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第1125話 ガドラガ管区役所へ行く

 治療院を出て、教会の建屋に入る。

 人が右往左往してるね。


「聖女さま、お疲れ様です」

「あ、ハナさん、接収の進捗はどう?」

「難航しておりますが、明日には教会業務を再開できそうです」

「助かります、治療院は空にしてきたから今日明日は大丈夫そうよ、食糧の方はどう?」

「少なめですね、偽聖騎士がネックになっています、なにしろ人数が多いので」

「オルブライト商会が来たから、食糧の流通も動くと思う、備蓄を切り崩してください」

「かしこまりました」


 なにしろ教会というのは巨大組織だから、トップが消えると色々とごたつくんだよね。


 荷物を背負った、ずぶぬれの聖騎士と僧侶さんたちが教会に入ってきた。

 おお、蒼穹の覇者号で来た大神殿からの増援だね。


「聖女さまっ、マッコール班、ただいまガドラガ教会に着任いたしました」

「お疲れ様です、ハナ助祭の指揮に従ってください」

「了解いたしました」

「荷物は礼拝準備室に降ろしてください、仕分けします」

「はい」


 ここはハナさんに任せておけば大丈夫そうだな。


「私は役所の方を見てきます」

「はい、お気を付けて」


 教会の玄関に来たが、ヒューイが居ない。


(ヒューイ)

《いまいく》


 ヒューイが空から降りてきた。

 空中散歩をしていたらしい。

 ずぶ濡れである。

 ダルシーと一緒にタオルで拭いた後、鞍を付けて跨がった。


「さあ、役所に行こう」

《いこう》


 雨脚は依然強い。

 ヒューイの上に障壁を作って道を行く。


「聖女さまだーっ!!」

「うちのヨハンを治してくれてありがとーっ!」

「銀貨三枚聖女さま~~」


 やな二つ名が付きつつあるな。

 裏通りの娼婦みたいだぞ。

 手を振るとガドラガの民が湧いた。


 メインストリートを進み、大玄洞の入り口近くまで来た。

 ガドラガの重要施設はだいたい大玄洞近くにあるんだよね。


 ガドラガ管区役所の前では近衛騎士団の人が警備をしていた。


「これは聖女様、こんにちは」

「ケビン王子とジェラルドは居るかしら?」

「はい、ご執務中であります。どうぞお入り下さい」

「ありがとう」


 役所の中に入った。

 なんとなく雰囲気がピリピリしているな。


 奧の机でケビン王子とジェラルドが書類と格闘していて、こちらに気が付くと片手を上げて挨拶をしてきた。


「状況はどう?」

「酷い物だ、魔石の横領、横流し、物資の取り込みと、不正のオンパレードだな」

「王府では学べない負の勉強が沢山できるね、まったく」

「お疲れ様、やっぱりガドラガは遠いからね」

「行政の眼が届かないとここまで腐るのだな、馬鹿どもめ」


 ぶつぶつ言いながらジェラルドはノートに記入し続けている。

 ケビン王子は羊皮紙の書類を読んで整理しているな。


「食糧輸送を太くしたいんだけど、問題は何かある?」

「飛空艇で輸送か?」

「私たちがいなくなっても潤沢に回るようにしたい」


 ジェラルドは立ち上がり、地図を持ってテーブルに広げた。


「橋が問題だ。ガドラガの山の麓には峡谷があって、徒歩橋しか架かっていないから隣町からの輸送が馬車で二日、徒歩で半日となっている」


 地図の要点をジェラルドは指した。

 隣町からの街道は峡谷に沿って蛇行しながら標高を下げて、遠い地点の橋で川を渡る。

 徒歩で行けば途中の徒歩橋を渡るので距離が五分の一ぐらいになる。

 歩荷で荷を上げる訳だなあ。


「徒歩橋を拡充して馬車が通れるようにしないと駄目ねこれ」

「ああ、だが予算がな」

「ガドラガは魔石で潤っているのに」

「いろいろと不正に資金が消えて行くからな、教会が協力してくれるとありがたいが」

「王都に帰ったら教皇様に相談してみるわ」


 教会の工事部は今、ホルボス山開発ぐらいしかやってないからね。

 

「教会橋の方が良い、領主に作らせると通行料が発生するから、物価に悪影響がでる」

「聖女マコト橋をけてよ、キンボールさん」

「げえ」


 きっとそんな名前が付くんだろうなあ。

 やだやだ。


「他に問題は?」

「商工会議所も腐っていた、オルブライト商会は到着したか?」

「到着したよ、今は商工会議所じゃないかな、拠点から作らないといけないから大変かも」

「そうか、とにかく良いポーションの流通を急がないといけない。まったく何と言う邪悪な仕掛けを作るのだ」

「薄いポーションで暴利をむさぼり、教会の治療費で金をむしり取り、借金を乗せて歩荷を独占してそこでも荒稼ぎとはね……」

「悪い、教会が腐ると洒落にならないね」


 ジェラルドはふうと言って目頭を揉んだ。


『ヒール』


 お疲れのジェラルドとケビン王子に『ヒール』かけて上げた。


「おお、助かる、やはり修羅場には聖女が一人要るな。どうだ来年生徒会に入らないか?」

「ジェラルド、キンボールさんは薬箱じゃないんだから」

「めんどくさそうだからやだ」


 軽口を叩けるぐらいには回復したようだ。

 なんか、職員さんも疲れていそうなので、部屋全体に『エリアヒール』を掛けてねぎらった。


「あ、ありがとうございます」

「恐れ入ります」

「みなさんも大変でしょうが、正常化に向けてがんばってください」

「「「「はい」」」」


 ジェラルドはまた席に戻って書き物を始めた。


「あんた達はいつ王都に帰るの?」

「明日、帰る、王府の選抜部隊を組んで投入しないとまずいからな」

「移動はどうすんのよ、白銀の城号?」

「あー、申し訳無いんだけど、キンボールさん、蒼穹の覇者号で運んではくれないだろうか」

「有料なら」

「もちろん、金は払うよ」

「わかった」


 本当にまあ、ガドラガ大玄洞の大掃除になったなあ。

 蒼穹の覇者号の残存魔力は大丈夫だろうか。

 ホルボス山に行って最後の増槽を付けないと駄目かもなあ。

 飛空艇は便利だからつい使いすぎちゃうんだよね。


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― 新着の感想 ―
[一言] 何かここ最近飛び回ってるなあと思ってましたけど、やっぱり魔力が枯渇してきましたか。聖女ぱうあーを注入しないとねー。
[良い点] >王府では学べない でしょうなぁ、こんな「黒だよ…真っ黒!(K'並感」な腐敗の羅列なんか。 そのぶん将来悪徳貴族が虚偽の報告してきた際に看破出来る目を養える訳ですから、ケビン王子とジェラル…
[良い点] ガドラガ大玄洞の大掃除。 来年だったら、もっと悪化してたのでしょうね。 ヒソカラ公式にそんなイベントあるのかな? [一言] 蒼穹の覇者号で来た大神殿からの増援・・・教皇さまの手配かな?あり…
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