第1094話 ガドラガ第三駐機場に着陸する
「ガドラガ飛行場管制塔、応答願います。こちらはコールサイン547498、聖心教所属、蒼穹の覇者号です」
【ザザザ、こちらはコールサイン000547、ガドラガ飛行場管制塔。蒼穹の覇者号確認いたしました、西側からアプローチして第三駐機場へ着陸ねがいます】
よし、前と一緒だな。
今日は雨が降っている分視界が悪いけど。
操舵輪を回して船を旋回させて駐機場へと着陸させる。
「着陸脚展開」
【了解しました、着陸脚展開、蒼穹の覇者号タッチダウン】
ちょっと揺れたがちゃんと着陸できた。
「お疲れ様、マコト艇長」
「ありがとう、黄金の暁号を待って休憩しましょうか」
「わんわんっ!」
マメちゃんが元気に吠えた。
【黄金の暁号はミランダ渓谷付近で速度を落とし、後三十分ほどでガドラガに到着する模様です】
「ミランダ渓谷は難所なのねえ」
【悪天候では乱気流が発生するので抜けるのに時間が掛かります】
大型飛空艇の操縦は大変そうだなあ。
一度操縦してみたいけど、人の命を沢山乗せているから怖そうだ。
ダルシーがお茶を運んで来てくれた。
ありがとうありがとう。
暖かい紅茶を飲むとほっとするね。
外は依然として雨模様である。
朝礼というか、講習というかはどこでやるのだろう。
黄金の暁号の中かな?
まあ、着いたら解るでしょう。
カーチス兄ちゃんも居るだろうから聞いて見よう。
「ちょっとパンの時間を止めてくるね」
「あ、おねがいね、何かあったら艇内放送で伝えるよ」
「ありがと」
マメちゃんを連れてメイン操縦室を出る。
廊下をパタパタと歩く。
やっぱスイートでカロルと一緒かなあ。
むふふー。
いやいや、まあ、その、色っぽいことはその場の流れで一つ。
ムードというものもあるしな。
突き当たりの螺旋階段を上がってラウンジへと入る。
食事はここでかあ。
応接系の低いテーブルだからご飯は食べにくそうであるな。
飲酒には良さそうなのだが。
晴れていれば甲板にテーブルを出して食事をしたい所だけどなあ。
ミニキッチンの奥に食糧倉庫がある。
冷蔵冷凍しなくていい乾物とか穀物とか置いとくスペースね。
ミルク缶もここに置いてある。
パンの箱が三つ置かれていたから下二つに障壁を重ねて時間を停止させた。
やあ、実家の丸パンだなあ。
結構大きいのである。
一日一人二つと言っていたが、私なんかは一個で十分な気がするな。
余ったら黄金の暁号にでも持って行ってやろう。
「わんわんっ」
「こらこら、パンにじゃれつかない」
マメちゃんがパンに悪さをしようとしたので抱き止めて抱え上げる。
「めっ」
「きゃうん」
食料庫も結構広いから満載にしたら一ヶ月ぐらい旅行ができそうだなあ。
世界一周も出来そう。
暇ができたらやってみたいね。
自分の足でこの世界を脳裏に焼き付けるのだ。
転生してから、とても楽しませてもらっているからね。
マメちゃんを抱いてラウンジでぼんやりする。
君は暖かいね。
なでなでモフモフ。
頭上からゴウンゴウンと音がして黄金の暁号が降りてきた。
やあ、雨の中の着陸は良い感じだなあ。
『マコト、黄金の暁号から入電、そちらに回すわ』
「ありがとう、伝声管はと……」
あったソファーの後ろか。
【聞こえるか、蒼穹の覇者号】
「アーヴィング船長、聞こえますよ、お先に駐機させてもらってます」
【まったく蒼穹の覇者号は早いな、こちらも着陸した、学校の先生が訓話をするからこっちに来いっていってたぞ】
「ありがとうアーヴィング船長、今うかがいます」
私は伝声管の蓋をしめた。
螺旋階段を下りて、廊下を歩き、メイン操縦室の前までくるとカロルが出て来た。
「行きましょうマコト」
「そうね、ゴブ蔵、カマ吉はここで待っててね。船内を探検してても良いわよ」
「解りました」
「お部屋も割り当てるから、三等船室があるからそこで休んでね」
「これはこれは、恐れ多い事です、ありがとうございます」
まったく、ゴブ蔵の声はテラ子安だぜ。
私とカロルは連れだってタラップを下りて地上の人になった。
雨が本降りなので障壁の屋根を作る。
黄金の暁号まで回廊を作るかな。
えいやっ。
よし、蒼穹の覇者号と黄金の暁号がつながったぞ。
地面は火山性の砂利だからぬかるまなくて歩けるね。
ジャリジャリいわせながら黄金の暁号まで歩く。
タラップまで歩くと、アントーン先生が迎えに来てくれていた。
「キンボールさん、良く来てくれたねっ」
「ベロナ先輩たちに頼まれましたからね。訓話はどちらで?」
「船内の大ホールでするよ、さあさあ、上がってくれたまえ」
アントーン先生はニコニコ笑いながら私たちを招き入れた。
やっぱりでっかいな黄金の暁号は。
階段を下りると中階層に大きいホールがあって、生徒が集まっていた。
お、カーチス兄ちゃんとヒルダさんを発見。
げ、命令さんとストライド隊も居るぞ。
「おお、マコトちゃん、今回は一緒だねえ」
「ミリアナ先輩」
ナッツ先輩とラクロス三勇士先輩が挨拶をしてきた。
「ダルシーちゃんもいるの」
「いますよ、ダルシー」
「はい、マコトさま」
ラクロス三勇士先輩はダルシーにわっと取り付いた。
「いつもお掃除ありがとうねえ」
「なかなか会えないからお礼を言えなくて」
「今回は一緒にガドラガを楽しもうね」
「は、はい、よろしくお願いいたします」
ダルシーは困っているけど、なんだかまんざらでも無さそうだった。
前にラクロス三勇士先輩たちに貰ったブローチがピカリと光を反射した。
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