子三人になでなでされるマメちゃん! 代わってくれえー! 腹筋とかうっすら出てたらポイント二倍ですよ。 [一言] なんか急に雲行きが怪しくなってきたんじゃない? 魔族と…
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