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第1091話 本を読む、晩餐を食べる

 本を借り終わったので、また地下倉庫に下りて女子寮へ向かう。

 途中ルカッちに挨拶をして通路を進む。

 奴はこっちをみて小さく手を振っただけであった。

 安楽な奴めっ。


 女子寮に戻り、カロルの乗るエレベーターに同乗して二階まで送ってもらう。

 私は女神様を呼べる聖女候補で自家用飛空艇も持ってるのに、寮のエレベーター一つ満足に乗せて貰えないのだ。


 ちくせうっ。


 まあ、寮費を安く済ませているから悪いのだが。

 205号室は意外に居心地が良いしね。

 コリンナちゃんも居るし。


 チン!


「それじゃ、また後で」

「後でね、マコト」


 にっこり笑い合ってほっこりして別れる。


 205号室に戻るとコリンナちゃんは絶賛勉強中であった。


「おかえり~」

「ただいまー」

「良い本あった?」

「ガドラガの娼館のガイドブックがあったので借りてきた」

「ぶっ、誰が購入したんだか」

「自費で買って、図書館に突っ込んだと見た」


 ソファーに座って『ガドラガナイトライフ』を開く。

 割引券とメモが入っている。


『やあ、後輩、ガドラガで一遊びしたいなら、割引券をつかいたまへ』


 もう、誰だ、十年前の先輩め。

 卒業後は王宮勤務であろうか、追跡して恐喝すんぞ。


 割引券は五枚、『紅猫館』だそうだ。

 今でもあるのかな。

 当然有効期限は切れているね。

 行かないけど。


 マメちゃんが影から出て来て膝に乗っかってきた。

 なでなでしながら本を開く。


 ほうほう、娼館だけじゃなくて、安全な飲み屋さんとか、通りとかを教えているね。

 やっぱり街外れは近づいてはいけないようだ。

 娼館は五軒ほど、酒場が建ち並ぶ通りの裏にあるそうだ。

 冒険者ギルドの裏だな。


 ガドラガの街は飛空艇駐機場近くが高級住宅街で、入り口からダンジョン入り口までがメインストリート、一本裏に入ると歓楽街、その奥は怪しい店がならぶ暗黒街になっているそうで、暗黒街には入らないようにと注意がある。


 意外に風俗ガイドで面白いな。

 暗黒街はヤクザ組織が三つあって、それぞれ縄張り争いをしているらしい。

 スラム街は存在しない。

 なぜなら食糧が高いのでスラムを作って生きていけるほどの供給が無いからだそうだ。

 ガドラガで貧乏になったら飢え死ぬか、麓の街まで降りるそうだ。

 麓の街には大きめのスラムがあるそうだ。


 本の後半は五軒ある娼館の紹介である。

 『紅猫館』は高級娼館なのか。

 そりゃ魔法学園の生徒が行くような所だからなあ。

 面白いな。


 噂のガドラガ教会はメインストリートの迷宮入り口に近い所にある。

 怪我人を運びやすいようにしてるんだろうな。


「晩餐に行こう」

「お?」


 私は掛け時計を見た。

 おお、もうこんな時間か。

 『ガドラガナイトライフ』を読みふけってしまった。


「コリンナちゃんに娼館の割引券をあげよう」

「いらん」


 冷たく突き返されたぞ。

 ちくせう。

 まあ、期限切れですけどね。


 廊下に出て施錠する。

 マメちゃんはコリンナちゃんが小脇に抱えて運んでいるな。


 階段を下りると外は真っ暗だねえ。


 エレベーターホールには派閥員がいて、私たちを見て手を振ってくる。

 みんなで食堂へとなだれこむのだ。


「こんばんはクララ」

「いらっしゃいマコト」


 クララの眼光を恐れたコリンナちゃんがマメちゃんを私の影に放り込んだ。


「今日の献立は?」

「今日の下級貴族食は、ポークチャップ、ポテトサラダ、コーンポタージュスープ、黒パンよ」

「おいしそうね、ありがとう」


 私はトレイにお料理を取っていき、ケトルからカップに冷めたお茶を注いだ。

 いつもの席に運んで行く。


 いやあ、毎日毎日美味しい料理が食べられて嬉しいなあ。

 ガドラガでは一週間、アンヌさんか、私の料理か。

 マルコアス修道院に晩餐をたかりに行けるのだな、一回。

 あそこのお料理も美味しいと思うな。

 クッキー美味しいからなあ。


 皆が揃ったのでお食事のご挨拶。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 ぱくり。

 んー、豚肉の焼き加減が良くてジューシーよね。

 あと、タマネギとトマトソースのソースが美味しい。

 やっぱりイルダさんはお料理の天才よね。


 コーンポタージュスープも甘くてうまうまである。

 はー美味しい。


「領袖、明日は何時にガドラガに出発ですの?」

「朝ご飯を食べてから行く感じ。速力は蒼穹の覇者号の方が早いから先について駐機場で合流を待つ感じかな」

「そうですか、楽しみですわね」

「楽しみだね」


 カロルの顔を見て言ってみた。

 彼女は笑ってうなずいた。


「ええ、楽しみね」

「カロリーヌ様、ポーション類はもう納入なされましたの?」

「ええ、先生に引き渡したわ。黄金の暁号の売店で買えると思いますよ」

「飛空艇の売店は生命線ですからね。助かります」

「黄金の暁号の売店では他に何が売ってますの?」

「お菓子とか、パンとかを少し売ってますわよ。あと冒険者用品が少し、ちょっと高いですけれどもね」


 本当に船の売店なんだなあ。

 パンは満月堂の物かな。

 しかし楽しみだなあ。

 今日は寝れるかな?

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― 新着の感想 ―
[一言] カロルが同行してれば、万一の時に飛空艇の売店の商品補充も出来そうだね。錬金釜をどこかで借りられればだけど。 紅猫館の割引券はゆりゆり先輩にあげたらいいんじゃないかナー。あの人ならコレクション…
[一言] 『ガドラガナイトライフ』・・・カーチス兄ちゃんが最新版持ってそうな気がします。
[一言] 修道僧が娼婦を呼んでバレると「サキュバスが〜」等と
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